30 / 42
Ceci n'est pas une rêve.(これは夢ではない)
幕間2-2
しおりを挟む
「で?2人来た理由は見当ついたのか?」
「んー。見当はつけたけど、証拠はないよ。なんと言っても、国境を含むかなりの地域が封鎖地域だからねえ」
「ポラリルソシアかハプスヴァルトか。はたまたガフラリアか」
ポラリルソシアは北、ハプスヴァルトは東、ガフラリアは南東の隣国だ。
ちなみに。
西には海が広がっている。
「おや?ジャプロンはいいのかい?」
年下の兄弟をからかうようにジェラードが口をはさむ。
ジャプロンはハプスヴァルトのさらに東の国だ。
「あそこは自分達でなんとかしたいって国だろう」
「そうだね。私はポラリルソシアと踏んでいるよ」
「どうしてまた」
「冬を前にしているから。あそこは港が封鎖されるだろう」
「毎年のことだろ」
「だからだよ。毎年困っているからウチに便乗したのさ。魔法使うのをケチって」
ケチっての部分でケーレブは顔をしかめた。
ポラリルソシアが今回の召喚に便乗したせいで。
2人分の召喚に必要な魔力を動かすことになった。
魔法とは。
大気中に無限にある魔力を動かして。
してほしいことを魔法語で伝えることによって成立する。
魔法語とは。
特殊な発音をする言語だ。
発音というより。
この上なく個性的な曲調の民謡をうたう。
と言うほうがあっている。
そのせいで。
人によって魔法語のウマいヘタがはっきり分かれる。
ぶっちゃけると。
オンチかそうでないか。
その違いだ。
魔法語がうまく話せると。
まわりから魔法が上手いと言われる。
この国で一番魔法がうまいのが。
今回倒れたマクルーアだった。
そして。
ポラリルソシアがこの召喚に便乗したとすれば。
タイルによって召喚のための魔法語が描かれた。
あの召喚の場の周辺に。
ポラリルソシアかどこかの間諜が居たということになる。
召喚に便乗するには。
その場にいて。
同時に魔法語を話さなくてはならないからだ。
例えば。
鍵で有名なソロモン王で示してみよう。
ソロモン王が34番の魔物フルフルを呼ぼうとしたとする。
それを聞きつけた人物が。
自分は54番のムルムルを呼びたいと思った。
ところがその人物。
自分で呼びだそうとはしなかった。
ソロモン王が呼びだすときに便乗しようとしたのだ。
ソロモン王が指輪を使ってフルフルを呼ぶ瞬間。
その人物もソロモン王の指輪に願った。
自分はムルムルがほしいと。
すると。
ソロモン王の前には。
時間差でフルフル君とムルムル君が来ましたとさ。
このソロモン王が倒れていた黒マント君ことマクルーア。
フルフルとムルムルが豊見と天牡。
ムルムルを呼びたかった人物が間諜。
指輪が魔力と魔法語。
というわけだ。
そう考えると。
オキツネサマと天使の召喚に成功したことが。
間諜によって他国に伝わるのは時間の問題だ。
「そのせいでマクルーアは死にかけてんのか!?」
「その通りだねぇ。誰が便乗したかはわからないけど。まあ、宣戦布告とでも受け取っておこうと思ってるよ」
「そんな悠長にしてんじゃねぇ!アンタが国境見張ってなかったからこんなことになってんだろ!」
怒りをあらわにするケーレブだが。
ジェラードはどこ吹く風だ。
優雅にカモミールティーをすすっている。
「本当にポラリルソシアから来たとは言えないのが、頭が痛いねぇ」
ジェラードは本当に頭が痛いかのように側頭部をさする。
そんなジェラードにケーレブは唖然とした。
「は?」
「君も片棒を担いじゃったんだから、少しは反省してよ」
「片棒って、言いがかりは止せ」
「言いがかりじゃない。ケーレブのとこのカヴァラシスが、ポラリルソシアやガフラリアやロターチャと仲がいいみたいだから泳がせてたら。一杯食わされちゃった、という話さ」
「はぁ!?クソジジイどもの総大将が?なんのために?」
「さあ。お飾りの大司教だから、案外おだてられただけで図に乗ったのかも?」
冷めた目で大司教をののしるジェラードは。
思い出したことをケーレブに伝えた。
「そうそう。ケーレブと一緒に来た、大司教のオトモダチ全員、ウチの連中と仲良くしてるから、兄さんのとこの馬車で帰るといいよ」
なんでもないことのように言うジェラードに。
ケーレブは頭をかかえた。
「だから誰もこっち来なかったのかよ。あー。教会帰りたくねぇ」
ケーレブは帰路についた後の面倒事に思いをはせて。
ゆううつな気分になった。
大司教からの召喚に。
テンプルトン司教やケーレブ自身に対する風当たりの変化に。
「しばらく泊まってってもいいよ。トヨミの声のこともあるし。大義名分には事欠かないさ」
そこまで言われて。
ケーレブは豊見の声について話していなかったことに気づいた。
「アイツの声だが、限定的に出る」
それを聞いたジェラードは。
訝しんだ目でケーレブを見た。
「どういうこと?」
「魔法を使う際には声が出る。たぶん、オハライのときも出るんだろうな」
ケーレブの言をうけて。
ジェラードは思案した。
「それはヌーメナテネが制限しているととっていいの?」
「さあ。ただ医学的に問題がないことは確かだな」
「へぇ。それは随分とおかしなことになってるね」
話しこむケーレブとジェラードを遮るように。
焦ったようにドアがノックされた。
その様子に。
ジェラードもケーレブも表情を引きしめる。
「入れ」
ジェラードの鋭い声が入室を許可する。
入ってきたのは。
赤毛の男だった。
「んー。見当はつけたけど、証拠はないよ。なんと言っても、国境を含むかなりの地域が封鎖地域だからねえ」
「ポラリルソシアかハプスヴァルトか。はたまたガフラリアか」
ポラリルソシアは北、ハプスヴァルトは東、ガフラリアは南東の隣国だ。
ちなみに。
西には海が広がっている。
「おや?ジャプロンはいいのかい?」
年下の兄弟をからかうようにジェラードが口をはさむ。
ジャプロンはハプスヴァルトのさらに東の国だ。
「あそこは自分達でなんとかしたいって国だろう」
「そうだね。私はポラリルソシアと踏んでいるよ」
「どうしてまた」
「冬を前にしているから。あそこは港が封鎖されるだろう」
「毎年のことだろ」
「だからだよ。毎年困っているからウチに便乗したのさ。魔法使うのをケチって」
ケチっての部分でケーレブは顔をしかめた。
ポラリルソシアが今回の召喚に便乗したせいで。
2人分の召喚に必要な魔力を動かすことになった。
魔法とは。
大気中に無限にある魔力を動かして。
してほしいことを魔法語で伝えることによって成立する。
魔法語とは。
特殊な発音をする言語だ。
発音というより。
この上なく個性的な曲調の民謡をうたう。
と言うほうがあっている。
そのせいで。
人によって魔法語のウマいヘタがはっきり分かれる。
ぶっちゃけると。
オンチかそうでないか。
その違いだ。
魔法語がうまく話せると。
まわりから魔法が上手いと言われる。
この国で一番魔法がうまいのが。
今回倒れたマクルーアだった。
そして。
ポラリルソシアがこの召喚に便乗したとすれば。
タイルによって召喚のための魔法語が描かれた。
あの召喚の場の周辺に。
ポラリルソシアかどこかの間諜が居たということになる。
召喚に便乗するには。
その場にいて。
同時に魔法語を話さなくてはならないからだ。
例えば。
鍵で有名なソロモン王で示してみよう。
ソロモン王が34番の魔物フルフルを呼ぼうとしたとする。
それを聞きつけた人物が。
自分は54番のムルムルを呼びたいと思った。
ところがその人物。
自分で呼びだそうとはしなかった。
ソロモン王が呼びだすときに便乗しようとしたのだ。
ソロモン王が指輪を使ってフルフルを呼ぶ瞬間。
その人物もソロモン王の指輪に願った。
自分はムルムルがほしいと。
すると。
ソロモン王の前には。
時間差でフルフル君とムルムル君が来ましたとさ。
このソロモン王が倒れていた黒マント君ことマクルーア。
フルフルとムルムルが豊見と天牡。
ムルムルを呼びたかった人物が間諜。
指輪が魔力と魔法語。
というわけだ。
そう考えると。
オキツネサマと天使の召喚に成功したことが。
間諜によって他国に伝わるのは時間の問題だ。
「そのせいでマクルーアは死にかけてんのか!?」
「その通りだねぇ。誰が便乗したかはわからないけど。まあ、宣戦布告とでも受け取っておこうと思ってるよ」
「そんな悠長にしてんじゃねぇ!アンタが国境見張ってなかったからこんなことになってんだろ!」
怒りをあらわにするケーレブだが。
ジェラードはどこ吹く風だ。
優雅にカモミールティーをすすっている。
「本当にポラリルソシアから来たとは言えないのが、頭が痛いねぇ」
ジェラードは本当に頭が痛いかのように側頭部をさする。
そんなジェラードにケーレブは唖然とした。
「は?」
「君も片棒を担いじゃったんだから、少しは反省してよ」
「片棒って、言いがかりは止せ」
「言いがかりじゃない。ケーレブのとこのカヴァラシスが、ポラリルソシアやガフラリアやロターチャと仲がいいみたいだから泳がせてたら。一杯食わされちゃった、という話さ」
「はぁ!?クソジジイどもの総大将が?なんのために?」
「さあ。お飾りの大司教だから、案外おだてられただけで図に乗ったのかも?」
冷めた目で大司教をののしるジェラードは。
思い出したことをケーレブに伝えた。
「そうそう。ケーレブと一緒に来た、大司教のオトモダチ全員、ウチの連中と仲良くしてるから、兄さんのとこの馬車で帰るといいよ」
なんでもないことのように言うジェラードに。
ケーレブは頭をかかえた。
「だから誰もこっち来なかったのかよ。あー。教会帰りたくねぇ」
ケーレブは帰路についた後の面倒事に思いをはせて。
ゆううつな気分になった。
大司教からの召喚に。
テンプルトン司教やケーレブ自身に対する風当たりの変化に。
「しばらく泊まってってもいいよ。トヨミの声のこともあるし。大義名分には事欠かないさ」
そこまで言われて。
ケーレブは豊見の声について話していなかったことに気づいた。
「アイツの声だが、限定的に出る」
それを聞いたジェラードは。
訝しんだ目でケーレブを見た。
「どういうこと?」
「魔法を使う際には声が出る。たぶん、オハライのときも出るんだろうな」
ケーレブの言をうけて。
ジェラードは思案した。
「それはヌーメナテネが制限しているととっていいの?」
「さあ。ただ医学的に問題がないことは確かだな」
「へぇ。それは随分とおかしなことになってるね」
話しこむケーレブとジェラードを遮るように。
焦ったようにドアがノックされた。
その様子に。
ジェラードもケーレブも表情を引きしめる。
「入れ」
ジェラードの鋭い声が入室を許可する。
入ってきたのは。
赤毛の男だった。
0
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる