21 / 23
仲間をさがして
20話 ロンメルの街
しおりを挟む
「見えてきたのよさ!」
前を歩くあやさんが指差す。その先には大きな石造りの塀があった。塀の向こうがロンメルの街である。
「日が暮れる前に着いて良かったよ」
ペトロがそう言う。今はフィオリを出て2日目の夕方である。
道中犬のような魔物と何回か出会ったが好戦的ではないようで、戦いにはならなかった。
それと一応確認したが、やはりあやさんがこの世界に来たのは2ヶ月前だというのだ。疑問は尽きない。
案の定、街の入口には門番がいた。僕たちはそれぞれの身分証を見せる。
「はい、冒険者の方ですね。どうぞお通りください。…おや。異世界からの客人もおられるんですね」
身分証には出身地が記されている。それで分かったのだろう。
すると逆に街から出ようとしていた集団に声をかけられた。
「けっ、異世界人が街になんて入ってくんなよ」
「そうだ、冒険者なんて名乗りやがってふざけてるぜ」
見た目からして柄が悪そうな男たちだ。どうやら異世界人をよく思わない連中も中にはいるらしい。
構わず行こうとしたペトロを押し退け、1人の男が僕の前にやってきて胸ぐらを掴む。
「おい、俺らが街に帰ってきたときにまだいたらぶっとばすからな。さっさと出ていけよ?」
言いがかりもいいとこである。それとも異世界人に何か恨みでもあるのだろうか。
しかし今の僕にやりかえす勇気はない。
細え体だなぁとか殴ったら折れるんじゃねえかとか好き勝手言いながら男たちは立ち去っていく。ものすごく傷つくんですが…。
門番は我関せずである。所詮雇われているだけなのだろう。
納得いかないが、ともかく僕たちは取り敢えずの目標、ロンメルの街にたどり着いたのである。
「なんだあいつら!ムカ着火ファイヤーなのよさ!!」
「ムカ…なんだって?」
日が暮れてしまったので一先ず僕らは宿で一泊することにした。やっぱり石造りだったが、内装は木材が目立つ。
食堂で夕飯を食べながらあやさんがキレている。ペトロは日本のスラングが理解できない。
ちなみにメニューは肉のソテーだ。鶏肉っぽいが何の肉かは分からん。
「まあ、そういう人たちもいるだろうさ。それより明日の予定を立てようよ」
僕は話題を変える。正直あれにはイラッときたが、かといってどうすることも出来ない。
「一先ず優莉ちゃんたちの聞き込みなのよさ」
「平行して冒険者の仕事もしたいな。しばらくここに滞在するだろうから」
「いわゆるクエストさね?先輩冒険者の私に任せるのよさ!」
2人で盛り上がっているところに、ペトロが少し申し訳なさそうに割って入る。
「えーと、私は明日から別行動させてもらうよ」
そういえばこの街に用事があるんだっけ。
「私もしばらくロンメルにいるから何かあったときは声をかけてね」
そう言いながら、コップに入った水を飲み干すペトロ。
明日の予定が決まったところで丁度夕飯を食べ終わった。
「じゃ、私たちは明日朝イチでギルドへ行くということで!」
そう言い残してあやさんはどたばたと部屋に行ってしまった。
僕も借りた部屋に入り、ベッドに潜り込む。もちろん男女別々なので1人にしてはちょっと広い部屋だ。
ふと思い返してみるとこの世界に来てから1人で寝るのは今日が初めてだった。
崇一郎たちは今頃どこで何をしているのだろうか。
絶対見つけ出さないとな…。
おやすみという相手がいないことに一抹の寂しさを覚えながら僕は灯りを消した。
前を歩くあやさんが指差す。その先には大きな石造りの塀があった。塀の向こうがロンメルの街である。
「日が暮れる前に着いて良かったよ」
ペトロがそう言う。今はフィオリを出て2日目の夕方である。
道中犬のような魔物と何回か出会ったが好戦的ではないようで、戦いにはならなかった。
それと一応確認したが、やはりあやさんがこの世界に来たのは2ヶ月前だというのだ。疑問は尽きない。
案の定、街の入口には門番がいた。僕たちはそれぞれの身分証を見せる。
「はい、冒険者の方ですね。どうぞお通りください。…おや。異世界からの客人もおられるんですね」
身分証には出身地が記されている。それで分かったのだろう。
すると逆に街から出ようとしていた集団に声をかけられた。
「けっ、異世界人が街になんて入ってくんなよ」
「そうだ、冒険者なんて名乗りやがってふざけてるぜ」
見た目からして柄が悪そうな男たちだ。どうやら異世界人をよく思わない連中も中にはいるらしい。
構わず行こうとしたペトロを押し退け、1人の男が僕の前にやってきて胸ぐらを掴む。
「おい、俺らが街に帰ってきたときにまだいたらぶっとばすからな。さっさと出ていけよ?」
言いがかりもいいとこである。それとも異世界人に何か恨みでもあるのだろうか。
しかし今の僕にやりかえす勇気はない。
細え体だなぁとか殴ったら折れるんじゃねえかとか好き勝手言いながら男たちは立ち去っていく。ものすごく傷つくんですが…。
門番は我関せずである。所詮雇われているだけなのだろう。
納得いかないが、ともかく僕たちは取り敢えずの目標、ロンメルの街にたどり着いたのである。
「なんだあいつら!ムカ着火ファイヤーなのよさ!!」
「ムカ…なんだって?」
日が暮れてしまったので一先ず僕らは宿で一泊することにした。やっぱり石造りだったが、内装は木材が目立つ。
食堂で夕飯を食べながらあやさんがキレている。ペトロは日本のスラングが理解できない。
ちなみにメニューは肉のソテーだ。鶏肉っぽいが何の肉かは分からん。
「まあ、そういう人たちもいるだろうさ。それより明日の予定を立てようよ」
僕は話題を変える。正直あれにはイラッときたが、かといってどうすることも出来ない。
「一先ず優莉ちゃんたちの聞き込みなのよさ」
「平行して冒険者の仕事もしたいな。しばらくここに滞在するだろうから」
「いわゆるクエストさね?先輩冒険者の私に任せるのよさ!」
2人で盛り上がっているところに、ペトロが少し申し訳なさそうに割って入る。
「えーと、私は明日から別行動させてもらうよ」
そういえばこの街に用事があるんだっけ。
「私もしばらくロンメルにいるから何かあったときは声をかけてね」
そう言いながら、コップに入った水を飲み干すペトロ。
明日の予定が決まったところで丁度夕飯を食べ終わった。
「じゃ、私たちは明日朝イチでギルドへ行くということで!」
そう言い残してあやさんはどたばたと部屋に行ってしまった。
僕も借りた部屋に入り、ベッドに潜り込む。もちろん男女別々なので1人にしてはちょっと広い部屋だ。
ふと思い返してみるとこの世界に来てから1人で寝るのは今日が初めてだった。
崇一郎たちは今頃どこで何をしているのだろうか。
絶対見つけ出さないとな…。
おやすみという相手がいないことに一抹の寂しさを覚えながら僕は灯りを消した。
0
あなたにおすすめの小説
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる