異世界冒険譚

文字の大きさ
22 / 23
仲間をさがして

21話 おつかいでいいよ

しおりを挟む
    …ここは、どこだ?

    ぼんやりとしていて外なのか屋内なのかもはっきりしない。

    目の前にボブカットの子供がいる。その隣には見覚えのある女性。

    そう、この人はよく知っている。

    ただ、僕の知っている姿より大分歳を取っているような…



「起きろー!朝イチでギルド行くって言ったでしょーに!」

    体が揺さぶられる感覚で目を覚ますと、あやさんが僕の顔を覗き込んでいた。

「…夢か」

    そう一言残してオフトゥンを頭から被る。二度寝、これ即ち至福の一時。

    程無くしておもいっきり蹴飛ばされ、僕は床に転がり落ちることとなる。



「ペトロは?」

「もう出ていっちゃったのよさ!今は大体9時くらいなのよさ」

    遅めの朝食にパンをむさぼる。あやさんはペトロと一緒に先に食べてしまったらしい。

    宿屋など大きめの施設には大抵時計がある。文字盤は読めないが、見たところ確かに9時をまわっていた。



    宿を出ると、目の前には大通りが伸びている。

    入口から長い通りが伸びており、突き当たりに役所などの主要施設がある、というのがこの国の街の主流のようだ。

    ではギルドも突き当たりにあるか、というとこれは違う。

    依頼を終えて街に戻ったというのに報告する場所が街の入口から遠くても不便だしね。

    ギルドは宿の通りを挟んだ向かい側だ。

    僕らは早速そこに足を踏み入れた。



「特に3人に関しての情報は入ってないみたいだねぇ…」

    あやさんが掲示物を見ながら呟く。

    情報提供を呼び掛けるチラシは張ってあるものの、肝心の行方は分からないままだ。

「テレポートで国を跨ぐくらい飛べるはずはないからなぁ…。やっぱりしばらくはここで手掛かりを探すしかないね」

    僕はそう言いながらあやさんに倣って掲示板を眺めた。

    魔物退治や護衛、おつかい的なものまでさまざまな依頼がある。

「しばらくいるってなったら住む場所はどうするつもりなのよさ」

「…宿屋しかないかなって考えてるけど。あやさんは今までどうしてたの?」

「宿屋」

    宿屋かいっ

    おつかいだろうと1日1回依頼をこなせば一泊できる程度の金は稼げる。

    しかし、武器や道具を買ったり今後また別の街に行ったりといったことを考えると、ゆくゆくは魔物退治も必要になってくるのだろうか。

「その前はここで知り合った冒険者の家に停めてもらってたのよさー」

    へえ。確かに自分の住む街で活動する人も多いだろうな。

「その人はロンメルに住んでいるの?」

「うん。でもフィオリに出稼ぎに行ったのよさ。赤いフードの不審人物を捕まえるとかなんとか…」

    …あぁー、あの人ね。結局はた迷惑なだけで何がしたいのか謎だったな…。

「それじゃあー、んー。今日はこのクエストを受けるのよさ!」



    ギルドにはいろいろな方面からの人が集まる。そこで3人の情報を集めながら旅の資金集めをする。一先ずはこれでいくことに決まった。

    怖いけど時間を掛けて魔物とも戦えるようにしていこう。今日はおつかいでいいや。

「ごっちゃーん、ほら見てこのクエストどうよ」

    読めないよ。てか読めるのかよ。

「魔物退治!」

    うわああああ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

処理中です...