一振りの刃となって

なんてこった

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93.オタク山3

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『ニコルよ』
「なんです、兄さん?」
『昨日の竜の素材が欲しいかも』
「じゃあ探しに行きますか?」
『うむ』
「他に皆さんはどうしましょうか?」
『ギルドに依頼終了の報告をしてもらえばいいだろ、俺らは後で合流したらいい』
「ではそうしましょう」
 というやり取りの後、ニコルがサラたちを説得して赤竜捜索に出かける。
 因みに、
「一人で赤竜討伐でもする気なの?」
 というサラの質問にニコルは、
「兄さんもほぼ一人で雷凄を押えましたし、兄さんに追いつくためにも竜の1匹や2匹軽く相手に出来なきゃいけません」
 という言葉にサラは何言っても屁理屈で返してくると説得を諦めたようだった。


 というわけで現在、昨日竜を見上げた場所まで到着した。
 今回はニコルだけである為かなり早い到着となった。
『さて、どこにいるかね?』
「探せるんですか?」
『俺の探知範囲には引っ掛からんな』
「そうですか」
 しくじったな~ワン太郎辺りを連れて来とくべきだったかな?
『とりあえず奥にでも行くか』
「そうですね」
 こうしてニコルはどんどん山を登っていく事になった。


 一時間ほどオタク山を登っていると途中様々な魔物に歓迎されたのでレッドアーマーを常時纏いながら登るように指示を出す、この鎧纏っておけば体重も若干軽くなるし丁度いいだろう。
 更に登っていくニコル、と少し開けた場所に出る。
 どうも最近開けたようだ、広場は横に長く広がっており今通っている道に丁度十時になるように広がっている・・・まぁ何かでかい物が高速で転げ落ちたんだろうな。
 倒れている木の流れに沿って視線を向けていくとその先には、昨日見た赤い竜の成れの果てが転がっていた。
『死んでたか、まぁ当然だよな』
「昨日見たのが何らかの戦闘だったら敗戦色が濃厚でしたからね」
 負けてることは予想していたので死んでいるだろうとは思っていたのだが、思ったよりも残骸が残っているようだ。
 というか深い傷やらはあるが無くなってる部分がほとんど無く、傷なんかに目をつむれば綺麗な状態で死んでいた・・・血みどろ汚いけどね、まぁ赤竜の死体が放つ異臭は鎧が遮断してるからニコルに影響ないけど。
『何が目当てでこいつを殺したんだろうな?』
「分かりません、もしかしたら近くに巣でもあるんじゃないですか?」
『卵とか財宝狙いか・・・それなら分からんでもないがな、勿体なく感じるのは貧乏性だからかな?』
「常識を僕達に合わせるからそう思うんじゃないですか?きっと僕達と違い大容量袋を持って無かったから持ち帰れる分だけにしたんじゃないでしょうか?」
 そんなもんかもね。
『ところでニコルよ』
「なんです兄さん?」
『その袋の名前呼びやすい奴にしたいな~って思うんだがどうかな?』
「そうですか、何か候補でもありますか?」
『とりあえず見た目のサイズでアイテムポーチ、略してアイポでいこう』
「略するんですか?」
『いいじゃん、ギャル風にIPって名前にするか?』
「ギャル風?・・・アイポでいきましょう」
 等とくだらない話をしながらも竜の死体に近づいていくニコル。
 目の前まで近づいて一言。
「さすがに大きいですね、竜とはいえこんな大きな肉の塊に魔物たちはなぜ群がらなかったのでしょうか?」
『さっき結界みたいのが張られてたから、それのせいだろ?』
「へっ?」
 ニコルが間抜けな声を出す、珍しいな録音しとくべきだった・・・無理だけど。
「お前!それは俺が仕留めた得物だぞ、そもそも俺が張って置いた術をどうやって見破った!」
「へっ?」
 鎧の効果で結界を勝手に見破っていたのさニコル、まだまだ甘いな!
 ニコルが声のした方にふりかえるとそこにいたのは。
 黒い髪を伸ばし大きな目にある金色の瞳は縦に切れ長になっていて、肌は健康的に日に焼けている、耳は長く先がとがっており頭から羊の角みたいのが2本生え、何らかの革で出来てるライダースーツみたいな服を上下に身に着けた青年が腕を組んで立っていた。
 気になるのは青年の両肩辺りに剣みたいなのがみたいなものが浮いている。
『昨日、上空でこいつと闘ってたのは君か?』
 なるべくニコルっぽく質問してみる、兜で口元隠されてるから俺がしゃべっても問題なし・・・多分。
「そいつは昨日俺に絡んできたから叩きのめしてやったんだが、加減を間違っちまってな」
『それで倒したと、なぜ放置してたんだ?』
 とりあえず質問には答えてくれるようだ、どんどん質問してみる。
「とりあえず食べる分だけ切り取って食っているんだ、だがこの分では食い切る前に腐るのが早いだろう」
『それならこいつを俺にくれないか?』
 とりあえず無茶だが提案をしてみる。
「ただでやるのは嫌だな、何か寄越せ」
 交渉自体はできそうだ、あげるならあれでいいかな?
『ニコル、アイポを作る』
 その言葉にニコルは頷くと、ただの道具袋を取り出す。
『”ペースト”』
 俺の中にある術式をそのまま道具袋に付与する、アイポの完成だ。
『この道具袋、名をアイポというんだがこいつは見た目と違いその口に入る物なら家一軒分まで収納可能な道具袋だ。
 これと交換してくれないか?』
 と竜の死体の所有者に提案する。
「そんな便利なものをくれるのか?胡散臭いな」
 信用されなかった、
「そんな袋よりもその剣をよこせ!」
『殺すぞ?』
「なに?」
 いかん、うっかり本音が漏れた。
『この剣は大事なものだから無理だ』
「ならその竜はやらん、他を当たれ」
 このガキ・・・ガキかどうかは知らんけど。
 もういいか、こいつやっちゃおう。
 ここならこないだの魔倫会みたいなことにならないだろうし・・・
 そうだ、先に確認しておくかな。
『お前の所属を訊いていいか?』
「なんだよ、所属?そんなもの無いな!」
『なるほど、ならこの剣を受け取れ』
 というとニコルに俺を投げ渡すよう指示する。
「なんだ、くれるんならさっさとすればよかったんだ」
 俺をキャッチしたそいつはそう喋る。
「ではこの竜は僕がいただきますね」
 とニコルが言うと。
「やるとは一言も言ってないだろう?」
 竜の所有者が口の端を吊り上げあざ笑うようにそう言いだす。
「お前がここで死ねば、ここにあるものすべて俺の物だ!」
 言い終わる前にニコルに跳びかかろうとした竜の所有者、だが。
『そんな奴だと思ってた”ソウルイーター”』
 ニコルにたどり着く前に俺ことファルシオンから棘を伸ばし額を貫く。
 まともに戦ってたらお互い無事じゃすまないと思っていたので騙しあいをすることになったが、まぁ剣が意志を持ってるとは思わなかったようだな。
『一丁あがりだな』
「ですね」
 ニコルとこいつの戦闘シーンも見て見たい気がしたけどリスクを回避できるならそうしたほうがいいだろ?
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