267 / 422
逃避行
266話
しおりを挟む
「くそがっ! 一体どうなっている! 何でアランたちはどこにもいねえんだ!」
遺跡の中で、グヴィスは苛立ちも露わに叫ぶ。
遺跡の中に逃げたのだろうアランたちを追って、自分たちも遺跡の中に入った。
幸い、兵士の中には元探索者という者もおり、そのような者たちの力を借りて遺跡を潜ってきたのだが……その遺跡は、どこにもアランたちの姿はなかった。
もしかしたら、どこか隠し部屋があるのでは? と思ったが、残念ながら元探索者の中にはその手の技能を得意としている者はいない。
いや、もちろんある程度の技量はあるのだが、その技量ではそれらしき場所を見つけることが出来なかったのだ。
この遺跡そのものはそこまで広いものではない以上、絶対にアランたちの姿がどこかにあるはずだった。
それがないという時点でおかしい。
……実際には、イルゼンが転移出来ないように解除したのだが、グヴィスたちにそれが分かるはずもない。
今の状況で出来るのは、ただひたすらに周囲の様子を探索するだけだったが……
「グヴィス、ここにアランたちがいない以上、いつまでもここにいる訳にはいかない」
「分かってるよ。けど、この遺跡から脱出していない以上、この中にいるのは間違いないんだ。なら、今この状況でこの遺跡を放っておくような真似は出来ると思うか!?」
そう言われれば、クロスもグヴィスの意見に反対は出来ない。
そもそもの話、この追跡隊の目的はあくまでもアランたちを捕らえることだ。
そのアランがここにいたというのに、それを放っておく……などといった真似は、とてもではないが出来るはずもない。
それはクロスも分かっていた。分かっていたのだが……それでも、この遺跡をくまなく探してもどこにもアランたちの姿がないのだ。
つまり、それは何らかの手段でアランたちがここからすでに消えてしまっているという可能性が高い。
普通に考えれば有り得ないことなのだが、ここはどんなに小さくても古代魔法文明の遺跡だ。
そうである以上、何らかの手段でここから逃げていたとしても、おかしな話ではない。
そして……実際にアランたちが転移を使ってこの遺跡から人形の製造設備のある場所に逃げたのは事実である以上、クロスの予想は決して間違っていなかった。
……問題なのは、この遺跡からではアランたちが逃げた遺跡に繋がっている転移装置を起動することが出来ないということだろう。
もしかしたら、遺跡のどこかにそのような装置がある可能性も否定は出来なかったが、クロスたち率いていた兵士たちの中に、それを見つけられるような腕利きはいなかった。
「考えられる可能性としては、ここに何人か見張りを残して俺たちは地上からアランたちを追うことだな」
「何人かって……クロス、お前本気か? もしまたこの遺跡からアランたちが出て来たら、見張りのために残した兵士たちなんかあっという間に倒されてしまうぞ?」
それは間違いのない事実。
今ここに兵士を残していっても、その戦力でアランたちをどうにか出来るはずもない。
だからこそ、グヴィスはクロスに本気か? と尋ねたのだ。
「しょうがない。この遺跡の中にまだいるかもしれない以上、見張りは必要だ。その代わり、離れた場所……出て来たアランたちに即座にやられないような場所で待機していて、それでもし遺跡からアランたちが出て来たら、戦わずすぐその場を離れてこちらに事情を知らせる」
「なるほど。あくまでも見張りに徹底させるのか。それなら……」
クロスの意見に許容出来たのか、グヴィスが周囲の様子を確認しながらそう呟く。
グヴィスの周囲にいた者たちも、このまま遺跡にいなくてもいいと知ると安堵した様子を見せる。
兵士の中には以前探索者だった者もいるが、それでもやはりそれは少数だ。
それ以外の者にしてみれば、遺跡の中にいるという時点で精神的な消耗が強い。
これは、遺跡のことを知らないからこそ、そのように思ってしまう……といった者も多いだろう。
結果として、遺跡という存在が未知だからこそ、恐怖を覚えるといったところか。
それもまたグヴィスがここから脱出すると決めた理由の一つなのだろう。
……これがグヴィスくらい強いのなら、そこまで遺跡だなんだと気にするような必要もなかったのだろうが。
「よし、撤退するぞ。このままこの遺跡にいても、またモンスターが出てくるだろうしな」
そう宣言するグヴィスだったが、実際にこの遺跡の中でモンスターと遭遇したということはほとんどなかった。
だが、それは予想通りでもある。
グヴィスたちが入る少し前に、アランたちが遺跡の中に入っていったのだから。
それを思えば、アランたちが出て来るモンスターを倒したということには納得出来る。
そう思っていたのだが……
「グヴィス様、敵です!」
地上に向かって進み始めて少し経った頃、兵士の一人が自分たちに向かって近付いてくる人形を見つけてると、そう叫ぶ。
人形はグヴィスの腹部くらいの大きさで、持っている武器も槍ではあるが、見るからに貧相な槍だ。
「雑魚か。さっさと倒して先に……」
「待て」
さっさと倒して先に進むぞ。
そう言おうとしたグヴィスの言葉にクロスが待ったをかける。
「クロス、どうした?」
「……少し気になることがある。ちょっと俺にその人形と戦わせて欲しい」
そう言われれば、グヴィスもそれに否とは言えない。
あるいは、これがもっと強そうな相手であれば、グヴィスもクロスの心配をしたかもしれないが……人形は、見るからに弱そうだ。
「分かった。何を考えてるのかは分からないが、油断するなよ」
グヴィスのその言葉に頷き、クロスは長剣を手に前に出る。
二人の前にいた兵士たちが、慌てて場所を空ける。
そうして一番前に出たクロスは、槍を手にした人形と向かい合い……人形が槍を突き出すとあっさりと回避し、槍を手元に戻す動きと共に前に出て、長剣を振り下ろす。
頭部を左右二つに切断された人形は、次の瞬間には地面に倒れた。
まさに一閃。
人形如き、相手ではないと示すやり取り。
とはいえ、別にこの程度の相手に苦戦するとはクロスも思っていなかった。
それでも実際に自分で戦ってみたのは、一体どれだけの実力があるのかを確認してみたかったためだ。
……結果として、あっさりと倒すことが出来たが。
「なるほど」
だが、そんな戦いであってもクロスは何か思うところがあったのか、小さく呟く。
「何がなるほどなんだ? ……まぁ、クロスがこの程度の敵に苦戦するとは思ってなかったから心配はしてなかったけど」
その言葉通り、全く心配していない様子でグヴィスがクロスの横に来る。
グヴィスには、何故クロスが自分でわざわざ人形と戦ったのか、全くその理由が分からなかった。
これがクロスでなければ、アランに逃げられた八つ当たりの対象……といった風に思うこともあったのだろうが、クロスの性格を知っているグヴィスにはそれはないと思えた。
そうなると、何か別の理由があるはずなのだが……それが分からず、グヴィスはクロスに尋ねたのだ。
「この人形は弱かった。それは分かるな?」
「ああ。ここに来るまでにも、何回か戦ったからな。……それは別に言うまでもないだろ?」
「これだけ弱い人形であれば、それこそすぐに倒されるはずだ。ここをアランたちが通ってきたのなら、なおさらに。特にアランたちは、この遺跡を最初に潜って、地上に出て来て、そこからさらに潜っている。そして俺たちも最下層と思しき場所まで潜って、そして今は地上に向かっている」
そう説明するクロスの言葉に、話を聞いていた者たちは揃って頷く。
実際にそれは間違いのない事実だったからだ。
だが……グヴィスはクロスが何を言いたいのか理解したのだろう。
疑問の表情を浮かべて口を開く。
「つまり、この程度の敵がまだ残ってるのはおかしいと?」
「そうだ」
「けど、遺跡はそれなりに広いんだ。どこかに隠れていたこの人形が、今回偶然出て来ただけとは考えられないか?」
「その可能性もない訳ではないがな。それでも……普通に考えれば、やはりおかしい」
「だとすると、どんな可能性を考えられる?」
「……そうだな。たとえば、どこかかで敵が作られて送り出されているというのはどうだ?」
「な……いや、敵は人形だ。それも、そこまで精巧な作りという訳ではない。だとすれば、可能性は……」
グヴィスはクロスの言葉に一瞬反論しようとする。
だが、クロスが倒した人形のことを思えば、その可能性は否定出来ないと判断してしまう。
この程度の強さの人形が、一体どこからやって来るのかといった疑問を抱いてしまったのだ。
「つまり、どこかに隠し通路とか、そういうのがあるって事か?」
「可能性としては否定出来ない。もちろん、実際にはそのようなことがないという可能性もあるけどな。この弱い人形は本当に偶然によって今まで生き延びていたといった可能性が」
そう告げるクロスだったが、一度隠し通路があるかもと思えばそれは否定出来ない。
一応アランたちが隠れたのかどうかを確認するために調べたりはしたのだが、自分たちでは何も見つけることが出来なかったからこそ、どこかにまだ自分たちが見つけていない隠し通路の類がある可能性は高いと思ってしまう。
「どうすればいい?」
「それを決めるのはお前だろう。この追撃隊の指揮を執ってるのはグヴィスなんだから」
奇しくも、アランと似たようなことを言われるグヴィス。
相棒のクロスにそう言われたグヴィスは、どうするべきか少し迷い……やがて、口を開く。
「分かった。やっぱり当初の予定通り、ここに何人か監視の兵士を残して、俺たちは先を急ごう。今はこの遺跡を調べているような余裕はない。……本職の探索者を連れて来ることが出来れば、また話は違ったんだな」
そんなグヴィスの言葉に、それはそれで今更の話だろうとクロスはグヴィスの肩を軽く叩く。
そのようなやり取りをしつつ、グヴィスは遺跡から脱出するために歩き続けるのだった。
遺跡の中で、グヴィスは苛立ちも露わに叫ぶ。
遺跡の中に逃げたのだろうアランたちを追って、自分たちも遺跡の中に入った。
幸い、兵士の中には元探索者という者もおり、そのような者たちの力を借りて遺跡を潜ってきたのだが……その遺跡は、どこにもアランたちの姿はなかった。
もしかしたら、どこか隠し部屋があるのでは? と思ったが、残念ながら元探索者の中にはその手の技能を得意としている者はいない。
いや、もちろんある程度の技量はあるのだが、その技量ではそれらしき場所を見つけることが出来なかったのだ。
この遺跡そのものはそこまで広いものではない以上、絶対にアランたちの姿がどこかにあるはずだった。
それがないという時点でおかしい。
……実際には、イルゼンが転移出来ないように解除したのだが、グヴィスたちにそれが分かるはずもない。
今の状況で出来るのは、ただひたすらに周囲の様子を探索するだけだったが……
「グヴィス、ここにアランたちがいない以上、いつまでもここにいる訳にはいかない」
「分かってるよ。けど、この遺跡から脱出していない以上、この中にいるのは間違いないんだ。なら、今この状況でこの遺跡を放っておくような真似は出来ると思うか!?」
そう言われれば、クロスもグヴィスの意見に反対は出来ない。
そもそもの話、この追跡隊の目的はあくまでもアランたちを捕らえることだ。
そのアランがここにいたというのに、それを放っておく……などといった真似は、とてもではないが出来るはずもない。
それはクロスも分かっていた。分かっていたのだが……それでも、この遺跡をくまなく探してもどこにもアランたちの姿がないのだ。
つまり、それは何らかの手段でアランたちがここからすでに消えてしまっているという可能性が高い。
普通に考えれば有り得ないことなのだが、ここはどんなに小さくても古代魔法文明の遺跡だ。
そうである以上、何らかの手段でここから逃げていたとしても、おかしな話ではない。
そして……実際にアランたちが転移を使ってこの遺跡から人形の製造設備のある場所に逃げたのは事実である以上、クロスの予想は決して間違っていなかった。
……問題なのは、この遺跡からではアランたちが逃げた遺跡に繋がっている転移装置を起動することが出来ないということだろう。
もしかしたら、遺跡のどこかにそのような装置がある可能性も否定は出来なかったが、クロスたち率いていた兵士たちの中に、それを見つけられるような腕利きはいなかった。
「考えられる可能性としては、ここに何人か見張りを残して俺たちは地上からアランたちを追うことだな」
「何人かって……クロス、お前本気か? もしまたこの遺跡からアランたちが出て来たら、見張りのために残した兵士たちなんかあっという間に倒されてしまうぞ?」
それは間違いのない事実。
今ここに兵士を残していっても、その戦力でアランたちをどうにか出来るはずもない。
だからこそ、グヴィスはクロスに本気か? と尋ねたのだ。
「しょうがない。この遺跡の中にまだいるかもしれない以上、見張りは必要だ。その代わり、離れた場所……出て来たアランたちに即座にやられないような場所で待機していて、それでもし遺跡からアランたちが出て来たら、戦わずすぐその場を離れてこちらに事情を知らせる」
「なるほど。あくまでも見張りに徹底させるのか。それなら……」
クロスの意見に許容出来たのか、グヴィスが周囲の様子を確認しながらそう呟く。
グヴィスの周囲にいた者たちも、このまま遺跡にいなくてもいいと知ると安堵した様子を見せる。
兵士の中には以前探索者だった者もいるが、それでもやはりそれは少数だ。
それ以外の者にしてみれば、遺跡の中にいるという時点で精神的な消耗が強い。
これは、遺跡のことを知らないからこそ、そのように思ってしまう……といった者も多いだろう。
結果として、遺跡という存在が未知だからこそ、恐怖を覚えるといったところか。
それもまたグヴィスがここから脱出すると決めた理由の一つなのだろう。
……これがグヴィスくらい強いのなら、そこまで遺跡だなんだと気にするような必要もなかったのだろうが。
「よし、撤退するぞ。このままこの遺跡にいても、またモンスターが出てくるだろうしな」
そう宣言するグヴィスだったが、実際にこの遺跡の中でモンスターと遭遇したということはほとんどなかった。
だが、それは予想通りでもある。
グヴィスたちが入る少し前に、アランたちが遺跡の中に入っていったのだから。
それを思えば、アランたちが出て来るモンスターを倒したということには納得出来る。
そう思っていたのだが……
「グヴィス様、敵です!」
地上に向かって進み始めて少し経った頃、兵士の一人が自分たちに向かって近付いてくる人形を見つけてると、そう叫ぶ。
人形はグヴィスの腹部くらいの大きさで、持っている武器も槍ではあるが、見るからに貧相な槍だ。
「雑魚か。さっさと倒して先に……」
「待て」
さっさと倒して先に進むぞ。
そう言おうとしたグヴィスの言葉にクロスが待ったをかける。
「クロス、どうした?」
「……少し気になることがある。ちょっと俺にその人形と戦わせて欲しい」
そう言われれば、グヴィスもそれに否とは言えない。
あるいは、これがもっと強そうな相手であれば、グヴィスもクロスの心配をしたかもしれないが……人形は、見るからに弱そうだ。
「分かった。何を考えてるのかは分からないが、油断するなよ」
グヴィスのその言葉に頷き、クロスは長剣を手に前に出る。
二人の前にいた兵士たちが、慌てて場所を空ける。
そうして一番前に出たクロスは、槍を手にした人形と向かい合い……人形が槍を突き出すとあっさりと回避し、槍を手元に戻す動きと共に前に出て、長剣を振り下ろす。
頭部を左右二つに切断された人形は、次の瞬間には地面に倒れた。
まさに一閃。
人形如き、相手ではないと示すやり取り。
とはいえ、別にこの程度の相手に苦戦するとはクロスも思っていなかった。
それでも実際に自分で戦ってみたのは、一体どれだけの実力があるのかを確認してみたかったためだ。
……結果として、あっさりと倒すことが出来たが。
「なるほど」
だが、そんな戦いであってもクロスは何か思うところがあったのか、小さく呟く。
「何がなるほどなんだ? ……まぁ、クロスがこの程度の敵に苦戦するとは思ってなかったから心配はしてなかったけど」
その言葉通り、全く心配していない様子でグヴィスがクロスの横に来る。
グヴィスには、何故クロスが自分でわざわざ人形と戦ったのか、全くその理由が分からなかった。
これがクロスでなければ、アランに逃げられた八つ当たりの対象……といった風に思うこともあったのだろうが、クロスの性格を知っているグヴィスにはそれはないと思えた。
そうなると、何か別の理由があるはずなのだが……それが分からず、グヴィスはクロスに尋ねたのだ。
「この人形は弱かった。それは分かるな?」
「ああ。ここに来るまでにも、何回か戦ったからな。……それは別に言うまでもないだろ?」
「これだけ弱い人形であれば、それこそすぐに倒されるはずだ。ここをアランたちが通ってきたのなら、なおさらに。特にアランたちは、この遺跡を最初に潜って、地上に出て来て、そこからさらに潜っている。そして俺たちも最下層と思しき場所まで潜って、そして今は地上に向かっている」
そう説明するクロスの言葉に、話を聞いていた者たちは揃って頷く。
実際にそれは間違いのない事実だったからだ。
だが……グヴィスはクロスが何を言いたいのか理解したのだろう。
疑問の表情を浮かべて口を開く。
「つまり、この程度の敵がまだ残ってるのはおかしいと?」
「そうだ」
「けど、遺跡はそれなりに広いんだ。どこかに隠れていたこの人形が、今回偶然出て来ただけとは考えられないか?」
「その可能性もない訳ではないがな。それでも……普通に考えれば、やはりおかしい」
「だとすると、どんな可能性を考えられる?」
「……そうだな。たとえば、どこかかで敵が作られて送り出されているというのはどうだ?」
「な……いや、敵は人形だ。それも、そこまで精巧な作りという訳ではない。だとすれば、可能性は……」
グヴィスはクロスの言葉に一瞬反論しようとする。
だが、クロスが倒した人形のことを思えば、その可能性は否定出来ないと判断してしまう。
この程度の強さの人形が、一体どこからやって来るのかといった疑問を抱いてしまったのだ。
「つまり、どこかに隠し通路とか、そういうのがあるって事か?」
「可能性としては否定出来ない。もちろん、実際にはそのようなことがないという可能性もあるけどな。この弱い人形は本当に偶然によって今まで生き延びていたといった可能性が」
そう告げるクロスだったが、一度隠し通路があるかもと思えばそれは否定出来ない。
一応アランたちが隠れたのかどうかを確認するために調べたりはしたのだが、自分たちでは何も見つけることが出来なかったからこそ、どこかにまだ自分たちが見つけていない隠し通路の類がある可能性は高いと思ってしまう。
「どうすればいい?」
「それを決めるのはお前だろう。この追撃隊の指揮を執ってるのはグヴィスなんだから」
奇しくも、アランと似たようなことを言われるグヴィス。
相棒のクロスにそう言われたグヴィスは、どうするべきか少し迷い……やがて、口を開く。
「分かった。やっぱり当初の予定通り、ここに何人か監視の兵士を残して、俺たちは先を急ごう。今はこの遺跡を調べているような余裕はない。……本職の探索者を連れて来ることが出来れば、また話は違ったんだな」
そんなグヴィスの言葉に、それはそれで今更の話だろうとクロスはグヴィスの肩を軽く叩く。
そのようなやり取りをしつつ、グヴィスは遺跡から脱出するために歩き続けるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
氷弾の魔術師
カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語――
平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。
しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を――
※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる