剣と魔法の世界で俺だけロボット

神無月 紅

文字の大きさ
12 / 422
心核の入手

012話

しおりを挟む
 映像モニタに表示されている石の騎士。
 今のアラン……心核によって生み出されたロボットに乗っている今の状況であれば、それこそ倒そうと思えばビームライフルの一発で容易に倒すことが出来るだろう。
 だが、そのような真似が出来ない唯一にして最大の理由が、倒そうとしている石の騎士の近くに、もう一つの心核が安置されている台座があるということだった。
 もしここで迂闊にビームライフルを使って攻撃した場合、何らかの理由で狙いが外れれば、下手をすると台座に命中してしまうかもしれない。
 心核が非常に頑丈だというのは、アランも雲海に所属する心核持ちの仲間から聞いて知ってるし、触らせて貰って確認もしている。
 ただ、この場合の問題はロボットのビームライフルの威力だろう。
 あれだけ強力なゴーレムだと思われる石の騎士を一発で貫き、さらには床にも深い貫通孔を生み出したのだ。
 それだけの威力を発揮する一撃であれば、それこそ狙いを外した場合は台座に被害を与える可能性も高く、場合によっては心核すらも消滅してしまう可能性があった。
 ましてや、最初に倒した石の騎士は何故か爆発すらしている。
 攻撃が命中しても、その爆発により台座や心核に被害が及ぶという可能性は十分にあった。

(ロボットとかのように動力炉があったり、燃料があったりすれば爆発も分かるけど……何でゴーレムが爆発するんだ?)

 そんな疑問を抱くアランだったが、とにかく爆発する以上、下手に台座の隣にいる石の騎士にビームライフルを使うという選択肢は存在しない。
 もちろん、本当にアランがピンチになり、どうしようもないのであれば話は別だったが、幸か不幸か現在アランが乗っているロボットは非常に高い性能を持っている。
 そうなると、ビームライフル以外の攻撃で石の騎士を撃破する必要が出てくるのだが……

「他の武器は……ビームサーベルと腹部の拡散ビーム砲の二つだけ。バルカンは……っと!」

 台座の近くにいた石の騎士が再び土の槍を自分に投擲してきたのを確認し、アランは口にしたばかりのバルカンを使って土の槍を消滅させる。
 だが、その光景を見たアランは、微かに残念そうな表情を浮かべていた。
 何故なら、頭部バルカンは土の槍を破壊は出来るが、あくまでも迎撃や牽制、もしくは対人用といった武器であり、石の騎士を倒せるかどうかは微妙なところだと、そう何故か理解出来たためだ。
 そうなると、現状で残っている武器はビームサーベルと拡散ビーム砲なのだが、後者はその武器名通りにビームを拡散して広範囲に撃ち出す武器だ。
 台座の側から動くといったことがない石の騎士に対しては、とてもではないが使うことは出来ない。
 そもそも、ビームライフルを使わないのも台座やそこにある心核に被害が及ばないようになのだから、それを考えれば一点ではなく広範囲に攻撃をする拡散ビーム砲を使えないというのは、考えるまでもなく明らかだろう。
 そうなると、自然と残る武器は一つとなる。

「出来れば、あの石の騎士との近接戦闘は避けたかったんだが」

 石の騎士の振るう長剣の威力は、アランの目に強く焼きついている。
 また、アラン本人も長剣を使った戦闘という意味ではあまり才能がなく、いくらかコンプレックスを感じているというのも、また事実だった。
 だが、現在アランが把握しているロボットの武器で周囲に被害を出さないようにして石の騎士を倒せるというのは、ビームサーベルしかない。
 若干……本当に若干ではあったが、ビームサーベルの一撃がビームライフルと同じように相手を爆発させるかも? と思わないでもなかったが、アランの中にいつの間にか存在していたロボットの操縦から考えると、その辺りの心配は何もいらないと出る。

(いっそ体当たりなりなんなりして、石の騎士を吹き飛ばして台座から離してからビームライフルを使って撃破するって選択肢もいいんだけど、ビームサーベルに比べると運に頼る結果になるんだよな)

 もしかしたら、アランの乗っているロボットが体当たりしても、石の騎士を吹き飛ばせず、ロボットの方が逆に吹き飛ぶという可能性もあった。
 大体の性能は理解しているが、アランが心核を入手してからの時間を考えれば、ロボットの性能全てを完全に把握するといった真似は不可能だったのだから。
 正確には知識の多くはすでにアランの脳の中に存在するが、それを実感する形で使いこなすにはいたっていない……といったところか。

「っと! ……よし、行くか」

 肩のスラスターを使って真横に移動し、不可視の風の刃を回避する。
 そうして、覚悟を決めたアランは、意識を集中し……そのまま、全てのスラスターを全開にして一気に石の騎士に向かって突っ込んでいく。
 映像もモニタに表示される石の騎士は、急激に大きくなっていき……それでいながら、思ったよりも大きくはないことに、アランは驚く。
 実際には身長五メートルという時点で石の騎士はかなりの大きさを持っているのだが、アランの乗っているロボットはそんな石の騎士よりもさらに大きく、だからこそ相対的に石の騎士が小さく見えたのだ。
 ……この辺りが、まだアランが自分の乗っているロボットについて知ってはいるが、実感していないということの証か。
 ともあれ、ロボットが自分の方に向かって突っ込んでくるというのを理解した石の騎士は、近づかれるよりも前に少しでもダメージを与えようと土の槍や不可視の風の刃といったような魔法を次々と放つ。
 だが、高機動型のロボットだけに、アランは機体のあらあゆる場所に設置されているスラスターを使い、石の騎士との間合いを詰めながらも、攻撃を回避していく。
 そして急速に石の騎士が近づいてきたのを確認し、ビームライフルを持っていない左手で腰のラック部分からビームサーベルを取り出して起動させる。

(しまった)

 一瞬、もっと前……それこそスラスターを全開にしたときにビームサーベルを起動しておけばよかったと少しだけ後悔しつつ、それでも石の騎士との接近に間に合ったことを喜び、ビームサーベルを振るう。
 ロボットに乗っているからか、それとも単純にビームサーベルの出力が高いためか……あるいは、それ以外の理由なのか。
 その辺りの理由はアランにも分からなかったが、ともあれアランの振るったビームサーベルは、その一撃を受け止めようとした石の騎士の長剣諸共に、あっさりと斬り裂く。
 そして当然の話ではあったが、スラスターを全開にしていたロボットはその動きをすぐに止めるといった真似は出来ず、石の騎士を斬り裂いたあともある程度の距離を飛ぶことになる。
 ……もしこの空間がこれだけの広さではなかった場合、最悪今の速度で壁にぶつかっていた可能性もあるだろう。
 それでも何とかスラスターで機体の速度を落とし……

「ん?」

 ふと、アランの口から疑問の声が上がる。
 何故なら、今更……本当に今更の話ではあるのだが、こうしてロボットを動かしていて、重力……いわば、Gを感じないのだ。
 いや、全く感じないという訳ではないが、アランが考えていたよりも圧倒的にそのGは少ない。
 日本にいるときに何かで見たか聞いたかした覚えがあるのだが、自衛隊や軍隊で使われている戦闘機というのは、最大で三Gから九Gほどもかかることがあるという。
 だというのに、石の騎士との戦いで感じたGというのは、それに比べるとほとんど何も感じていないといってもいいほどに弱いGだった。
 何故? とそんな疑問を抱いたアランだったが、すぐに今はそんなことを考えているような余裕はないのだと思い直す。
 台座の側にいた石の騎士は倒したが、まだ二匹の……レオノーラと戦っている石の騎士が存在しているのだから。
 レオノーラの様子を確認するついでに、心核が置かれていた台座も確認する。
 幸いにも、心核の方にも特に何か被害が出た様子はないことに安堵しつつ、アランは本人に視線を向ける。
 そうして、そちらに視線を向け……アランは目を見開く。
 何故なら、そこに立っているのは石の騎士が一匹、地面に崩れ落ちていたのだ。

(どうやって倒したんだ?)

 それがアランも知らない何らかの奥の手を使っての攻撃だろうというのは、理解出来た。
 出来たのだが……それでも、具体的にどのような方法を使ってそのような真似をしたのかを言われれば、その正体は分からない。
 ともあれ、残る石の騎士が一匹だけなのは間違いなく、その残り一匹に対してもレオノーラは鞭を振るって戦っていた。
 二匹を同時に相手にしても、全く問題がなく戦えていたのだ。
 その相手が一匹になれば、当然のようにレオノーラの負担は減る。

「……取りあえず、レオノーラを助けるとするか。このままだと、レオノーラも無駄に消耗するだろうし」

 台座を守っていた石の騎士とは違い、レオノーラは距離をとって戦っている。
 そのおかげで、ビームライフルの類を使った攻撃をしても問題はないだろうというのアランにも理解出来た。

(まぁ、それでもビームライフルを使えば爆発する以上、この機体を盾にする必要があるだろうけど)

 素早くそう判断し、レオノーラのいる方に向かう。
 そんなアランの姿に、最初に気が付いたのは、当然のようにレオノーラだった。
 もっとも、アランの乗っているロボットはこの世界には存在しない代物だ。
 敢えて似ている存在を上げるとすればゴーレムだが、ロボットとゴーレムは明らかに違うと、それこそこの世界の人間であっても理解することが出来る。

「レオノーラ、距離を取れ!」

 外部スピーカーのスイッチを押しながらそう告げ、その声が聞こえたのかレオノーラが石の騎士から距離を取る。
 アランはそれを確認しつつ、急速に石の騎士に近づいていき……バインダーの大型スラスターを使って、その場から急速に上昇。
 石の騎士は、近づいてくるロボットに向かって長剣を振るったが、急速に上昇するという動きにはついていけず、空中を斬り裂くのみに終わる。
 そうしてあっという間に石の騎士のかなり上まで移動したアランは、右手のビームライフルを撃ち……次の瞬間、石の騎士は真上からビームによって貫かれ、数秒後には爆発する。
 なお、ビームを撃ったあと、アランはすぐにロボットを石の騎士とレオノーラの間に着地させ、爆風を遮るのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~

日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ― 異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。 強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。 ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる! ―作品について― 完結しました。 全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。

【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。 それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。 ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。 彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。 剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。 そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……

商人でいこう!

八神
ファンタジー
「ようこそ。異世界『バルガルド』へ」

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

処理中です...