43 / 422
辺境にて
043話
しおりを挟む
「お前たちが、あの……」
そう言い、アランとレオノーラの二人を見るのは、このラリアントの領主たるザラクニア・ダグ・ヒュルス辺境伯。
アランがイルゼンから聞いた話によると、年齢としては五十代なのだが、その覇気とでも呼ぶべきものから四十代……いや、三十代くらいにも見える人物だ。
そんな人物が、今はアランとレオノーラの二人を興味深いそうに眺めていた。
アランはともかく、一国の姫であるレオノーラをお前呼ばわりするのは問題なのだが、今のレオノーラはあくまでも姫ではなく黄金の薔薇というクランを率いる者としてここにいるためか、そのことに不満を漏らす様子はない。
そして数十秒が経ち、やがて二人を見るのに満足したのか、ザラクニアは口を開く。
「単刀直入に言わせてもらう。ドーレストで起きたスタンピードを解決したその心核を見せて欲しい」
その言葉通り、回りくどいこともなしに告げてくるザラクニア。
貴族という存在に若干思うところがあるアランだったが、そんなアランであっても、ここまで率直に言われるとそれなりに気持ちいい。
少なくても、ドーレストのパーティで会った貴族たちの回りくどい話し方より好感が持てたのは間違いのない事実だ。
とはいえ、ゼオンや黄金のドラゴンはアランやレオノーラにとって……そして雲海や黄金の薔薇にとっては、切り札にも等しい存在なのは間違いない。
見せろと言われ、はいそうですかと見せるのは気が進まないのも事実。
そんなアランの様子を見て、ザラクニアはその考えを読み取ったかのように笑みを浮かべる。
「明日、ちょうどこの辺の有名な連中を集めたパーティを開く。そのときにお前達の心核を見せれば、この辺り一帯で活動している間、他の者たちに見せろとは言わせん。また、言ってきても私の名前を出して断る許可をやろう。……どうだ?」
「なるほど。一度だけ見世物になれば、この辺り一帯では他に見世物になる必要もないと、そういうことですね」
そう答えたのは、アラン……ではなく、イルゼン。
ザラクニアという、この都市の支配者を前にしても、イルゼンの飄々とした態度は変わらない。
辺境伯という爵位は、貴族全体として見ても決して低い訳ではない。
それこそ、公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵。……国によっては、男爵の下に騎士が来ることもあるが、その辺は様々だ。
ともあれ、現在アランたちの前にいるのはそれだけの人物なのだが、イルゼンはそんな様子を一切気にせず、いつも通りの態度のままだった。
ザラクニアはそんなイルゼンを一瞥すると、面白いと鼻を鳴らし……それから、改めてアランとレオノーラの二人に視線を向け、尋ねる。
「それで、どうだ? これから先、私の領地内では面倒なことに巻き込まれないというのであれば、一度心核を使うくらいは問題ないと思うが。ああ、もちろん見世物にするというのだから、相応の報酬は支払おう」
そう尋ねてくるザラクニアに、アランはどう答えるべきか迷い……だが、アランがイルゼンに視線を向けると、そこには何故か頷いているイルゼンの姿があった。
その態度から、間違いなくザラクニアの依頼を受けるべきだと態度で示しており、それを見たアランは若干疑問を感じたままだったが、やがて頷く。
「分かりました。俺……いえ、私は構いません」
私という一人称に若干思うところがあるアランだったが、まさか貴族の前でいつも通りの言葉遣いをする訳にもいかず、そう答える。
レオノーラもまた、そんなアランの言葉に続くように頷き、口を開く。
「こちらも構いません。ただし、私とアランの心核で生み出されるものは、かなり巨大です。それこそ、大広間の中であっても、建物の中でというのは難しいですね」
「それは問題ない。パーティは中庭で行う予定となっている」
ザラクニアは満足そうにそう言い、その後は盗賊の一件についての報告や、その取り分についての交渉が行われるが、心核使いとはいえ、一介の探索者でしかないアランは、ただそれを眺めるのだった。
「パーティ、ねぇ。……イルゼンさん、一体何を考えてるのかしら? 私はそういうのが好きじゃないって、知ってるわよね?」
領主のザラクニアとの会談が終わり、明日がパーティなので今夜は領主の館――という名の城――に泊まることになり、雲海と黄金の薔薇のメンバーにイルゼンが事情を話すと、真っ先にそう口にしたのは、アランの母親たるリアだった。
とはいえ、それも当然だろう。
リアはアランという子供を産んだ一児の母であるが、ハーフエルフであるということもあり、その外見は二十代半ばにしか見えず、そして顔立ちは整っている。
そんなリアがパーティに参加するということになれば、当然のように口説こうとして近寄ってくる男の参加者は多い。
それも年齢が年齢なので、結婚を求めてというのではなく、一晩の快楽を求めてといった者たちが。
当然夫のニコラスと一緒にいるのだが、性欲に支配された者がニコラスに気を遣う筈もない。
いや、あるいはニコラスの外見が筋骨隆々の大男であれば話は別なのだが、残念ながらニコラスは魔法使いである以上、そこまで威圧感を与える外見ではなかった。
「リアさんの気持ちも理解は出来ますが、今回のパーティさえ耐えれば、次からはパーティに参加しなくてもすむのだから、楽ではないですか?」
「それは……」
これ以上パーティに出なくてもいいというのは、リアにとっても決して流すことが出来る言葉ではなかったのか、イルゼンに対する文句の声も小さくなっていく。
「そっちは、そんなに気にしてないけど……やっぱり、慣れてるからか?」
アランの言葉に、レオノーラは当然といったように頷く。
元が王族や貴族といった者の集まりである黄金の薔薇の面々にとっては、パーティに参加する程度のことは全く問題がないのだろう。
ともあれ、色々な者の考えはあれど、すでにパーティに参加するということをクランとして決めてしまった以上、結局はそれぞれ全員がパーティに参加することになる。
翌日、当然のようにパーティに着ていくような服の類を持っていない者たちは急いでそれらを準備することになり、アランもまたレオノーラと共に若干の騒動を引き起こしはするのだが、最終的には何とか準備を整え……そして、いよいよパーティが始まるのだった。
「おお」
それが、ドレスを着た雲海や黄金の薔薇に所属している女たちを見たアランの口から出た驚きの声だった。
元貴族が揃っている黄金の薔薇の女たちは、当然のようにパーティドレスを着こなしていたし、雲海に所属する女たちもパーティドレスに着られているのではなく、十分に着こなしていた。
その中で、特に目立っていたのは、当然のようにレオノーラ。
薄い青の生地で背中と胸元が派手に露出しているそのドレスは、それこそレオノーラ以外の者が着れば下品と言われてもおかしくはない。
レオノーラという美貌の持ち主が着ているからこそ、下品ではなくミステリアスといった印象を作り出すことが出来ているのだろう。
「ふふ」
そんなアランの様子に気が付いたのか、レオノーラは艶然とした笑みを浮かべる、
そこにいるのは、黄金の薔薇のレオノーラではなく、クラッシェンド王国の王女たるレオノーラ・ヴィステスク・クラッシェンドだった。
「ほら、皆。着飾った華達に目を奪われるのはいいけど、今日のパーティは貴族や大きな商会の商人といった方々も来るんだ。あまり羽目を外さないようにして下さいよ」
手を叩き、着飾った女たちに目を奪われていた男たちを正気に戻すイルゼン。
その様子に全員が我に返り……そして雲海と黄金の薔薇の面々はいよいよパーティに参加するべく、部屋から出ていく。
途中で何人かのパーティ参加者と思われる者たちとすれ違うが、その多くの者たちがレオノーラを始めとした面々に目を奪われる。
貴族でありながら、探索者でもある女たち。
それが、その辺の貴族とは一線を画した魅力を女たちに与えていたのは間違いない。
そんな中でも、特に目立っていたのは当然のようにレオノーラだ。
多くの男が……いや、女までもがレオノーラに目を奪われ、自分でも知らないうちに見惚れてしまう。
自分たちの近くをレオノーラたちが通りすぎ、それでようやく自分がレオノーラに見惚れていたということに気が付くのだ。
そんな視線を受けつつ、一同はパーティ会場の中庭に到着する。
本来ならこのパーティを開催したザラクニアの部下が案内役を務めるのが普通なのだが、イルゼンはそれを断った。
これは、ある意味でザラクニアの顔に泥を塗るようなことであり、普通ならそのような真似は許されないのだが……イルゼンはそれでもそのことに拘った。
何故そこまで? とアランも思わないではなかったが、イルゼンがそこまで言うのであればと、疑問を口にすることはない。
元々、イルゼンはいつも何かを企んでいるので、恐らく今回の一件もそれにかかわっているのだろうと、そう判断して。
そうして、パーティ会場となっている中庭に到着すると、当然のように多くの者たちの視線がイルゼンたちに……いや、レオノーラを始めとして、美しく着飾った女たちに向けられる。
すでにホスト役のザラクニアの姿はパーティ会場にあり、何人もから挨拶をされている。
元々、今回のパーティはザラクニアがこの辺りの著名な人物を呼んで行われるものであり、当然のようにそのザラクニアの支配下にいる者が多い。
そのような状況であれば、こうしてパーティの参加者が真っ先にザラクニアに挨拶をするのは当然だった。
まだ日が暮れる前ではあるが、もし日が暮れても明かりのマジックアイテムや篝火の類を使って、全く問題なくパーティを楽しめるのは間違いない。
そんな中、ザラクニアはパーティ会場に入ってきたアランたちに気が付くと、大きな声を出す。
「皆さん、紹介しよう。噂では聞いたこともあるだろうが、ドーレストのスタンピードを治めた二つのクラン、雲海と黄金の薔薇の面々だ!」
その言葉に、改めてパーティ会場の中庭にいた者たちの視線がアランたちに向けられるのだった。
そう言い、アランとレオノーラの二人を見るのは、このラリアントの領主たるザラクニア・ダグ・ヒュルス辺境伯。
アランがイルゼンから聞いた話によると、年齢としては五十代なのだが、その覇気とでも呼ぶべきものから四十代……いや、三十代くらいにも見える人物だ。
そんな人物が、今はアランとレオノーラの二人を興味深いそうに眺めていた。
アランはともかく、一国の姫であるレオノーラをお前呼ばわりするのは問題なのだが、今のレオノーラはあくまでも姫ではなく黄金の薔薇というクランを率いる者としてここにいるためか、そのことに不満を漏らす様子はない。
そして数十秒が経ち、やがて二人を見るのに満足したのか、ザラクニアは口を開く。
「単刀直入に言わせてもらう。ドーレストで起きたスタンピードを解決したその心核を見せて欲しい」
その言葉通り、回りくどいこともなしに告げてくるザラクニア。
貴族という存在に若干思うところがあるアランだったが、そんなアランであっても、ここまで率直に言われるとそれなりに気持ちいい。
少なくても、ドーレストのパーティで会った貴族たちの回りくどい話し方より好感が持てたのは間違いのない事実だ。
とはいえ、ゼオンや黄金のドラゴンはアランやレオノーラにとって……そして雲海や黄金の薔薇にとっては、切り札にも等しい存在なのは間違いない。
見せろと言われ、はいそうですかと見せるのは気が進まないのも事実。
そんなアランの様子を見て、ザラクニアはその考えを読み取ったかのように笑みを浮かべる。
「明日、ちょうどこの辺の有名な連中を集めたパーティを開く。そのときにお前達の心核を見せれば、この辺り一帯で活動している間、他の者たちに見せろとは言わせん。また、言ってきても私の名前を出して断る許可をやろう。……どうだ?」
「なるほど。一度だけ見世物になれば、この辺り一帯では他に見世物になる必要もないと、そういうことですね」
そう答えたのは、アラン……ではなく、イルゼン。
ザラクニアという、この都市の支配者を前にしても、イルゼンの飄々とした態度は変わらない。
辺境伯という爵位は、貴族全体として見ても決して低い訳ではない。
それこそ、公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵。……国によっては、男爵の下に騎士が来ることもあるが、その辺は様々だ。
ともあれ、現在アランたちの前にいるのはそれだけの人物なのだが、イルゼンはそんな様子を一切気にせず、いつも通りの態度のままだった。
ザラクニアはそんなイルゼンを一瞥すると、面白いと鼻を鳴らし……それから、改めてアランとレオノーラの二人に視線を向け、尋ねる。
「それで、どうだ? これから先、私の領地内では面倒なことに巻き込まれないというのであれば、一度心核を使うくらいは問題ないと思うが。ああ、もちろん見世物にするというのだから、相応の報酬は支払おう」
そう尋ねてくるザラクニアに、アランはどう答えるべきか迷い……だが、アランがイルゼンに視線を向けると、そこには何故か頷いているイルゼンの姿があった。
その態度から、間違いなくザラクニアの依頼を受けるべきだと態度で示しており、それを見たアランは若干疑問を感じたままだったが、やがて頷く。
「分かりました。俺……いえ、私は構いません」
私という一人称に若干思うところがあるアランだったが、まさか貴族の前でいつも通りの言葉遣いをする訳にもいかず、そう答える。
レオノーラもまた、そんなアランの言葉に続くように頷き、口を開く。
「こちらも構いません。ただし、私とアランの心核で生み出されるものは、かなり巨大です。それこそ、大広間の中であっても、建物の中でというのは難しいですね」
「それは問題ない。パーティは中庭で行う予定となっている」
ザラクニアは満足そうにそう言い、その後は盗賊の一件についての報告や、その取り分についての交渉が行われるが、心核使いとはいえ、一介の探索者でしかないアランは、ただそれを眺めるのだった。
「パーティ、ねぇ。……イルゼンさん、一体何を考えてるのかしら? 私はそういうのが好きじゃないって、知ってるわよね?」
領主のザラクニアとの会談が終わり、明日がパーティなので今夜は領主の館――という名の城――に泊まることになり、雲海と黄金の薔薇のメンバーにイルゼンが事情を話すと、真っ先にそう口にしたのは、アランの母親たるリアだった。
とはいえ、それも当然だろう。
リアはアランという子供を産んだ一児の母であるが、ハーフエルフであるということもあり、その外見は二十代半ばにしか見えず、そして顔立ちは整っている。
そんなリアがパーティに参加するということになれば、当然のように口説こうとして近寄ってくる男の参加者は多い。
それも年齢が年齢なので、結婚を求めてというのではなく、一晩の快楽を求めてといった者たちが。
当然夫のニコラスと一緒にいるのだが、性欲に支配された者がニコラスに気を遣う筈もない。
いや、あるいはニコラスの外見が筋骨隆々の大男であれば話は別なのだが、残念ながらニコラスは魔法使いである以上、そこまで威圧感を与える外見ではなかった。
「リアさんの気持ちも理解は出来ますが、今回のパーティさえ耐えれば、次からはパーティに参加しなくてもすむのだから、楽ではないですか?」
「それは……」
これ以上パーティに出なくてもいいというのは、リアにとっても決して流すことが出来る言葉ではなかったのか、イルゼンに対する文句の声も小さくなっていく。
「そっちは、そんなに気にしてないけど……やっぱり、慣れてるからか?」
アランの言葉に、レオノーラは当然といったように頷く。
元が王族や貴族といった者の集まりである黄金の薔薇の面々にとっては、パーティに参加する程度のことは全く問題がないのだろう。
ともあれ、色々な者の考えはあれど、すでにパーティに参加するということをクランとして決めてしまった以上、結局はそれぞれ全員がパーティに参加することになる。
翌日、当然のようにパーティに着ていくような服の類を持っていない者たちは急いでそれらを準備することになり、アランもまたレオノーラと共に若干の騒動を引き起こしはするのだが、最終的には何とか準備を整え……そして、いよいよパーティが始まるのだった。
「おお」
それが、ドレスを着た雲海や黄金の薔薇に所属している女たちを見たアランの口から出た驚きの声だった。
元貴族が揃っている黄金の薔薇の女たちは、当然のようにパーティドレスを着こなしていたし、雲海に所属する女たちもパーティドレスに着られているのではなく、十分に着こなしていた。
その中で、特に目立っていたのは、当然のようにレオノーラ。
薄い青の生地で背中と胸元が派手に露出しているそのドレスは、それこそレオノーラ以外の者が着れば下品と言われてもおかしくはない。
レオノーラという美貌の持ち主が着ているからこそ、下品ではなくミステリアスといった印象を作り出すことが出来ているのだろう。
「ふふ」
そんなアランの様子に気が付いたのか、レオノーラは艶然とした笑みを浮かべる、
そこにいるのは、黄金の薔薇のレオノーラではなく、クラッシェンド王国の王女たるレオノーラ・ヴィステスク・クラッシェンドだった。
「ほら、皆。着飾った華達に目を奪われるのはいいけど、今日のパーティは貴族や大きな商会の商人といった方々も来るんだ。あまり羽目を外さないようにして下さいよ」
手を叩き、着飾った女たちに目を奪われていた男たちを正気に戻すイルゼン。
その様子に全員が我に返り……そして雲海と黄金の薔薇の面々はいよいよパーティに参加するべく、部屋から出ていく。
途中で何人かのパーティ参加者と思われる者たちとすれ違うが、その多くの者たちがレオノーラを始めとした面々に目を奪われる。
貴族でありながら、探索者でもある女たち。
それが、その辺の貴族とは一線を画した魅力を女たちに与えていたのは間違いない。
そんな中でも、特に目立っていたのは当然のようにレオノーラだ。
多くの男が……いや、女までもがレオノーラに目を奪われ、自分でも知らないうちに見惚れてしまう。
自分たちの近くをレオノーラたちが通りすぎ、それでようやく自分がレオノーラに見惚れていたということに気が付くのだ。
そんな視線を受けつつ、一同はパーティ会場の中庭に到着する。
本来ならこのパーティを開催したザラクニアの部下が案内役を務めるのが普通なのだが、イルゼンはそれを断った。
これは、ある意味でザラクニアの顔に泥を塗るようなことであり、普通ならそのような真似は許されないのだが……イルゼンはそれでもそのことに拘った。
何故そこまで? とアランも思わないではなかったが、イルゼンがそこまで言うのであればと、疑問を口にすることはない。
元々、イルゼンはいつも何かを企んでいるので、恐らく今回の一件もそれにかかわっているのだろうと、そう判断して。
そうして、パーティ会場となっている中庭に到着すると、当然のように多くの者たちの視線がイルゼンたちに……いや、レオノーラを始めとして、美しく着飾った女たちに向けられる。
すでにホスト役のザラクニアの姿はパーティ会場にあり、何人もから挨拶をされている。
元々、今回のパーティはザラクニアがこの辺りの著名な人物を呼んで行われるものであり、当然のようにそのザラクニアの支配下にいる者が多い。
そのような状況であれば、こうしてパーティの参加者が真っ先にザラクニアに挨拶をするのは当然だった。
まだ日が暮れる前ではあるが、もし日が暮れても明かりのマジックアイテムや篝火の類を使って、全く問題なくパーティを楽しめるのは間違いない。
そんな中、ザラクニアはパーティ会場に入ってきたアランたちに気が付くと、大きな声を出す。
「皆さん、紹介しよう。噂では聞いたこともあるだろうが、ドーレストのスタンピードを治めた二つのクラン、雲海と黄金の薔薇の面々だ!」
その言葉に、改めてパーティ会場の中庭にいた者たちの視線がアランたちに向けられるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
氷弾の魔術師
カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語――
平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。
しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を――
※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる