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第12話「こどもドラゴンの噂」
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「うえーん、うえーん!」
「ん? どうしたんだそんなに泣いて」
「うえーん、うえ──お兄さん、だぁれ?」
「俺はレッド。一応、みんなからは勇者って呼ばれてる」
公園のベンチを座ろうとしたところで少女の泣き声が聞こえてきた。公園をぐるりと見回してみると公園の隅の方でしゃがんで泣いているマリンと同じくらいのこどもドラゴンの姿が見えた。
俺は公園のベンチにリンゴや包装されたクロワッサンを置くとゆっくり、そのこどもドラゴンに近寄って話し掛けた。
「……ゆ、ゆうしゃさま?」
「ああ、そうだ。勇者さまだ。どうしたんだ? 何か悩みがあるんなら言ってごらん?」
「……ゆうしゃさま、たすけてくれるの?」
「ああ、もちろんだとも。だから良かったら話してみてくれないか?」
「うん、わかった。あのね、」
しゃがんで、こどもドラゴンと同じ目線の高さになる。こどもドラゴンは涙に濡らした顔を両手で拭うと話してくれた。その内容は衝撃的なものだった。
「友達が帰ってこない?」
「うん……もう二週間は帰ってきてないみたいなの」
「二週間か。それはまた長いな……その子のお父さんやお母さんはなんて言ってるんだ?」
「わかんない……教えてくれないもん……ハド、いつお家に行ってもいないの……」
友達が帰って来ない。二週間もだ。この子と同じくらいの歳なら帰って来ないのははっきり言って異常だ。それにハドという子の両親が言葉を濁すということはそれだけのことがハドという子の身に起きているってことだ。
「ねえ、ゆうしゃさま……ハド、帰ってきてくれるかな? それともパンナのこと嫌いになったから会ってくれないのかな?」
「そんなことあるもんか。俺はハドって子のことは知らないがこんなにパンナが心配してるのに嫌いになんてあるもんか」
「ほんとう?」
「ああ、本当さ。俺がその子を必ず見つけてきてやる。だから元気出せ。ハドが今の元気のないパンナを見たらきっと悲しむぞ?」
「ハドが……うん、元気出す。パンナ、ゆうしゃさまを信じるね?」
「ああ! 勇者さまにおまかせあれだ!」
相当泣いたんだろうな……パンナの目は赤く腫れていた。それだけハドのことを心配してたんだな。可哀想に。
「パンナ、帰るね? お母さんとお姉ちゃんにお昼ごはんまでに帰って来なさいって言われてるの」
「ああ、それは早く帰った方がいい。きっと今頃パンナが帰ってくるのをお母さんもお姉ちゃんも待ってるぞ」
「うん。またね、お兄さん」
「ああ、気をつけて帰れよ?」
パンナは笑顔になると公園を出ていく。そんな背中を俺は見えなくなるまで静かに見守っていた。
「レッド? 食べないの?」
「イリス、買ってきてくれたんだな。ありがとな」
「……パンナと話していたの?」
「うん。それについて聞きたいことがあるんだけど、いいか?」
イリスが後ろから話しかけてきた。振り向くとイリスの両手には飲み物が握られていた。
それを受け取りベンチへと腰掛けてベンチに置いていたリンゴとパンを手に取る。イリスに話しながら食べることにした。
「良いけど、なに?」
「パンナの友達、ハドって知ってるか?」
「ハド? 知ってるわ。パンナとハドは仲良しでいつもふたりで遊んでるからね」
「そのハドが行方不明って話は知ってるか?」
「…………」
イリスは俺がハドは行方不明だという話をすると急に黙ってしまった。言えないという感じでもない。ただ話しても良いものかとイリスが迷ってるように俺には見えた。
「イリス?」
「……最近、変なのよ」
「変? 変って何が?」
「子供が、子供ばかりが行方不明になるのよ」
「子供ばかりってハドが初めてじゃないのか!?」
イリスは重い口をを開いてくれた。俺はてっきり、勝手にハドだけがいなくなったのかと思っていたがどうやらそれは違ったらしい。俺は驚きの余りに大声を上げてしまった。
「シーっ! 静かに! 一応、これは公になっていないことなんだからっ!」
「わ、悪い……」
「いいわ。でもただ一つ言えることは幼龍が行方不明になったのは一匹や二匹じゃないの……」
「そう、なのか……」
大声を出してしまったせいか親ドラゴンや、こどもドラゴンの視線が俺に集中してしまった。数秒間の沈黙の後、親ドラゴンたちの視線は外れて賑やかさを取り戻した。俺はイリスに注意されてしまう。確かに大声を出したのは俺が悪かった。行方不明──いや、これはそんな曖昧なものじゃない。きっと誘拐事件だ。誰がどんな理由でやってるのかわからないがイリスは一匹や二匹じゃないと言う。これを現実に照らし合わせて考えると間違いなく人攫《ひとさら》いならぬ龍攫《さら》いだ。
「……今日はもう帰りましょうか。なんだか湿っぽくなってしまったし」
「だな。俺も調べたいことあるし」
リンゴやパンを食べて休憩を終えた俺たちはそろそろ帰ることにした。このまま城下町を歩いても城下町のドラゴンたちに不審がられてしまう気しかしないしイリスの提案は妥当なものだった。
「調べたいこと……? あんたまさか!」
「お、落ち着けイリス。別に何か物騒なことを調べようってわけじゃないんだから」
「……本当でしょうね?」
「ああ、もちろんだ」
「分かったわ。信じるわよ?」
しまった口が滑ってしまって俺が調べたいことがあるとイリスは立ち上がり俺に迫ってきた。そんなイリスに俺は宥《なだ》めように優しく言った。イリスはジト目を向けてきたが俺はイリスの言葉にしっかりと頷いてみせた。
「ん? どうしたんだそんなに泣いて」
「うえーん、うえ──お兄さん、だぁれ?」
「俺はレッド。一応、みんなからは勇者って呼ばれてる」
公園のベンチを座ろうとしたところで少女の泣き声が聞こえてきた。公園をぐるりと見回してみると公園の隅の方でしゃがんで泣いているマリンと同じくらいのこどもドラゴンの姿が見えた。
俺は公園のベンチにリンゴや包装されたクロワッサンを置くとゆっくり、そのこどもドラゴンに近寄って話し掛けた。
「……ゆ、ゆうしゃさま?」
「ああ、そうだ。勇者さまだ。どうしたんだ? 何か悩みがあるんなら言ってごらん?」
「……ゆうしゃさま、たすけてくれるの?」
「ああ、もちろんだとも。だから良かったら話してみてくれないか?」
「うん、わかった。あのね、」
しゃがんで、こどもドラゴンと同じ目線の高さになる。こどもドラゴンは涙に濡らした顔を両手で拭うと話してくれた。その内容は衝撃的なものだった。
「友達が帰ってこない?」
「うん……もう二週間は帰ってきてないみたいなの」
「二週間か。それはまた長いな……その子のお父さんやお母さんはなんて言ってるんだ?」
「わかんない……教えてくれないもん……ハド、いつお家に行ってもいないの……」
友達が帰って来ない。二週間もだ。この子と同じくらいの歳なら帰って来ないのははっきり言って異常だ。それにハドという子の両親が言葉を濁すということはそれだけのことがハドという子の身に起きているってことだ。
「ねえ、ゆうしゃさま……ハド、帰ってきてくれるかな? それともパンナのこと嫌いになったから会ってくれないのかな?」
「そんなことあるもんか。俺はハドって子のことは知らないがこんなにパンナが心配してるのに嫌いになんてあるもんか」
「ほんとう?」
「ああ、本当さ。俺がその子を必ず見つけてきてやる。だから元気出せ。ハドが今の元気のないパンナを見たらきっと悲しむぞ?」
「ハドが……うん、元気出す。パンナ、ゆうしゃさまを信じるね?」
「ああ! 勇者さまにおまかせあれだ!」
相当泣いたんだろうな……パンナの目は赤く腫れていた。それだけハドのことを心配してたんだな。可哀想に。
「パンナ、帰るね? お母さんとお姉ちゃんにお昼ごはんまでに帰って来なさいって言われてるの」
「ああ、それは早く帰った方がいい。きっと今頃パンナが帰ってくるのをお母さんもお姉ちゃんも待ってるぞ」
「うん。またね、お兄さん」
「ああ、気をつけて帰れよ?」
パンナは笑顔になると公園を出ていく。そんな背中を俺は見えなくなるまで静かに見守っていた。
「レッド? 食べないの?」
「イリス、買ってきてくれたんだな。ありがとな」
「……パンナと話していたの?」
「うん。それについて聞きたいことがあるんだけど、いいか?」
イリスが後ろから話しかけてきた。振り向くとイリスの両手には飲み物が握られていた。
それを受け取りベンチへと腰掛けてベンチに置いていたリンゴとパンを手に取る。イリスに話しながら食べることにした。
「良いけど、なに?」
「パンナの友達、ハドって知ってるか?」
「ハド? 知ってるわ。パンナとハドは仲良しでいつもふたりで遊んでるからね」
「そのハドが行方不明って話は知ってるか?」
「…………」
イリスは俺がハドは行方不明だという話をすると急に黙ってしまった。言えないという感じでもない。ただ話しても良いものかとイリスが迷ってるように俺には見えた。
「イリス?」
「……最近、変なのよ」
「変? 変って何が?」
「子供が、子供ばかりが行方不明になるのよ」
「子供ばかりってハドが初めてじゃないのか!?」
イリスは重い口をを開いてくれた。俺はてっきり、勝手にハドだけがいなくなったのかと思っていたがどうやらそれは違ったらしい。俺は驚きの余りに大声を上げてしまった。
「シーっ! 静かに! 一応、これは公になっていないことなんだからっ!」
「わ、悪い……」
「いいわ。でもただ一つ言えることは幼龍が行方不明になったのは一匹や二匹じゃないの……」
「そう、なのか……」
大声を出してしまったせいか親ドラゴンや、こどもドラゴンの視線が俺に集中してしまった。数秒間の沈黙の後、親ドラゴンたちの視線は外れて賑やかさを取り戻した。俺はイリスに注意されてしまう。確かに大声を出したのは俺が悪かった。行方不明──いや、これはそんな曖昧なものじゃない。きっと誘拐事件だ。誰がどんな理由でやってるのかわからないがイリスは一匹や二匹じゃないと言う。これを現実に照らし合わせて考えると間違いなく人攫《ひとさら》いならぬ龍攫《さら》いだ。
「……今日はもう帰りましょうか。なんだか湿っぽくなってしまったし」
「だな。俺も調べたいことあるし」
リンゴやパンを食べて休憩を終えた俺たちはそろそろ帰ることにした。このまま城下町を歩いても城下町のドラゴンたちに不審がられてしまう気しかしないしイリスの提案は妥当なものだった。
「調べたいこと……? あんたまさか!」
「お、落ち着けイリス。別に何か物騒なことを調べようってわけじゃないんだから」
「……本当でしょうね?」
「ああ、もちろんだ」
「分かったわ。信じるわよ?」
しまった口が滑ってしまって俺が調べたいことがあるとイリスは立ち上がり俺に迫ってきた。そんなイリスに俺は宥《なだ》めように優しく言った。イリスはジト目を向けてきたが俺はイリスの言葉にしっかりと頷いてみせた。
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