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67.ニコルと新入り達3
しおりを挟む『三匹か!今宵の晩飯はオーガとなったな!』
サンダーエッジが大声(?)でそう叫ぶと遠くから様子を窺っていたオーガ3匹が慌てて身構える。
しかし、
『遅いわ!』
身構える前に竜の鋭い爪が強靭な前足と共に1匹のオーガを襲う。
片方の足は腕でガード出来たようだが残念ながら竜の前足は左右1本づつ、つまりもう一本ある。
片方ガードしきれなかったためあっさりと首が飛んだオーガがその場で崩れる残りは二匹だが今の惨状を見て気を引き締めて間合いをはかっている、例え格上の存在であろうと引くつもりはないようだ。
『そのいきやよし!まずは貴様だ!』
左右から挟む形で囲もうとしているオーガに、時間は与えるつもりがない竜は右側を担当しようとしたオーガに跳びかかる。
しかしオーガもタダでやられるわけにはいかないと今度のオーガはうまく両前足を掴み何とか直撃を免れる。
その隙に背後にいるオーガが使い慣れた棍棒を手に跳びかかる。
しかしそれは竜の鞭のような尻尾から想像もできない一撃で真後ろに吹き飛ばされる結果となった。
背後の憂いも無くなったので目の前もオーガに集中する竜、このまま力比べしてても・・・まぁすぐ終わりそうなのだが、背後のオーガがいまだ角を集めている雪鱗の方に向かって行くのも面白くない。
早めに片付けたいので尻尾と左側の後ろ脚で踏ん張り右側の後ろ脚をオーガの膝に叩き込み、前足ほどではないが鋭い爪でオーガの左足を引きちぎる。
バランスが崩れたオーガにそのままのしかかり勢いを殺すことなく喉に食らいつきオーガの顎ごと噛み千切る・・・口が大きすぎたのか喉だけに噛みつくより纏めて噛みついた方が手っ取り早かったようだ。
そして最後に背後で伸びているオーガに左前脚の鋭い爪が振り下ろされる。
「早!もうオーガ一掃したんだ」
驚きに作業が止まる雪鱗、サンダーエッジがオーガを補足して片付けるまで5分とかかっていない、角もまだ半分くらいしか回収できてないのだ。
「サンちゃん急ごう!」
「わん!」
雪鱗とサン太郎が急いで角の回収に戻るその背後から突然何かが迫る!
「きゃいん!」
「へ?サンちゃん・・・」
その何かにギリギリ気づいたサン太郎が雪鱗を突き飛ばし、雪鱗めがけて放たれた攻撃を代わりに受ける。
「うそ!こんなに近づかれるまで、こんな奴の気配に気づけなかったなんて」
目の前にいるオーガを見て雪鱗が呟く、確かに昨日聞いていたオーガの数は5匹、一匹は昨日、三匹はつい今しがたサンダーエッジが片付けた、つまりこいつが最後の一匹である。
自分の代わりにオーガと闘っていた竜の気配が強すぎたからかオーガをこんなに近づかせていたのに雪鱗もサン太郎も気づかなかった。
「ぐぅおおおお!」
獲物を仕留めた!竜の裏をかいてやった!その咆哮にそんな意味でも含まれてるかのようにオーガの顔は醜悪な顔をさらにゆがませ笑う。
サン太郎にかばわれた雪鱗だったが突き飛ばされた拍子に尻餅をついてしまい手に持っていた槍も転がしてしまっていた。
そしてオーガは手に持っている棍棒を振り上げて雪鱗に渾身の一撃を放つ姿勢を取り、その攻撃を止められるであろう竜は他のオーガを倒した際にちょっと離れた距離にいるため間に合わない・・・まさに絶体絶命といえる。
「ぐぅおおおお!」
「ししょぉぉぉぉ!」
今際の際によんだ者は一緒に暮らしてきた親兄弟じゃなく、昨日初めて会い強烈な印象を雪鱗に与えて、今の自分の目標として胸のうちの大半を占めている男の自分がつけたあだ名。
そして町でゆっくりしている為絶対にここに現れることのない人間を呼ぶ、刹那。
オーガの振り下ろした腕が空ぶる・・・。
何故かオーガの腕が二の腕の付け根から無くなっていたのだ。
その二の腕は雪鱗の横に「ドン!」という音と共に落ちてきた。
「やれやれ、サンダーエッジやサン太郎がいるから心配じたいはしないで済むと思っていましたのに、この状況はちょっとひどいですよ」
という声と共に現れた少年は言葉を重ねる、
「後で兄さんに報告しときますからね、サン太郎、サンダーエッジ、そして雪鱗さん」
という言葉と共に腕を失い唖然としてボーっと立っていたオーガに急接近し抜き身の剣を下段から切り上げ跳躍しオーガを股下から両断する。
事が急すぎて頭が追い付かない雪鱗と慌てて戻ろうとして空振りに終わったサンダーエッジが唖然としている中、
「さて、片付きましたし・・・サン太郎に回復魔法をかけながら帰りましょう。みんな心配して待ってますよ」
と剣を鞘に納めつつサン太郎の許に歩いていくニコルの足音が静寂を取り戻した森によく響いた。
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