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第1章 犬が消えた?!
犬が消えた?!
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キーンコーンカーンコーン
夏休みが終わって2学期がスタートした。光と心実はたくさんの荷物を両手に持って死に物狂いで走っていた。あと5分で朝の会が始まる時間だ。
「心実、遅れるぞ!」
「待ってよ、お兄ちゃーーん!!」
2人は遅刻すれすれで門をくぐり抜け、それぞれの教室に駆け込んだ。
「光さん、ギリギリセーフね。」
と4年2組の担任小林先生が笑いながら言った。苦笑いしながら光は自分の席に着き、荷物を机にどさっと詰め込み、前に座っていた親友のタイセイに小さな声で、「危なかったぜ!」と言った。するといつも明るいタイセイは元気のない声で「よかったな」と一言。いつもだったらからかってくるのに、光はおかしいな、と思った。
昼休み、光とクラスメイトは一目散にジャングルジムへと走り、みんなで登りながら、夏休みの楽しかった事や、腕のポッキー日焼けが誰が一番濃いか自慢し合っていた。久しぶりの友達とのおしゃべりは楽しいと思ったけど、やはりタイセイは笑顔が少なく、どこか悲しそうで光は気になった。
「タイセイ、元気ないけど何かあったのか?」
すると、タイセイは
「うちで飼っていた犬のヒロが先週、突然いなくなっちゃったんだ…どこを探しても見つからなくて。」と泣き出しそうな顔をした。
「そっか、それは悲しいなぁ。一緒に探してやるから元気出せよ。」と元気付けていると、その場にいた別のクラスメイトも、
「タイセイ君の家も?うちの犬もいなくなっちゃたの。お父さんと隣町まで探したけどまだ見つからないの。」
「君のお家も?!そんな偶然あるんだね。」
と光は不思議に思った。
キーンコーンカーンコーン
学校が終わりその帰り道、光は前を歩く心実を見つけた。
「心実!」
振り返った心実の顔は何か考え事をしているようだった。心実はとって慎重派のしっかり者。光は顔を見ただけで何かあったなと感じた。
「お兄ちゃん、うちのクラスのお友達、3人も犬がいなくなっちゃったんだよ。おかしいよね?」
それを聞いた光は驚いた。
「え、お前の友達もか?うちのクラスにも2人いたんだよ。多すぎるだろ?!」
2人は立ち止まり顔を見合わせた。何かが起こっているような予感がして、2人はお母さんの待つ家に走り出した。
「ただいまー!!!お母さーーーん!!聞いて聞いて!!」
2人がリビングのドアを勢いよく開けると、テレビを真剣に見る母の春美がいた。春美はサスペンスドラマが大好き。最近ではサスペンスドラマのキャストを見るだけで犯人がわかる技を習得したらしい。それくらい毎日観ているのだ。
「ちょっと今いいところだから、待っててよぉ」
案の定ドラマの途中では全然話を聞いてくれなかったので、光はリモコンを奪い、テレビの電源を消して、心実と一緒にお母さんの前にドスンと座り、今日学校で聞いた話を早口で伝えた。
「こんな小さな学校でそんなにたくさんの家で急に犬がいなくなるなんて…それは事件のにおいがするわね!Let's調査よ!!!」
と春美は目を輝かせた。
「でもドラマ最後までみてからね。」
と言ってまたテレビをつけ始めた。
夏休みが終わって2学期がスタートした。光と心実はたくさんの荷物を両手に持って死に物狂いで走っていた。あと5分で朝の会が始まる時間だ。
「心実、遅れるぞ!」
「待ってよ、お兄ちゃーーん!!」
2人は遅刻すれすれで門をくぐり抜け、それぞれの教室に駆け込んだ。
「光さん、ギリギリセーフね。」
と4年2組の担任小林先生が笑いながら言った。苦笑いしながら光は自分の席に着き、荷物を机にどさっと詰め込み、前に座っていた親友のタイセイに小さな声で、「危なかったぜ!」と言った。するといつも明るいタイセイは元気のない声で「よかったな」と一言。いつもだったらからかってくるのに、光はおかしいな、と思った。
昼休み、光とクラスメイトは一目散にジャングルジムへと走り、みんなで登りながら、夏休みの楽しかった事や、腕のポッキー日焼けが誰が一番濃いか自慢し合っていた。久しぶりの友達とのおしゃべりは楽しいと思ったけど、やはりタイセイは笑顔が少なく、どこか悲しそうで光は気になった。
「タイセイ、元気ないけど何かあったのか?」
すると、タイセイは
「うちで飼っていた犬のヒロが先週、突然いなくなっちゃったんだ…どこを探しても見つからなくて。」と泣き出しそうな顔をした。
「そっか、それは悲しいなぁ。一緒に探してやるから元気出せよ。」と元気付けていると、その場にいた別のクラスメイトも、
「タイセイ君の家も?うちの犬もいなくなっちゃたの。お父さんと隣町まで探したけどまだ見つからないの。」
「君のお家も?!そんな偶然あるんだね。」
と光は不思議に思った。
キーンコーンカーンコーン
学校が終わりその帰り道、光は前を歩く心実を見つけた。
「心実!」
振り返った心実の顔は何か考え事をしているようだった。心実はとって慎重派のしっかり者。光は顔を見ただけで何かあったなと感じた。
「お兄ちゃん、うちのクラスのお友達、3人も犬がいなくなっちゃったんだよ。おかしいよね?」
それを聞いた光は驚いた。
「え、お前の友達もか?うちのクラスにも2人いたんだよ。多すぎるだろ?!」
2人は立ち止まり顔を見合わせた。何かが起こっているような予感がして、2人はお母さんの待つ家に走り出した。
「ただいまー!!!お母さーーーん!!聞いて聞いて!!」
2人がリビングのドアを勢いよく開けると、テレビを真剣に見る母の春美がいた。春美はサスペンスドラマが大好き。最近ではサスペンスドラマのキャストを見るだけで犯人がわかる技を習得したらしい。それくらい毎日観ているのだ。
「ちょっと今いいところだから、待っててよぉ」
案の定ドラマの途中では全然話を聞いてくれなかったので、光はリモコンを奪い、テレビの電源を消して、心実と一緒にお母さんの前にドスンと座り、今日学校で聞いた話を早口で伝えた。
「こんな小さな学校でそんなにたくさんの家で急に犬がいなくなるなんて…それは事件のにおいがするわね!Let's調査よ!!!」
と春美は目を輝かせた。
「でもドラマ最後までみてからね。」
と言ってまたテレビをつけ始めた。
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