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番外編
大祓2
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約1月前。
場所はブリーズベリー国南部の港町プリスター。
白亜の断崖絶壁の上に築かれた要塞都市だ。
ここのオハライを終えて。
今日は周辺をすこし散策するはずだったんだが。
なぜか。
ジェラード君は俺を馬車に押しこんで。
自分もドカリと隣に座る。
ジェラード君が窓をコンコンコンと叩くと。
馬車が動き出す。
馬車につけたカーテンがしっかり閉まっていることを確認して。
俺は目深にかぶっていたフードを外す。
それから。
頭の上で伏せていた耳をパタパタ動かし。
髪をほぐすように頭をマッサージする。
はー。
すっきりした。
フードかぶってると耳が窮屈なんだよなこのポンチョ。
でも。
耳と尻尾を隠すためには必要なんだよな。
難儀だなぁ。
そう思っていると。
ジェラード君が口を開いた。
「もうそろそろ年が変わるね。たしかトヨミは年が変わる時期にしかできない儀式がある、と言ってなかったかい?」
あ。
そうか今年も。
もうそんな時期か。
そうですね。
ありますね。
とうなづく。
年越しにしかできない。
いや。
やらない儀式。
正確には。
年越しと。
その半年後にしかやらない儀式があるっちゃある。
大祓だ。
夏越の大祓。
ということばを聞いたことはないだろうか?
夏を無事に過ごせるようにと祈る祭のことだが。
京都では。
祇園祭の締めくくりとなる祭だ。
茅の輪をくぐり。
無病息災を願うまつり。
これが半年後の夏越の大祓。
年末の大祓は。
名前そのまま。
年越の大祓
半年間の穢をの祓いましょう。
という儀式だ。
詳しいやり方は知らないが。
大祓詞というものがあるから。
それを唱えればなんとかなるんじゃなかろうか。
大祓以外にも。
新年を迎える儀式があるはずだけど。
それは本当に知らない。
正式な儀式は皇族にしか伝わっていないそうだが。
普通の神社でやるような儀式も知らない。
知ってるのは。
書き初めの書き損じを焼べるどんど焼きぐらい。
近所の神社でやってた。
大祓以外にも。
もう一つ。
すす払いだ。
べつにこれは儀式でもなんでもない。
神社仏閣の慣習だ。
1日でやらずとも。
掃除強化週間にでもして。
皆で綺麗にしてもらえばいいか。
除夜の鐘?
私を忘れたらどうなるかわかってるでしょうね?の荼枳尼天の慣習だから。
慣習を忘れる可能性のあるこの国では絶対にやっちゃダメだ。
たぶんきっと。
この世界で除夜の鐘やり忘れたら。
農作物に始まり。
経済だけじゃなく全てひっくるめて国ごと全部ダメになる。
けっこう恐いんだよ。
荼枳尼天さんは。
【大祓とすす払いのことですね】
「そう。それを城の大聖堂で行いたいんだ。いつできそうかな?」
ジェラード君がニコニコと聞いてくる。
どうら楽しみにしていたようだ。
あー。
だから馬車に乗ったのか。
城に帰るために。
いつ?
ああ。
時間か。
朝か昼か夜か。
どれがいいだろう?
昼からの方が人も集まりやすいし。
晩餐会が開けるからいいのかな?
【昼はどうでしょうか?】
ジェラード君の反応が悪かった。
ん?
どういうことだ?
「いつの昼がいいのかな?」
いつって日にちのこと聞いてたのか。
31日一択だから日にち聞かれてるとは思わなかった。
【1年の最後の日に行う儀式なので、最後の日にお願いします】
「そうなのか。わかった。年内最終日の昼を押さえておこう。衣装は上が白に下が紫だったな?」
はい。
とうなずく。
祈る神が違うから。
たぶん衣装は関係ないと思うが。
何事も形から。
とジェラード君に説き伏せられて。
神社で見た服を見よう見まねで作ってもらったのだ。
そしてできたのが。
なんちゃって狩衣。
白装束の上に紫色の袴を履くという。
なんとなく神主さんっぽい衣装。
袴についてる丸い模様は獅子と三ッ足の鷲。
ジェラード君の紋章から取ったものだ。
「オオハラエはそうするように言っておくよ。で、ススハライとはどんな儀式なんだい?」
【すす払いは儀式ではなく、行事に近いですね。1年でたまったすすーホコリを払おうという行事です。要するに、普段掃除しない場所を掃除しましょうという話ですね】
「なるほど。それはいい行事だね。普段掃除しない箇所はどうしても汚れてしまうから、これを機に掃除するのもいいかもしれない」
ニコニコと嬉しそうなジェラード君は。
懐に手を突っ込むと。
赤い袋を取り出した。
「さて、本題に入ろうか」
場所はブリーズベリー国南部の港町プリスター。
白亜の断崖絶壁の上に築かれた要塞都市だ。
ここのオハライを終えて。
今日は周辺をすこし散策するはずだったんだが。
なぜか。
ジェラード君は俺を馬車に押しこんで。
自分もドカリと隣に座る。
ジェラード君が窓をコンコンコンと叩くと。
馬車が動き出す。
馬車につけたカーテンがしっかり閉まっていることを確認して。
俺は目深にかぶっていたフードを外す。
それから。
頭の上で伏せていた耳をパタパタ動かし。
髪をほぐすように頭をマッサージする。
はー。
すっきりした。
フードかぶってると耳が窮屈なんだよなこのポンチョ。
でも。
耳と尻尾を隠すためには必要なんだよな。
難儀だなぁ。
そう思っていると。
ジェラード君が口を開いた。
「もうそろそろ年が変わるね。たしかトヨミは年が変わる時期にしかできない儀式がある、と言ってなかったかい?」
あ。
そうか今年も。
もうそんな時期か。
そうですね。
ありますね。
とうなづく。
年越しにしかできない。
いや。
やらない儀式。
正確には。
年越しと。
その半年後にしかやらない儀式があるっちゃある。
大祓だ。
夏越の大祓。
ということばを聞いたことはないだろうか?
夏を無事に過ごせるようにと祈る祭のことだが。
京都では。
祇園祭の締めくくりとなる祭だ。
茅の輪をくぐり。
無病息災を願うまつり。
これが半年後の夏越の大祓。
年末の大祓は。
名前そのまま。
年越の大祓
半年間の穢をの祓いましょう。
という儀式だ。
詳しいやり方は知らないが。
大祓詞というものがあるから。
それを唱えればなんとかなるんじゃなかろうか。
大祓以外にも。
新年を迎える儀式があるはずだけど。
それは本当に知らない。
正式な儀式は皇族にしか伝わっていないそうだが。
普通の神社でやるような儀式も知らない。
知ってるのは。
書き初めの書き損じを焼べるどんど焼きぐらい。
近所の神社でやってた。
大祓以外にも。
もう一つ。
すす払いだ。
べつにこれは儀式でもなんでもない。
神社仏閣の慣習だ。
1日でやらずとも。
掃除強化週間にでもして。
皆で綺麗にしてもらえばいいか。
除夜の鐘?
私を忘れたらどうなるかわかってるでしょうね?の荼枳尼天の慣習だから。
慣習を忘れる可能性のあるこの国では絶対にやっちゃダメだ。
たぶんきっと。
この世界で除夜の鐘やり忘れたら。
農作物に始まり。
経済だけじゃなく全てひっくるめて国ごと全部ダメになる。
けっこう恐いんだよ。
荼枳尼天さんは。
【大祓とすす払いのことですね】
「そう。それを城の大聖堂で行いたいんだ。いつできそうかな?」
ジェラード君がニコニコと聞いてくる。
どうら楽しみにしていたようだ。
あー。
だから馬車に乗ったのか。
城に帰るために。
いつ?
ああ。
時間か。
朝か昼か夜か。
どれがいいだろう?
昼からの方が人も集まりやすいし。
晩餐会が開けるからいいのかな?
【昼はどうでしょうか?】
ジェラード君の反応が悪かった。
ん?
どういうことだ?
「いつの昼がいいのかな?」
いつって日にちのこと聞いてたのか。
31日一択だから日にち聞かれてるとは思わなかった。
【1年の最後の日に行う儀式なので、最後の日にお願いします】
「そうなのか。わかった。年内最終日の昼を押さえておこう。衣装は上が白に下が紫だったな?」
はい。
とうなずく。
祈る神が違うから。
たぶん衣装は関係ないと思うが。
何事も形から。
とジェラード君に説き伏せられて。
神社で見た服を見よう見まねで作ってもらったのだ。
そしてできたのが。
なんちゃって狩衣。
白装束の上に紫色の袴を履くという。
なんとなく神主さんっぽい衣装。
袴についてる丸い模様は獅子と三ッ足の鷲。
ジェラード君の紋章から取ったものだ。
「オオハラエはそうするように言っておくよ。で、ススハライとはどんな儀式なんだい?」
【すす払いは儀式ではなく、行事に近いですね。1年でたまったすすーホコリを払おうという行事です。要するに、普段掃除しない場所を掃除しましょうという話ですね】
「なるほど。それはいい行事だね。普段掃除しない箇所はどうしても汚れてしまうから、これを機に掃除するのもいいかもしれない」
ニコニコと嬉しそうなジェラード君は。
懐に手を突っ込むと。
赤い袋を取り出した。
「さて、本題に入ろうか」
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