259 / 422
逃避行
258話
しおりを挟む
「ほう。それは珍しいですね。……そうなると、僕たちも明日はそちらに行った方がいいですか?」
「そうして貰えると助かります。亀の人形の甲羅が結構な数残ってますし」
アランはイルゼンに今日の探索の成果を話す。
結局ロッコーモが欲していた亀の人形の甲羅は、数個しか地上まで持ってくることは出来なかった。
当然だろう。亀の人形の甲羅は一人で持つことが出来ないくらいの大きさだ。
それを全員で持ってくるようなことになれば、遺跡からの帰り道にモンスターに襲撃されたとき、対処出来ない。
人形は大半を破壊したが、製造施設を破壊した訳ではない以上、人形は追加生産されている。
もしくは、生産施設の一つ前にあった空間に待機していた人形たちが、遺跡の中の人形が破壊されたことを察知して、新たにアランたちが攻略した遺跡に派遣される可能性もあった。
その辺の事情を考えれば、やはり全員で亀の人形の甲羅を持って移動する……などといった真似は、到底出来ない。
だからこそロッコーモが嘆いていたにもかかわらず、亀の人形の甲羅は大半を製造施設に残してきたのだ。
せめてもの抵抗ということで、製造施設の中でも亀の人形の甲羅が本来あった場所から動かして、新たに亀の人形を作れないようにはしてきたが。
……ただし、亀の人形の甲羅がないと製造施設側で判断すれば、新たに甲羅を作り出す可能性があったが。
「ロッコーモさんの件もありますから、明日は出来るだけ多くの人手が必要でしょうね。……とはいえ、イルゼンさんのことだから、あの製造施設から繋がっている場所も探索する気なんじゃ?」
「うーん、どうでしょうね。正直なところ、それもいいかとは思うんですが……ただ、アラン君からの話を聞いた限りでは、その製造施設から繋がっている遺跡もこの遺跡と同じような小規模の遺跡の可能性が高いんですよね」
それはアランにとっても意外な言葉だった。
てっきり、あの製造施設から繋がっている遺跡はもっと巨大な遺跡なのではないかと、勝手にそう思っていたのだ。
特に何か証拠があってそのように思った訳ではなく、単純にアランが自分であの製造設備を見つけたからこそ、そこから繋がっている遺跡は巨大な遺跡だろうと、そう思ったのだ。
だが、考えてみればイルゼンの指摘は当然のものだった。
人形の製造ラインがあるとして、そこから派遣される人形は当然のように同じような規模の遺跡の可能性が高い。
少なくても、全く規模の違う遺跡に人形を派遣するのには、あの製造ラインの規模では足りない。
「そうなると……どうするんです?」
「難しいところですね。ただ、一度はその製造ラインを見ておいた方がいいでしょう。そこから得られる諸々は、今の僕たちにはそれなりに大きな収入になりそうですし」
「収入になるって、ガリンダミア帝国で売るんですか?」
「いえ、そのつもりはありません。……ああ、でもレジスタンスになら売ってもいいかもしれませんね。ガリンダミア帝国の内部で争ってくれれば、こちらの追撃も甘くなるでしょうし。それに、ここを紹介して貰った恩もありますから」
そんなイルゼンの言葉が聞こえたのか、それともカクテルパーティ効果でレジスタンスという言葉だけを聞き取ったのか、少し離れた場所にいた兵士……実際にはレジスタンスからガリンダミア帝国軍に潜入している男が、少しだけ反応する。
レジスタンスというのは、当然ながら戦力が欲しい。
特にその戦力が人形という命のない存在であれば、心を痛めることなく使い捨てに出来るだろう。
「レジスタンスに、あの施設をそこまで上手く運用出来るとは思いませんけど」
これはアランが人形の製造施設を見て素直に思ったことだ。
そもそも、自分たちですら難しいと思うものを、レジスタンスに出来るとも思えない。
これはレジスタンスを明らかに下に見ている発言ではあるが、同時に紛れもない真実でもあった。
雲海や黄金の薔薇は、クランして非常に有名な存在だ。
そうである以上、古代魔法文明の遺産についても相応に詳しい一面がある。
だが……レジスタンスというのは、あくまでもガリンダミア帝国に対して不満を抱くような者たちの集まりであって、様々な専門知識を持つような者はそこまで多くはない。
大半は、特に専門的な知識を持たない一般人の方が多いのだ。
とてもではないが、製造施設の運用は出来ないだろう。
何よりも、レジスタンスに製造設備を渡してしまえば、アランたちが得られる報酬が大きく減る。
(とはいえ……あの製造設備ってかなりの大きさだったけど、よくあんな場所に作れたな。普通に考えれば、分解された部品を持っていって、地下で組み立てたってことになるんだろうけど、それはそれでかなりの労力が必要になるだろうし。だとすると……転移とか?)
地上で製造設備を組み立てて、それを丸ごと地下の空間に転移させる。
普通ならとてもではないが考えられないが、あの製造設備を作ったのは古代魔法文明だ。
施設そのものを転移させるようなことが出来ても、おかしくはない。
アランも以前引っ掛かったが、古代魔法文明の遺跡には転移の罠が仕掛けられているところも多い。
そうである以上、かなり自由に転移を使いこなしていたと認識するのは当然だろう。
「イルゼンさん、俺たちが見た製造設備って、どうやって作ったと思います?」
「ふむ。話を聞く限りではかなり広いですしね。地上で作って転移させたというのが一番手っ取り早いでしょう。他にも色々と手段はありますが、やはりそれが一般的かと」
「……やっぱり転移ですか。羨ましいですね。俺たちも転移を使えれば、それこそこうやってガリンダミア帝国軍から逃げ回ったりとかしなくてもいいですけど」
転移が自由に使えるのなら、それこそ好きな場所に逃げることが出来る。
……実際には、アランだけならそのような真似も容易に出来るのだが。
ゼオンに乗って飛べば、それこそ国境の類も意味はないのだから。
もちろん、そのような真似をすれば空を飛ぶ敵に狙われたりといったようなこともあるが……ゼオンの攻撃力を考えれば、大抵の相手は問題なく倒すことが出来るはずだった
「はっはっは。アラン君の言いたいことも分かりますが、転移というのはそんなに簡単な代物ではありませんよ」
あっさりとそう告げるイルゼンに、アランはそうなのか? と疑問を抱く。
この辺は、アランが前世を持っていることも影響しているのだろう。
日本で生きてきたときにアランが親しんだゲームや漫画、アニメ、小説……その他諸々の、いわゆるサブカルチャーの類。
それらの中では、転移というのは当然のように出て来る能力だった。
魔法や科学、もしくは超能力……色々と方法はあるが、ともあれ転移というのはある意味でありふれたものだった。
それだけに、アランにしてみれば転移というのは自由自在に使えるといった印象があったのだが。
「そうなんですか?」
「ええ。もちろん、古代魔法文明の時代であれば、自由に使っていたらしいですがね。それはあくまでも古代魔法文明時代の話であって、今のこの世界でそのような真似は……出来る人がいないとも言い切れませんが、それでも限りなく少ないでしょうね」
「随分と詳しいですね」
「そうですか? 情報としてはそこまで珍しいものではありませんよ。……アラン君も、そのうち自然とこの手の情報を入手出来るようになるでしょう」
そう言われても、アランとしては自分がそのようなことを出来るとは思えない。
イルゼンの情報収集能力は、アランから見ても異常なほどだ。
とてもではないが、自分が成長してもイルゼンの足下にも及ばないと思える。
それでも、アランはイルゼンとの会話で少しでも情報収集の力が増えるようにと、話を続けるのだった。
翌日、アランたちはイルゼンやリア、ニコラス、レオノーラといった主要な面々を引き連れ、人形の製造設備のある場所までやってきていた。
……以前亀の人形がいた場所には、再び亀の人形がいたのだが、リアによってあっさりと倒されている。
長剣を武器としているという点では、リアもロッコーモも同じだったのだが……この辺り、やはり純粋に実力の差といったところだろう。
「ほう、これが……なるほど、アラン君たちが驚くのも分かりますね」
人形の生産設備を見て感心したように呟くイルゼンだったが、アランはいつでも武器を抜けるようにしながら口を開く。
「イルゼンさん、気をつけて下さいよ。蜂の人形がいるかもしれませんから」
昨日全ての蜂の人形を倒したはずだったが、それでも亀の人形を見れば分かるように、この製造設備で新たに作られないとも限らない。
亀の人形は巨大なので、新たに製造するにも手間や時間はそれなりにかかる――それでも自動的に製造するのだから、明確に誰かが苦労する訳ではない――のだが、それに対して蜂の人形は掌ほどの大きさでしかない。
そうである以上、新たに製造するのもそう難しい話ではない。
何よりもこの製造設備を守る最終防衛線なのだから、余計に可能な限り戦力を増やしたいと思う……いや、そうプログラムされているのは当然だろう。
「分かってますよ。昨日アラン君たちが持ってきてくれた人形を見てますから、油断はしていません」
昨日ここで襲われた蜂の人形のうち、傷の大きくない物は地上に持って帰った。
それを探索者たちは興味深く見ていたのだ。
雲海や黄金の薔薇の探索者にしてみれば、蜂の人形は空を飛んでいる分だけ倒しにくい存在ではあるが、それでも遠距離攻撃の手段を持っている者にしてみれば、そこまで苦労せずに倒せる相手だ。
それでも興味深く見たのは、やはり探索者としての好奇心からだろう。
そして……まるでその言葉が切っ掛けであったかのように、蜂の人形が姿を現す。
とはいえ、昨日までここにいた蜂の人形はアランたちが全滅させており、そして昨日の今日である以上は人形の製造も追いつかなかったのだろう。その数は昨日に比べると間違いなく少ない。
そんな蜂の人形を相手に、探索者たちは攻撃をしかけるのだった。
「そうして貰えると助かります。亀の人形の甲羅が結構な数残ってますし」
アランはイルゼンに今日の探索の成果を話す。
結局ロッコーモが欲していた亀の人形の甲羅は、数個しか地上まで持ってくることは出来なかった。
当然だろう。亀の人形の甲羅は一人で持つことが出来ないくらいの大きさだ。
それを全員で持ってくるようなことになれば、遺跡からの帰り道にモンスターに襲撃されたとき、対処出来ない。
人形は大半を破壊したが、製造施設を破壊した訳ではない以上、人形は追加生産されている。
もしくは、生産施設の一つ前にあった空間に待機していた人形たちが、遺跡の中の人形が破壊されたことを察知して、新たにアランたちが攻略した遺跡に派遣される可能性もあった。
その辺の事情を考えれば、やはり全員で亀の人形の甲羅を持って移動する……などといった真似は、到底出来ない。
だからこそロッコーモが嘆いていたにもかかわらず、亀の人形の甲羅は大半を製造施設に残してきたのだ。
せめてもの抵抗ということで、製造施設の中でも亀の人形の甲羅が本来あった場所から動かして、新たに亀の人形を作れないようにはしてきたが。
……ただし、亀の人形の甲羅がないと製造施設側で判断すれば、新たに甲羅を作り出す可能性があったが。
「ロッコーモさんの件もありますから、明日は出来るだけ多くの人手が必要でしょうね。……とはいえ、イルゼンさんのことだから、あの製造施設から繋がっている場所も探索する気なんじゃ?」
「うーん、どうでしょうね。正直なところ、それもいいかとは思うんですが……ただ、アラン君からの話を聞いた限りでは、その製造施設から繋がっている遺跡もこの遺跡と同じような小規模の遺跡の可能性が高いんですよね」
それはアランにとっても意外な言葉だった。
てっきり、あの製造施設から繋がっている遺跡はもっと巨大な遺跡なのではないかと、勝手にそう思っていたのだ。
特に何か証拠があってそのように思った訳ではなく、単純にアランが自分であの製造設備を見つけたからこそ、そこから繋がっている遺跡は巨大な遺跡だろうと、そう思ったのだ。
だが、考えてみればイルゼンの指摘は当然のものだった。
人形の製造ラインがあるとして、そこから派遣される人形は当然のように同じような規模の遺跡の可能性が高い。
少なくても、全く規模の違う遺跡に人形を派遣するのには、あの製造ラインの規模では足りない。
「そうなると……どうするんです?」
「難しいところですね。ただ、一度はその製造ラインを見ておいた方がいいでしょう。そこから得られる諸々は、今の僕たちにはそれなりに大きな収入になりそうですし」
「収入になるって、ガリンダミア帝国で売るんですか?」
「いえ、そのつもりはありません。……ああ、でもレジスタンスになら売ってもいいかもしれませんね。ガリンダミア帝国の内部で争ってくれれば、こちらの追撃も甘くなるでしょうし。それに、ここを紹介して貰った恩もありますから」
そんなイルゼンの言葉が聞こえたのか、それともカクテルパーティ効果でレジスタンスという言葉だけを聞き取ったのか、少し離れた場所にいた兵士……実際にはレジスタンスからガリンダミア帝国軍に潜入している男が、少しだけ反応する。
レジスタンスというのは、当然ながら戦力が欲しい。
特にその戦力が人形という命のない存在であれば、心を痛めることなく使い捨てに出来るだろう。
「レジスタンスに、あの施設をそこまで上手く運用出来るとは思いませんけど」
これはアランが人形の製造施設を見て素直に思ったことだ。
そもそも、自分たちですら難しいと思うものを、レジスタンスに出来るとも思えない。
これはレジスタンスを明らかに下に見ている発言ではあるが、同時に紛れもない真実でもあった。
雲海や黄金の薔薇は、クランして非常に有名な存在だ。
そうである以上、古代魔法文明の遺産についても相応に詳しい一面がある。
だが……レジスタンスというのは、あくまでもガリンダミア帝国に対して不満を抱くような者たちの集まりであって、様々な専門知識を持つような者はそこまで多くはない。
大半は、特に専門的な知識を持たない一般人の方が多いのだ。
とてもではないが、製造施設の運用は出来ないだろう。
何よりも、レジスタンスに製造設備を渡してしまえば、アランたちが得られる報酬が大きく減る。
(とはいえ……あの製造設備ってかなりの大きさだったけど、よくあんな場所に作れたな。普通に考えれば、分解された部品を持っていって、地下で組み立てたってことになるんだろうけど、それはそれでかなりの労力が必要になるだろうし。だとすると……転移とか?)
地上で製造設備を組み立てて、それを丸ごと地下の空間に転移させる。
普通ならとてもではないが考えられないが、あの製造設備を作ったのは古代魔法文明だ。
施設そのものを転移させるようなことが出来ても、おかしくはない。
アランも以前引っ掛かったが、古代魔法文明の遺跡には転移の罠が仕掛けられているところも多い。
そうである以上、かなり自由に転移を使いこなしていたと認識するのは当然だろう。
「イルゼンさん、俺たちが見た製造設備って、どうやって作ったと思います?」
「ふむ。話を聞く限りではかなり広いですしね。地上で作って転移させたというのが一番手っ取り早いでしょう。他にも色々と手段はありますが、やはりそれが一般的かと」
「……やっぱり転移ですか。羨ましいですね。俺たちも転移を使えれば、それこそこうやってガリンダミア帝国軍から逃げ回ったりとかしなくてもいいですけど」
転移が自由に使えるのなら、それこそ好きな場所に逃げることが出来る。
……実際には、アランだけならそのような真似も容易に出来るのだが。
ゼオンに乗って飛べば、それこそ国境の類も意味はないのだから。
もちろん、そのような真似をすれば空を飛ぶ敵に狙われたりといったようなこともあるが……ゼオンの攻撃力を考えれば、大抵の相手は問題なく倒すことが出来るはずだった
「はっはっは。アラン君の言いたいことも分かりますが、転移というのはそんなに簡単な代物ではありませんよ」
あっさりとそう告げるイルゼンに、アランはそうなのか? と疑問を抱く。
この辺は、アランが前世を持っていることも影響しているのだろう。
日本で生きてきたときにアランが親しんだゲームや漫画、アニメ、小説……その他諸々の、いわゆるサブカルチャーの類。
それらの中では、転移というのは当然のように出て来る能力だった。
魔法や科学、もしくは超能力……色々と方法はあるが、ともあれ転移というのはある意味でありふれたものだった。
それだけに、アランにしてみれば転移というのは自由自在に使えるといった印象があったのだが。
「そうなんですか?」
「ええ。もちろん、古代魔法文明の時代であれば、自由に使っていたらしいですがね。それはあくまでも古代魔法文明時代の話であって、今のこの世界でそのような真似は……出来る人がいないとも言い切れませんが、それでも限りなく少ないでしょうね」
「随分と詳しいですね」
「そうですか? 情報としてはそこまで珍しいものではありませんよ。……アラン君も、そのうち自然とこの手の情報を入手出来るようになるでしょう」
そう言われても、アランとしては自分がそのようなことを出来るとは思えない。
イルゼンの情報収集能力は、アランから見ても異常なほどだ。
とてもではないが、自分が成長してもイルゼンの足下にも及ばないと思える。
それでも、アランはイルゼンとの会話で少しでも情報収集の力が増えるようにと、話を続けるのだった。
翌日、アランたちはイルゼンやリア、ニコラス、レオノーラといった主要な面々を引き連れ、人形の製造設備のある場所までやってきていた。
……以前亀の人形がいた場所には、再び亀の人形がいたのだが、リアによってあっさりと倒されている。
長剣を武器としているという点では、リアもロッコーモも同じだったのだが……この辺り、やはり純粋に実力の差といったところだろう。
「ほう、これが……なるほど、アラン君たちが驚くのも分かりますね」
人形の生産設備を見て感心したように呟くイルゼンだったが、アランはいつでも武器を抜けるようにしながら口を開く。
「イルゼンさん、気をつけて下さいよ。蜂の人形がいるかもしれませんから」
昨日全ての蜂の人形を倒したはずだったが、それでも亀の人形を見れば分かるように、この製造設備で新たに作られないとも限らない。
亀の人形は巨大なので、新たに製造するにも手間や時間はそれなりにかかる――それでも自動的に製造するのだから、明確に誰かが苦労する訳ではない――のだが、それに対して蜂の人形は掌ほどの大きさでしかない。
そうである以上、新たに製造するのもそう難しい話ではない。
何よりもこの製造設備を守る最終防衛線なのだから、余計に可能な限り戦力を増やしたいと思う……いや、そうプログラムされているのは当然だろう。
「分かってますよ。昨日アラン君たちが持ってきてくれた人形を見てますから、油断はしていません」
昨日ここで襲われた蜂の人形のうち、傷の大きくない物は地上に持って帰った。
それを探索者たちは興味深く見ていたのだ。
雲海や黄金の薔薇の探索者にしてみれば、蜂の人形は空を飛んでいる分だけ倒しにくい存在ではあるが、それでも遠距離攻撃の手段を持っている者にしてみれば、そこまで苦労せずに倒せる相手だ。
それでも興味深く見たのは、やはり探索者としての好奇心からだろう。
そして……まるでその言葉が切っ掛けであったかのように、蜂の人形が姿を現す。
とはいえ、昨日までここにいた蜂の人形はアランたちが全滅させており、そして昨日の今日である以上は人形の製造も追いつかなかったのだろう。その数は昨日に比べると間違いなく少ない。
そんな蜂の人形を相手に、探索者たちは攻撃をしかけるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
氷弾の魔術師
カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語――
平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。
しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を――
※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる