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第13話「行方不明の幼龍を捜せ!」
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「そろそろ夕方かぁ……それにしても掛かっていたはずの部屋の鍵が何故か開いてるんだよな」
あの後、イリスと昼過ぎに別れて俺は自室で寛いでいた。そこでふとした疑問が頭に浮かんだ。それは鍵が開いているときと閉まっているときがあることだ。鍵が閉まっているときは大抵少し適当に暇潰ししていたら戻ってくるときには開いてるんだが。なんだ? 誰か出入りしてるのか?
「それは私が開けているからです」
「うわあああ!? さ、サキ? いつからってかどこから出てきたんだ!?」
「もちろんベッドの下です」
ポニテクノイチドラゴンのサキがベッドの下から出てきた。びっくりした。まさかこの世界にもベッドの下に隠れるなんてホラーゲームのプレイアブルキャラクターみたいなことをする奴がいるとは。
「ベッド? どうしてベッドの下になんて」
「もちろん、勇者殿をお護りするためですよ」
「お護りって今までずっと?」
「もちろんですとも! 聖龍王さまのご命令ですから!」
えっへんと胸を張るサキ。聖龍王の命令。まさかあのおっさん、そんな命令をしていたとは。まったく気付かなかったぜ……
「どうして俺なんだ? 姫さまとかマリンとかイリスとかいるだろ」
「たしかに姫さまたちを護るのも私の役目。しかし一番危ういのは勇者殿! あなたなのです!」
「それは俺が弱いから?」
「別に勇者殿が弱いとは申しません。邪竜兵を二度退けてくれたのですから勇者殿は強いかもしれません」
「だろ?」
邪竜族が攻めてきたのが一回、マリンを助けたときで一回。計二回、俺は邪竜族を退けたことになる。どちらもたまたま感が否めないが。
「ですが、それも勇者の力あってのこと。勇者の力がない貴方はあまりにも脆く、か弱い」
「そ、それはそうだけど」
サキの言う通りだ。勇者の力のない俺が勝てる奴なんてこの世界にはいないのかもしれない。恐らく今日公園で出会ったか弱そうに見えたロリドラゴンのパンナと力比べをしたとしても俺は勝てないだろう。それはあの山で大岩を破壊して見せたマリンを見てから何となく感じていた。コドモドラゴンといえど、人間の男ですら力では歯が立たないんだ。
「だからこそ護ってあげたいのです!」
「サキ……」
サキは少し興奮したように言った。そのまっすぐな真剣さが俺の胸を打った。
「だからなんでも言ってください。私にできることならお手伝いしますよ」
「実はちょっと悩んでてな」
「悩み、ですか?」
俺はサキに話すことにした。こいつなら忍者だし、そういう話に精通してるかもしれない。
「それは幼龍失踪事件のことですね」
「幼龍失踪事件? 巷ではそう呼ばれているのか」
「えぇ。詳しいことは掴めていませんがどの幼龍も一匹になったときにいなくなっているようです」
「……一匹のとき、か」
幼龍失踪事件。そうサキは言った。一匹のときなら幼いドラゴンが単純に失踪したというのは考えにくい。それならやはり誘拐されたと考えるのが自然な気がする。
「勇者殿はハドという少年を捜してるのですね?」
「ああ、ハドの友達のパンナって子が心配してるんだ。だからハドを見つけて会わせてやりたい」
俺は知らなかったがどうやらハドというのは男の子らしい。
「パンナ……リースのパン屋の次女ですね」
「リースのパン屋?」
「はい。パンナさんはリースのパン屋の店長、リースさんの妹さんですね」
リース。今日の昼前に出会ったバンダナの素朴な感じの女性。イリスと面識があって、パン屋をやっていると言っていた。パンナは彼女の妹だったのか。
「そうなのか。とにかく俺はハドに会わせてやりたい。だから協力してくれないか?」
「協力するのはもちろんいいですよ。私は何をすればいいですか?」
「そ、そうだな……何をすればハドは見つけられるか……」
サキに協力してもらうには何をどうするか伝えないといけない。何をどうすればハドを──失踪したこどもドラゴンたちを見つけられるのか。足で探すか? 町のドラゴンたちに聞き込みをして──でも俺が勇者として有用だったとしてもコドモドラゴンについて教えてくれるのか? 例えば街中で子供を捜していると言っても協力的になって教えてくれるのか?
「勇者殿。一つ、私に考えがあります」
「考え? 聞かせてくれるか?」
「はい。勇者殿はパンナさんと面識があるんですよね?」
「面識って言うか、ちょっと話を聞いただけだけど」
本当にそうだ。パンナとは少し悩みを聞いたくらいで特別何かを知っているわけでもない。その証拠に俺はパンナがリースの妹だということも知らなかった。
「それだけで充分です。パンナさんを護衛しましょう」
「え? 護衛?」
「はい。もしもこの一連の騒動が何者かの誘拐によるものなら次に狙われるのはパンナさんの可能性が高いです」
「あ……そうか。そうだよな……」
確かにサキの言う通りだ。俺はあまり考えていなかったがコドモドラゴンが一匹のときに狙われるのならパンナが狙われると考えるのが普通だ。
「護衛と言っても近くで守るというよりも少し離れたところから見守るという形になりますが」
「それでパンナが守れて、ハドが見つかるなら俺はやるよ」
「決まりですね。それでは明日、リースのパン屋が開店した頃を見計らって行きましょう」
「合流場所はどうする?」
こうして俺とサキはパンナを守り、ハドを見つけ出すための作戦を開始した。
あの後、イリスと昼過ぎに別れて俺は自室で寛いでいた。そこでふとした疑問が頭に浮かんだ。それは鍵が開いているときと閉まっているときがあることだ。鍵が閉まっているときは大抵少し適当に暇潰ししていたら戻ってくるときには開いてるんだが。なんだ? 誰か出入りしてるのか?
「それは私が開けているからです」
「うわあああ!? さ、サキ? いつからってかどこから出てきたんだ!?」
「もちろんベッドの下です」
ポニテクノイチドラゴンのサキがベッドの下から出てきた。びっくりした。まさかこの世界にもベッドの下に隠れるなんてホラーゲームのプレイアブルキャラクターみたいなことをする奴がいるとは。
「ベッド? どうしてベッドの下になんて」
「もちろん、勇者殿をお護りするためですよ」
「お護りって今までずっと?」
「もちろんですとも! 聖龍王さまのご命令ですから!」
えっへんと胸を張るサキ。聖龍王の命令。まさかあのおっさん、そんな命令をしていたとは。まったく気付かなかったぜ……
「どうして俺なんだ? 姫さまとかマリンとかイリスとかいるだろ」
「たしかに姫さまたちを護るのも私の役目。しかし一番危ういのは勇者殿! あなたなのです!」
「それは俺が弱いから?」
「別に勇者殿が弱いとは申しません。邪竜兵を二度退けてくれたのですから勇者殿は強いかもしれません」
「だろ?」
邪竜族が攻めてきたのが一回、マリンを助けたときで一回。計二回、俺は邪竜族を退けたことになる。どちらもたまたま感が否めないが。
「ですが、それも勇者の力あってのこと。勇者の力がない貴方はあまりにも脆く、か弱い」
「そ、それはそうだけど」
サキの言う通りだ。勇者の力のない俺が勝てる奴なんてこの世界にはいないのかもしれない。恐らく今日公園で出会ったか弱そうに見えたロリドラゴンのパンナと力比べをしたとしても俺は勝てないだろう。それはあの山で大岩を破壊して見せたマリンを見てから何となく感じていた。コドモドラゴンといえど、人間の男ですら力では歯が立たないんだ。
「だからこそ護ってあげたいのです!」
「サキ……」
サキは少し興奮したように言った。そのまっすぐな真剣さが俺の胸を打った。
「だからなんでも言ってください。私にできることならお手伝いしますよ」
「実はちょっと悩んでてな」
「悩み、ですか?」
俺はサキに話すことにした。こいつなら忍者だし、そういう話に精通してるかもしれない。
「それは幼龍失踪事件のことですね」
「幼龍失踪事件? 巷ではそう呼ばれているのか」
「えぇ。詳しいことは掴めていませんがどの幼龍も一匹になったときにいなくなっているようです」
「……一匹のとき、か」
幼龍失踪事件。そうサキは言った。一匹のときなら幼いドラゴンが単純に失踪したというのは考えにくい。それならやはり誘拐されたと考えるのが自然な気がする。
「勇者殿はハドという少年を捜してるのですね?」
「ああ、ハドの友達のパンナって子が心配してるんだ。だからハドを見つけて会わせてやりたい」
俺は知らなかったがどうやらハドというのは男の子らしい。
「パンナ……リースのパン屋の次女ですね」
「リースのパン屋?」
「はい。パンナさんはリースのパン屋の店長、リースさんの妹さんですね」
リース。今日の昼前に出会ったバンダナの素朴な感じの女性。イリスと面識があって、パン屋をやっていると言っていた。パンナは彼女の妹だったのか。
「そうなのか。とにかく俺はハドに会わせてやりたい。だから協力してくれないか?」
「協力するのはもちろんいいですよ。私は何をすればいいですか?」
「そ、そうだな……何をすればハドは見つけられるか……」
サキに協力してもらうには何をどうするか伝えないといけない。何をどうすればハドを──失踪したこどもドラゴンたちを見つけられるのか。足で探すか? 町のドラゴンたちに聞き込みをして──でも俺が勇者として有用だったとしてもコドモドラゴンについて教えてくれるのか? 例えば街中で子供を捜していると言っても協力的になって教えてくれるのか?
「勇者殿。一つ、私に考えがあります」
「考え? 聞かせてくれるか?」
「はい。勇者殿はパンナさんと面識があるんですよね?」
「面識って言うか、ちょっと話を聞いただけだけど」
本当にそうだ。パンナとは少し悩みを聞いたくらいで特別何かを知っているわけでもない。その証拠に俺はパンナがリースの妹だということも知らなかった。
「それだけで充分です。パンナさんを護衛しましょう」
「え? 護衛?」
「はい。もしもこの一連の騒動が何者かの誘拐によるものなら次に狙われるのはパンナさんの可能性が高いです」
「あ……そうか。そうだよな……」
確かにサキの言う通りだ。俺はあまり考えていなかったがコドモドラゴンが一匹のときに狙われるのならパンナが狙われると考えるのが普通だ。
「護衛と言っても近くで守るというよりも少し離れたところから見守るという形になりますが」
「それでパンナが守れて、ハドが見つかるなら俺はやるよ」
「決まりですね。それでは明日、リースのパン屋が開店した頃を見計らって行きましょう」
「合流場所はどうする?」
こうして俺とサキはパンナを守り、ハドを見つけ出すための作戦を開始した。
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