17 / 422
心核の入手
017話
しおりを挟む
『はあああああああああああああああああああああああああああああっ!?』
目の前に姿を現した存在を見て、その場にいた者全員――レオノーラ以外――の口から悲鳴が上がる。
その中には普段飄々とした態度のイルゼンや、アランの両親のリアとニコラスも混ざっており、それが目の前の光景の異常さを表していた。
雲海も黄金の薔薇も、ゴーレムという存在は当然のように知っている。
古代魔法文明の遺跡においては、かなりメジャーなモンスターだからだ。
一度命令すれば、その身体が壊れるまで……場合によっては身体が壊れても命令に従うのだから、雑用や警備といった仕事に非常に便利に使われていたのだ。
それがまだ遺跡に残っており、侵入者を排除するために戦闘になる……というのは、それこそ探索者なら誰でも経験したことがある。
だが……そんな者たちにしても、現在視線の先にあるゼオンはとてもではないが普通のゴーレムには見えなかった。
当然だろう。明らかに通常のゴーレムとは違う。
いや、それどころか普通のゴーレムとの共通点を見つける方が難しいのだから。
唖然、呆然。
そんな表情を浮かべており、未だにゼオンに目を奪われているその様子を、アランはコックピットの中の映像モニタで眺める。
「まぁ、驚くよな。……とはいえ、いつまでもこのままって訳にもいかないか」
呟き、ゼオンを動かす。
とは言っても空を飛ぶのではなく、一歩前に歩いただけだ。
だが、十八メートルもの全長を持つロボットが……それも、普通のゴーレムのようにのっぺりとした姿ではなく、相手に威圧感を与えるのに十分な偉容を持つゼオンだ。
そんなゼオンが歩けば、当然のように見ている者たちは数歩後退る。
ある程度の距離があってもこうなのだ。
もし何も知らない者がいきなりこのゼオンを見れば、一体どうなるのか。
それは、考えるまでもなく明らかだろう。
その結果が、今の状況なのだから。
とはいえ、せっかくゼオンを呼び出したのに、一方的に怖がられているのも色々と不味い。
そう判断したアランは、外部スピーカーのスイッチを入れる。
「あー、あー、聞こえてると思うけど、このゴーレムには俺が乗ってるんだ。別に遺跡で出て来るゴーレムのように、意味もなく襲ってくるとかはしないから安心して欲しい」
外部スピーカーによってアランの声が聞こえたのか、映像モニタに表示されている探索者たちの姿は大分落ち着いたように見える。
今なら機体を動かしても問題はないだろうと判断し、アランは再びゼオンを一歩歩かせた。
探索者たちは再び後ろに下がったが、それでも先程よりは大袈裟ではい。
「武器は……いや、今の状況だと使わない方がいいか」
ゼオンの姿だけでこれだけ驚いているのだから、ビームライフルやビームサーベルの類を使った場合、一体どうなるのか。
また、ここには雲海や黄金の薔薇以外の探索者の姿もあるのだから、わざわざそのような連中にそれらの武器を見せる必要もないだろうと判断し、コックピットの扉を開き、乗降ケーブルを使って地上に降りる。
ざわり、と。
アランの姿を見た者たちがざわめく。
その理由は、ゼオンのコックピットからアランが下りてきたことか、それともアランが離れたのに何故かゼオンがまだその場に残っているからか。
アランにもその理由は分からなかったが、恐らく後者なのだろうと考えた瞬間、まるでそれが合図だったかのようにゼオンを構成していた魔力が塵になって消えていく。
そうして最後に残ったのは、地面に落ちている心核のみ。
大勢からの視線を浴びつつ、アランは地面の心核を手に取る。
「ぴ」
「今は静かにしてろ」
心核……カロが鳴き声を上げたのを聞き、アランは素早くそう言う。
幸い今のカロの鳴き声は離れた場所で自分の行動を見守っている者たちには聞こえなかったのか、特に騒ぎになっている様子はない。
ただえさえゼオンというロボットを心核で生み出すというだけでも目立っているのに、そこにカロのように自我のある心核などという存在が知られれば、間違いなくいらない注目を浴びることになる。
そんな思いからの言葉だったが、幸いにもカロはアロンの言葉に従い、大人しく黙り込む。
(ペットロボット的な存在だから、俺の指示にはしっかりと従うのか?)
そんな疑問を抱きつつ、アランはイルゼンやリア、ニコラスといった面々のいる場所に向かう。
「まぁ、こんな訳で、俺は心核を手に入れたんだけど……遺跡の中では使いにくそうだっただろ?」
「そうね。あそこまで大きいと……もちろん、遺跡の中には通路が広い場所もあるけど、そういう場所は大抵かなり難易度の高い遺跡だしね」
いち早く我に返ったリアが、アランの言葉にそう呟く。
ゼオンの大きさでも入れるような遺跡もあるにはあるが、当然そのような場所は非常に少なく、同時に難易度の高い遺跡として知られていた。
それだけの、見るからに強力なゴーレム――という表現が相応しいのかはリアにも分からなかったが――を持っていても有効に使えるかどうかというのは、非常に難しい。
それこそ、普通に冒険者として活動した方が、討伐や移動、護衛といったように、色々と使い勝手がいいのでは? と思うほどに。
「そうですね。このゴーレム……ゼオンでしたか。かなり特殊な存在ですが、それでも使えないという訳でもありません。ですが、それはあとで話しましょう」
イルゼンがリアの言葉に割り込むようにして強引にそう言ったのは、やはりここに黄金の薔薇やそれ以外に元からここにいた探索者たちが近くにいるからだろう。
ゼオンの姿を見せるのはともかく、それをどのように運用するのかといったことまでは、出来れば知られたくはなかった。
だからか、イルゼンは話を逸らす意味も込め、レオノーラに視線を向ける。
「レオノーラさん、アラン君のゼオンは見せて貰いましたが、貴方の心核は見せて貰えないのですか?」
半ば挑発的な言葉に、レオノーラ本人ではなく黄金の薔薇の面々の方が、不愉快そうな表情を浮かべる。
だが、そんな部下たちを落ち着かせるように、レオノーラは優雅と呼ぶに相応しい動きで軽く腕を振るう。
「落ち着きなさい。アランの心核も見せて貰った以上、こちらも見せる必要があるわ。……そうよね?」
尋ねるようなレオノーラの言葉に、イルゼンは満面の笑みを浮かべて頷く。
そんなイルゼンに、レオノーラも笑みを浮かべてからその場を離れる。
それこそ、アランがゼオンを呼んだときと同じくらい……いや、それよりも遠くまで。
そうして十分に離れたところで、レオノーラは心核を起動する。
瞬間、周囲には眩い光が放たれ……
「あれ?」
ふと、アランが疑問を抱いて呟く。
現在レオノーラから発している光は、たしかに眩しい。
だが、それでも遺跡で見たときの方が、より眩しかったように思えたのだ。
(気のせいか? あの時は初めてレオノーラが心核を使ったし、こうした太陽の下じゃなくて空間の中だったからそんな風に感じたとか?)
眩く輝くレオノーラの姿を見てそんな風に考えるアランだったが、完全に納得するようなことは出来ない。
ただ、アランにとっては若干違和感があっても、それはあくまでもアランにとっては、の話だ。
レオノーラが初めて心核を使う光景を見ている者たちにしてみれば、その光量は十分感動すべきものに思えた。
そして……次の瞬間、黄金のドラゴンがその場に姿を現す。
全高という点では、アランの呼び出すゼオンよりも小さい。
だが、全長……そして純粋な質量という点で考えれば、明らかにゼオンよりも上だった。
『ふぅ。……どう?』
以前と同様、アランの頭の中にレオノーラの言葉が響く。
ドラゴンの顔だというのに、不思議とどこか得意げに見えるその様子に、アランは何かを言おうとして……ふと、周囲の様子に疑問を抱く。
しん、とした静寂に包まれており、誰も何か言葉を発するようなことがなかったためだ。
そうして改めて周囲の様子を見ると、皆が唖然とした様子で……それこそ、ゼオンを見たときよりもさらに驚いたといったように、黄金のドラゴンを眺めている。
総質量ではゼオンよりも明らかに上なんだから仕方がないかと思ったアランは、少しだけ拗ねた様子を見せながら口を開く。
「ほら、レオノーラも自慢げにどう? って聞いてるんだから、答えてやった方がいいんじゃないか?」
『え?』
アランの言葉を聞いていた者たちが、揃ってそう声を上げる。
そう、それはまるでアランが何を言っているのか理解出来ないと、そう言いたげな様子で。
当然のように、そんな相手の様子を見ればアランだって疑問を抱く。
「えっと……レオノーラの言葉、聞こえてるよな?」
一応、といったように恐る恐ると尋ねるアランだったが、その視線を向けられた者たちは揃って首を振る。……縦ではなく、横に。
「アラン、一応聞くけど……彼女の声が聞こえているの?」
リアが尋ねる言葉に、アランは当然といったように頷く。
「聞こえないか? 直接声を発してるんじゃなくて、頭の中に響く感じで」
「私には聞こえないわ。……貴方は?」
ニコラスに視線を向けるリアだったが、そのニコラスも首を横に振る。
「いや、俺も聞こえないな。そうなると、魔力云々の問題じゃなく……相性?」
そんなニコラスの言葉に、アランは微妙な感じがする。
アランにとって、レオノーラという相手は傍から見ているだけなら文句なしの美人で目の保養と言えるのだが、その性格はアランとは合わない。
少なくても、アラン本人はそう思っていた。
取りあえず、相性云々という話は横に置き、アランは目の前で戸惑っている様子の黄金のドラゴン……レオノーラに向ける。
「レオノーラ、取りあえず元に戻ったらどうだ? どうやら、お前の言葉は俺にしか聞こえてないらしいし」
そう言いながらも、レオノーラが自分の、そして他の面々の言葉を理解出来るのは、せめてもの救いだろうと思う。
そんなアランの視線の先で、やがて黄金のドラゴンの身体が塵となって消えていき……最終的に、そこにはレオノーラの姿だけが残っていた。
そのレオノーラは、太陽に煌めく黄金の髪を掻き上げ……やがて、アランの方に近づいてくると、一言呟く。
「アラン、黄金の薔薇に入りなさい」
「え? 嫌だ」
半ば反射的に、アランはそう返事をするのだった。
目の前に姿を現した存在を見て、その場にいた者全員――レオノーラ以外――の口から悲鳴が上がる。
その中には普段飄々とした態度のイルゼンや、アランの両親のリアとニコラスも混ざっており、それが目の前の光景の異常さを表していた。
雲海も黄金の薔薇も、ゴーレムという存在は当然のように知っている。
古代魔法文明の遺跡においては、かなりメジャーなモンスターだからだ。
一度命令すれば、その身体が壊れるまで……場合によっては身体が壊れても命令に従うのだから、雑用や警備といった仕事に非常に便利に使われていたのだ。
それがまだ遺跡に残っており、侵入者を排除するために戦闘になる……というのは、それこそ探索者なら誰でも経験したことがある。
だが……そんな者たちにしても、現在視線の先にあるゼオンはとてもではないが普通のゴーレムには見えなかった。
当然だろう。明らかに通常のゴーレムとは違う。
いや、それどころか普通のゴーレムとの共通点を見つける方が難しいのだから。
唖然、呆然。
そんな表情を浮かべており、未だにゼオンに目を奪われているその様子を、アランはコックピットの中の映像モニタで眺める。
「まぁ、驚くよな。……とはいえ、いつまでもこのままって訳にもいかないか」
呟き、ゼオンを動かす。
とは言っても空を飛ぶのではなく、一歩前に歩いただけだ。
だが、十八メートルもの全長を持つロボットが……それも、普通のゴーレムのようにのっぺりとした姿ではなく、相手に威圧感を与えるのに十分な偉容を持つゼオンだ。
そんなゼオンが歩けば、当然のように見ている者たちは数歩後退る。
ある程度の距離があってもこうなのだ。
もし何も知らない者がいきなりこのゼオンを見れば、一体どうなるのか。
それは、考えるまでもなく明らかだろう。
その結果が、今の状況なのだから。
とはいえ、せっかくゼオンを呼び出したのに、一方的に怖がられているのも色々と不味い。
そう判断したアランは、外部スピーカーのスイッチを入れる。
「あー、あー、聞こえてると思うけど、このゴーレムには俺が乗ってるんだ。別に遺跡で出て来るゴーレムのように、意味もなく襲ってくるとかはしないから安心して欲しい」
外部スピーカーによってアランの声が聞こえたのか、映像モニタに表示されている探索者たちの姿は大分落ち着いたように見える。
今なら機体を動かしても問題はないだろうと判断し、アランは再びゼオンを一歩歩かせた。
探索者たちは再び後ろに下がったが、それでも先程よりは大袈裟ではい。
「武器は……いや、今の状況だと使わない方がいいか」
ゼオンの姿だけでこれだけ驚いているのだから、ビームライフルやビームサーベルの類を使った場合、一体どうなるのか。
また、ここには雲海や黄金の薔薇以外の探索者の姿もあるのだから、わざわざそのような連中にそれらの武器を見せる必要もないだろうと判断し、コックピットの扉を開き、乗降ケーブルを使って地上に降りる。
ざわり、と。
アランの姿を見た者たちがざわめく。
その理由は、ゼオンのコックピットからアランが下りてきたことか、それともアランが離れたのに何故かゼオンがまだその場に残っているからか。
アランにもその理由は分からなかったが、恐らく後者なのだろうと考えた瞬間、まるでそれが合図だったかのようにゼオンを構成していた魔力が塵になって消えていく。
そうして最後に残ったのは、地面に落ちている心核のみ。
大勢からの視線を浴びつつ、アランは地面の心核を手に取る。
「ぴ」
「今は静かにしてろ」
心核……カロが鳴き声を上げたのを聞き、アランは素早くそう言う。
幸い今のカロの鳴き声は離れた場所で自分の行動を見守っている者たちには聞こえなかったのか、特に騒ぎになっている様子はない。
ただえさえゼオンというロボットを心核で生み出すというだけでも目立っているのに、そこにカロのように自我のある心核などという存在が知られれば、間違いなくいらない注目を浴びることになる。
そんな思いからの言葉だったが、幸いにもカロはアロンの言葉に従い、大人しく黙り込む。
(ペットロボット的な存在だから、俺の指示にはしっかりと従うのか?)
そんな疑問を抱きつつ、アランはイルゼンやリア、ニコラスといった面々のいる場所に向かう。
「まぁ、こんな訳で、俺は心核を手に入れたんだけど……遺跡の中では使いにくそうだっただろ?」
「そうね。あそこまで大きいと……もちろん、遺跡の中には通路が広い場所もあるけど、そういう場所は大抵かなり難易度の高い遺跡だしね」
いち早く我に返ったリアが、アランの言葉にそう呟く。
ゼオンの大きさでも入れるような遺跡もあるにはあるが、当然そのような場所は非常に少なく、同時に難易度の高い遺跡として知られていた。
それだけの、見るからに強力なゴーレム――という表現が相応しいのかはリアにも分からなかったが――を持っていても有効に使えるかどうかというのは、非常に難しい。
それこそ、普通に冒険者として活動した方が、討伐や移動、護衛といったように、色々と使い勝手がいいのでは? と思うほどに。
「そうですね。このゴーレム……ゼオンでしたか。かなり特殊な存在ですが、それでも使えないという訳でもありません。ですが、それはあとで話しましょう」
イルゼンがリアの言葉に割り込むようにして強引にそう言ったのは、やはりここに黄金の薔薇やそれ以外に元からここにいた探索者たちが近くにいるからだろう。
ゼオンの姿を見せるのはともかく、それをどのように運用するのかといったことまでは、出来れば知られたくはなかった。
だからか、イルゼンは話を逸らす意味も込め、レオノーラに視線を向ける。
「レオノーラさん、アラン君のゼオンは見せて貰いましたが、貴方の心核は見せて貰えないのですか?」
半ば挑発的な言葉に、レオノーラ本人ではなく黄金の薔薇の面々の方が、不愉快そうな表情を浮かべる。
だが、そんな部下たちを落ち着かせるように、レオノーラは優雅と呼ぶに相応しい動きで軽く腕を振るう。
「落ち着きなさい。アランの心核も見せて貰った以上、こちらも見せる必要があるわ。……そうよね?」
尋ねるようなレオノーラの言葉に、イルゼンは満面の笑みを浮かべて頷く。
そんなイルゼンに、レオノーラも笑みを浮かべてからその場を離れる。
それこそ、アランがゼオンを呼んだときと同じくらい……いや、それよりも遠くまで。
そうして十分に離れたところで、レオノーラは心核を起動する。
瞬間、周囲には眩い光が放たれ……
「あれ?」
ふと、アランが疑問を抱いて呟く。
現在レオノーラから発している光は、たしかに眩しい。
だが、それでも遺跡で見たときの方が、より眩しかったように思えたのだ。
(気のせいか? あの時は初めてレオノーラが心核を使ったし、こうした太陽の下じゃなくて空間の中だったからそんな風に感じたとか?)
眩く輝くレオノーラの姿を見てそんな風に考えるアランだったが、完全に納得するようなことは出来ない。
ただ、アランにとっては若干違和感があっても、それはあくまでもアランにとっては、の話だ。
レオノーラが初めて心核を使う光景を見ている者たちにしてみれば、その光量は十分感動すべきものに思えた。
そして……次の瞬間、黄金のドラゴンがその場に姿を現す。
全高という点では、アランの呼び出すゼオンよりも小さい。
だが、全長……そして純粋な質量という点で考えれば、明らかにゼオンよりも上だった。
『ふぅ。……どう?』
以前と同様、アランの頭の中にレオノーラの言葉が響く。
ドラゴンの顔だというのに、不思議とどこか得意げに見えるその様子に、アランは何かを言おうとして……ふと、周囲の様子に疑問を抱く。
しん、とした静寂に包まれており、誰も何か言葉を発するようなことがなかったためだ。
そうして改めて周囲の様子を見ると、皆が唖然とした様子で……それこそ、ゼオンを見たときよりもさらに驚いたといったように、黄金のドラゴンを眺めている。
総質量ではゼオンよりも明らかに上なんだから仕方がないかと思ったアランは、少しだけ拗ねた様子を見せながら口を開く。
「ほら、レオノーラも自慢げにどう? って聞いてるんだから、答えてやった方がいいんじゃないか?」
『え?』
アランの言葉を聞いていた者たちが、揃ってそう声を上げる。
そう、それはまるでアランが何を言っているのか理解出来ないと、そう言いたげな様子で。
当然のように、そんな相手の様子を見ればアランだって疑問を抱く。
「えっと……レオノーラの言葉、聞こえてるよな?」
一応、といったように恐る恐ると尋ねるアランだったが、その視線を向けられた者たちは揃って首を振る。……縦ではなく、横に。
「アラン、一応聞くけど……彼女の声が聞こえているの?」
リアが尋ねる言葉に、アランは当然といったように頷く。
「聞こえないか? 直接声を発してるんじゃなくて、頭の中に響く感じで」
「私には聞こえないわ。……貴方は?」
ニコラスに視線を向けるリアだったが、そのニコラスも首を横に振る。
「いや、俺も聞こえないな。そうなると、魔力云々の問題じゃなく……相性?」
そんなニコラスの言葉に、アランは微妙な感じがする。
アランにとって、レオノーラという相手は傍から見ているだけなら文句なしの美人で目の保養と言えるのだが、その性格はアランとは合わない。
少なくても、アラン本人はそう思っていた。
取りあえず、相性云々という話は横に置き、アランは目の前で戸惑っている様子の黄金のドラゴン……レオノーラに向ける。
「レオノーラ、取りあえず元に戻ったらどうだ? どうやら、お前の言葉は俺にしか聞こえてないらしいし」
そう言いながらも、レオノーラが自分の、そして他の面々の言葉を理解出来るのは、せめてもの救いだろうと思う。
そんなアランの視線の先で、やがて黄金のドラゴンの身体が塵となって消えていき……最終的に、そこにはレオノーラの姿だけが残っていた。
そのレオノーラは、太陽に煌めく黄金の髪を掻き上げ……やがて、アランの方に近づいてくると、一言呟く。
「アラン、黄金の薔薇に入りなさい」
「え? 嫌だ」
半ば反射的に、アランはそう返事をするのだった。
0
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ
O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。
それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。
ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。
彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。
剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。
そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる