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獣人を率いる者
323話
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「やはり、これはゴールスの仕業ですか」
ギジュの言葉に、クラリスは申し訳なさそうな顔をする。
ギジュの屋敷……それも屋敷の外ではなく敷地内に置かれていた、切断されたワストナの生首。
敷地内に置かれていたということは、当然だがそれを行った者は屋敷の敷地内に入ってきたということを意味している。
ただでさえ、現在のギジュの屋敷はクラリスを受け入れているという関係で屋敷の警備を厳重にしている。
特にギジュはデルリアにおいても有数の実力者ということもあってか、雇っている兵士も能力の高い者が多い。
……もっとも、能力が高いとはいえ、それはあくまでも普通の兵士と比べてのものだ。
探索者の目から見れば、とてもではないが強敵ではない。
それこそ、生身での戦闘の実力は決して高くないアランであっても、楽に勝てる程度の者たちだ。
とはいえ、それは探索者という者たちの技量が突出しているだけで、ギジュに雇われている兵士たちは一般的な常識で考えれば十分に腕利きと言ってもいい。
そんな兵士たちが多数見回りをしている中で、今回のような一件が起きたのだ。
当然ながら、それを行った者は探索者たちに比肩するだけの技量を持っていると思ってもいい。
(普通に考えると、獣牙衆だろうな)
アランはそう予想する。
証拠の類がある訳ではないが、それでも状況から考えて間違いないと思われた。
「そうなると、これからどうします? こうしてワストナを裏切り者として処刑し、こちらに見せつけてきた以上……向こうも、まさかこれで終わりにするといったことはないでしょうし」
ジャスパーのその言葉に、皆が同意するように頷く。
ゴールスがクラリスと友好的な関係を築く……とまではいかないが、それでも話し合いをするといったようなつもりがあれば、当然だがこのようなあからさまな脅しをするといったようなことはしないだろう。
つまりこれは、ゴールスから改めて行われた宣戦布告のようなものだ。
「そうなると、こちらも戦力を整える方がいいですね。……ギジュさん、出来ればもう何人か私たちの仲間をこの屋敷に呼びたいのですが、構いませんか?」
「ええ、それがクラリス様の安全に繋がるのであれば、構いませんよ」
ジャスパーはギジュの言葉に、助かりますと頭を下げる。
そんなジャスパーの様子を見て、アランはジャスパーが一体誰を連れてこようとしてくるのだろうかを理解した。
(多分、レオノーラだろうな。……けど、現在デルリアに散らばっている仲間たちを纏めているのはレオノーラだ。そのレオノーラをこっちに引っ張ってくると、纏める人材がいなくなるんじゃないか?)
もちろん、他に雲海や黄金の薔薇の探索者を……そして何故か獣牙衆であるにもかかわらず、ロッコーモに負けたという理由で一緒に行動しているサスカッチといった面々を纏められる人物がいない訳ではない。
特に黄金の薔薇の探索者は、元貴族といったものが多いために人を纏めるのに慣れている者はそれなりにいる。
だが……それでも、現在行動している中で一番統率力に優れているのがレオノーラなのは、間違いのない事実だった。
雲海の方にも纏め役としての能力を持っている者は多いが、基本的に雲海の場合は率いているのがイルゼンのような飄々とした人物だけに、そこまで統率力といったものについては気にしている者はおらず、進んでやりたいと思う者も少なかった。
ある意味で、イルゼンのそういうところは凄い能力であるのは間違いないだろう。
飄々としているようでいて、しっかりと纏めるべきところは纏め、それでいて他の面々に不満を抱かせないのだから。
「そうなると、こちらの戦力は随分と増えますね。……ガーウェイ、そちらはどうです? もう二人獣牙衆が抜けたという者たちがいたという話ですが、まだ合流出来ないのですか?」
レオノーラ……もしくはそれ以外かもしれないが、他の場所にいる仲間をこの屋敷に呼んで戦力を充実させる許可を貰ったジャスパーだったが、そのジャスパーが次にそう尋ねたのは、ガーウェイだ。
ゴールスが獣牙衆を使ってくる以上、こちらにも獣牙衆がいるというのは大きな意味を持つ。
純粋な戦力という点では、自分たちでどうにでもなるが、獣牙衆といったような者たちが正面から攻撃をしてくるとは思えない。
……もっとも、サスカッチのように正面から攻めて来た相手もいる以上、他にもそのような性格の者がいないとは、言い切れなかったが。
ともあれ、相手が獣牙衆である以上、こちらも同様に獣牙衆を戦力として数に入れたい。
そうジャスパーが思うのも当然だろう。
「俺も出来れば早くこっちに合流させたいんだけどな。けど、他の獣牙衆に狙われているらしい。そっちをどうにかしてから合流しないと、不味いだろ?」
ガーウェイの言葉は、聞いている者たちを納得させるに十分だった。
今の状況ですら、ゴールスの戦力は大きいのだ。
そこに獣牙衆も協力している以上、出来れば敵の数は少なくなった方がいいと思うのは当然だろう。
(とはいえ、残り二人の獣牙衆がこっちに合流すれば、結局それを狙ってる獣牙衆も敵に合流するってことになるんだし、そういう意味では大して変わらないような気もするけど)
アランにしてみれば、結果的に変わらないのなら、自分や他の仲間がゴールスに味方する獣牙衆と戦わなくてもいいように、自分たちに合流していないもう二人の獣牙衆にも自分たちに合流せずに別行動をとった方がいいと、そう思うのだが。
「そうなると、その二人がこちらに合流するのは予定よりも随分と遅くなるといったところでしょうか?」
「そうなるな。基本的には戦力として考えなくてもいい。……どうしても戦力が足りないのなら、少し無理をしてでもこっちに合流させるつもりだったんだが、そっちで戦力を補充出来るのなら、今はその心配はないんだろう?」
ガーウェイの言葉に、ジャスパーは頷く。
ジャスパーとしては、アランと違って出来れば獣牙衆にも合流して欲しいと思っていたのだが、ガーウェイの様子を見る限りそれは無理だと判断したのだろう。
「戦力についてはそれでいいでしょうね。こちらでも、手を回して信用出来る戦力を出来るだけ集めてみます」
ガーウェイとジャスパーの話し合いを聞いていたギジュは、そう告げる。
この屋敷の主としては、よそからやって来た者たちに対して、戦力的に完全に頼るといった真似はしたくないのだろう。
アランたちはクラリスが連れて来たとはいえ、偶然出会っただけの探索者でしかない。
ガーウェイにいたっては、元獣牙衆だ。
出来れば信用ではなく、信頼出来る戦力を用意したいというのがギジュの正直な気持ちだった。
それを表に出すような真似はしなかったが。
ただ、当然のようにジャスパーやガーウェイはそんなギジュの考えを予想はしている。
しかし、それで自分たちの戦力が多くなるのなら問題はないと判断し、ギジュの思惑に何かを言うような真似はしない。
「そうですか。ワストナの首の件もありますし、この屋敷の内部の警備を厳重にするという意味でも、戦力は多い方がいいでしょうね」
ジャスパーはそう言ってギジュの判断を了承する。
実際、この屋敷はかなりの広さを持つのだ。
そうである以上、どこからか敵が侵入してこないとも限らない。
実際にワストナの生首を敷地内に置いて去っていった相手がいる以上、その辺の警備は厳重になるのはジャスパーにとっても悪いことではない。
「それでは次です。……ゴールスにどう対抗するかということですね」
クラリスの口からゴールスの名前が出ると、会議に参加している者の多くが難しい表情を浮かべる。
ゴールスという存在は、デルリアにおいて非常に強い影響力を持っており、クラリスたちが下手に行動しようとすれば、すぐにそれを見抜かれてしまうだろう。
そして、ゴールスの手によってその行動は潰される。
それこそ、ワストナと同じように。
ゴールスを敵に回した以上、下手に動くことが出来ないのは事実だ。
だが、それでも何の行動も起こさないといった訳にいかないのも、事実。
この状況において、時間は明らかにゴールスの味方なのだから。
だからこそ、今は不利を承知で動いた方がいいのは間違いない。
問題なのは、どう動くかだが。
「ギジュさん、クラリスの味方になってくれそうな有力者って他にいますか?」
アランのその問いに、ギジュは首を横に振る。
そして憂鬱そうな表情で口を開く。
「ワストナの件の情報がもう流れています。それも不自然なほどに早く」
「……ゴールスの仕業ですか?」
自分を裏切った者は殺す。もしくは、自分の味方ではなくても中立の者がクラリスに味方をしても殺す。
そう示すために、ゴールスが噂を流したとしてもおかしくはなかった。
「でしょうね。ともあれ、そのために当初はクラリス様に友好的な態度を示していた者の多くが及び腰になっています」
「でしょうね」
ギジュの言葉に、クラリスは責めるでもなく、同意するように頷く。
クラリスも、自分に友好的な存在が次々に死ぬといったような光景は、見たくない。
だからこそ、ギジュの言葉を聞いてもそう短く言うだけですませたのだ。
「いっそ、ゴールスを屋敷諸共消滅させるってのは? やってやれないことはないだろ?」
妹のように可愛がっているクラリスのためとあってか、過激な意見を口にするアラン。
普通に聞けば、お前は何を言ってるんだ? といった視線を向けられてもおかしくはないのだが、アランの場合は実際にそれを行うだけの実力がある。
この中ではギジュだけが、それを情報だけでしか知らなかった。
ワストナの一件があるまではガーウェイも情報でしか知らず、しかもそれも大袈裟に口にした内容なのだろうと思っていたのだが……ギーグとの戦いでアランが召喚したビームサーベルの一撃を見れば、アランのその言葉は嫌でも理解出来てしまう。
それこそ、個人の強さとは何の意味も持っていないと示すような、圧倒的な力。
それを使えば……
そう思えば、会議室の中が静まるのは当然だった。
ギジュの言葉に、クラリスは申し訳なさそうな顔をする。
ギジュの屋敷……それも屋敷の外ではなく敷地内に置かれていた、切断されたワストナの生首。
敷地内に置かれていたということは、当然だがそれを行った者は屋敷の敷地内に入ってきたということを意味している。
ただでさえ、現在のギジュの屋敷はクラリスを受け入れているという関係で屋敷の警備を厳重にしている。
特にギジュはデルリアにおいても有数の実力者ということもあってか、雇っている兵士も能力の高い者が多い。
……もっとも、能力が高いとはいえ、それはあくまでも普通の兵士と比べてのものだ。
探索者の目から見れば、とてもではないが強敵ではない。
それこそ、生身での戦闘の実力は決して高くないアランであっても、楽に勝てる程度の者たちだ。
とはいえ、それは探索者という者たちの技量が突出しているだけで、ギジュに雇われている兵士たちは一般的な常識で考えれば十分に腕利きと言ってもいい。
そんな兵士たちが多数見回りをしている中で、今回のような一件が起きたのだ。
当然ながら、それを行った者は探索者たちに比肩するだけの技量を持っていると思ってもいい。
(普通に考えると、獣牙衆だろうな)
アランはそう予想する。
証拠の類がある訳ではないが、それでも状況から考えて間違いないと思われた。
「そうなると、これからどうします? こうしてワストナを裏切り者として処刑し、こちらに見せつけてきた以上……向こうも、まさかこれで終わりにするといったことはないでしょうし」
ジャスパーのその言葉に、皆が同意するように頷く。
ゴールスがクラリスと友好的な関係を築く……とまではいかないが、それでも話し合いをするといったようなつもりがあれば、当然だがこのようなあからさまな脅しをするといったようなことはしないだろう。
つまりこれは、ゴールスから改めて行われた宣戦布告のようなものだ。
「そうなると、こちらも戦力を整える方がいいですね。……ギジュさん、出来ればもう何人か私たちの仲間をこの屋敷に呼びたいのですが、構いませんか?」
「ええ、それがクラリス様の安全に繋がるのであれば、構いませんよ」
ジャスパーはギジュの言葉に、助かりますと頭を下げる。
そんなジャスパーの様子を見て、アランはジャスパーが一体誰を連れてこようとしてくるのだろうかを理解した。
(多分、レオノーラだろうな。……けど、現在デルリアに散らばっている仲間たちを纏めているのはレオノーラだ。そのレオノーラをこっちに引っ張ってくると、纏める人材がいなくなるんじゃないか?)
もちろん、他に雲海や黄金の薔薇の探索者を……そして何故か獣牙衆であるにもかかわらず、ロッコーモに負けたという理由で一緒に行動しているサスカッチといった面々を纏められる人物がいない訳ではない。
特に黄金の薔薇の探索者は、元貴族といったものが多いために人を纏めるのに慣れている者はそれなりにいる。
だが……それでも、現在行動している中で一番統率力に優れているのがレオノーラなのは、間違いのない事実だった。
雲海の方にも纏め役としての能力を持っている者は多いが、基本的に雲海の場合は率いているのがイルゼンのような飄々とした人物だけに、そこまで統率力といったものについては気にしている者はおらず、進んでやりたいと思う者も少なかった。
ある意味で、イルゼンのそういうところは凄い能力であるのは間違いないだろう。
飄々としているようでいて、しっかりと纏めるべきところは纏め、それでいて他の面々に不満を抱かせないのだから。
「そうなると、こちらの戦力は随分と増えますね。……ガーウェイ、そちらはどうです? もう二人獣牙衆が抜けたという者たちがいたという話ですが、まだ合流出来ないのですか?」
レオノーラ……もしくはそれ以外かもしれないが、他の場所にいる仲間をこの屋敷に呼んで戦力を充実させる許可を貰ったジャスパーだったが、そのジャスパーが次にそう尋ねたのは、ガーウェイだ。
ゴールスが獣牙衆を使ってくる以上、こちらにも獣牙衆がいるというのは大きな意味を持つ。
純粋な戦力という点では、自分たちでどうにでもなるが、獣牙衆といったような者たちが正面から攻撃をしてくるとは思えない。
……もっとも、サスカッチのように正面から攻めて来た相手もいる以上、他にもそのような性格の者がいないとは、言い切れなかったが。
ともあれ、相手が獣牙衆である以上、こちらも同様に獣牙衆を戦力として数に入れたい。
そうジャスパーが思うのも当然だろう。
「俺も出来れば早くこっちに合流させたいんだけどな。けど、他の獣牙衆に狙われているらしい。そっちをどうにかしてから合流しないと、不味いだろ?」
ガーウェイの言葉は、聞いている者たちを納得させるに十分だった。
今の状況ですら、ゴールスの戦力は大きいのだ。
そこに獣牙衆も協力している以上、出来れば敵の数は少なくなった方がいいと思うのは当然だろう。
(とはいえ、残り二人の獣牙衆がこっちに合流すれば、結局それを狙ってる獣牙衆も敵に合流するってことになるんだし、そういう意味では大して変わらないような気もするけど)
アランにしてみれば、結果的に変わらないのなら、自分や他の仲間がゴールスに味方する獣牙衆と戦わなくてもいいように、自分たちに合流していないもう二人の獣牙衆にも自分たちに合流せずに別行動をとった方がいいと、そう思うのだが。
「そうなると、その二人がこちらに合流するのは予定よりも随分と遅くなるといったところでしょうか?」
「そうなるな。基本的には戦力として考えなくてもいい。……どうしても戦力が足りないのなら、少し無理をしてでもこっちに合流させるつもりだったんだが、そっちで戦力を補充出来るのなら、今はその心配はないんだろう?」
ガーウェイの言葉に、ジャスパーは頷く。
ジャスパーとしては、アランと違って出来れば獣牙衆にも合流して欲しいと思っていたのだが、ガーウェイの様子を見る限りそれは無理だと判断したのだろう。
「戦力についてはそれでいいでしょうね。こちらでも、手を回して信用出来る戦力を出来るだけ集めてみます」
ガーウェイとジャスパーの話し合いを聞いていたギジュは、そう告げる。
この屋敷の主としては、よそからやって来た者たちに対して、戦力的に完全に頼るといった真似はしたくないのだろう。
アランたちはクラリスが連れて来たとはいえ、偶然出会っただけの探索者でしかない。
ガーウェイにいたっては、元獣牙衆だ。
出来れば信用ではなく、信頼出来る戦力を用意したいというのがギジュの正直な気持ちだった。
それを表に出すような真似はしなかったが。
ただ、当然のようにジャスパーやガーウェイはそんなギジュの考えを予想はしている。
しかし、それで自分たちの戦力が多くなるのなら問題はないと判断し、ギジュの思惑に何かを言うような真似はしない。
「そうですか。ワストナの首の件もありますし、この屋敷の内部の警備を厳重にするという意味でも、戦力は多い方がいいでしょうね」
ジャスパーはそう言ってギジュの判断を了承する。
実際、この屋敷はかなりの広さを持つのだ。
そうである以上、どこからか敵が侵入してこないとも限らない。
実際にワストナの生首を敷地内に置いて去っていった相手がいる以上、その辺の警備は厳重になるのはジャスパーにとっても悪いことではない。
「それでは次です。……ゴールスにどう対抗するかということですね」
クラリスの口からゴールスの名前が出ると、会議に参加している者の多くが難しい表情を浮かべる。
ゴールスという存在は、デルリアにおいて非常に強い影響力を持っており、クラリスたちが下手に行動しようとすれば、すぐにそれを見抜かれてしまうだろう。
そして、ゴールスの手によってその行動は潰される。
それこそ、ワストナと同じように。
ゴールスを敵に回した以上、下手に動くことが出来ないのは事実だ。
だが、それでも何の行動も起こさないといった訳にいかないのも、事実。
この状況において、時間は明らかにゴールスの味方なのだから。
だからこそ、今は不利を承知で動いた方がいいのは間違いない。
問題なのは、どう動くかだが。
「ギジュさん、クラリスの味方になってくれそうな有力者って他にいますか?」
アランのその問いに、ギジュは首を横に振る。
そして憂鬱そうな表情で口を開く。
「ワストナの件の情報がもう流れています。それも不自然なほどに早く」
「……ゴールスの仕業ですか?」
自分を裏切った者は殺す。もしくは、自分の味方ではなくても中立の者がクラリスに味方をしても殺す。
そう示すために、ゴールスが噂を流したとしてもおかしくはなかった。
「でしょうね。ともあれ、そのために当初はクラリス様に友好的な態度を示していた者の多くが及び腰になっています」
「でしょうね」
ギジュの言葉に、クラリスは責めるでもなく、同意するように頷く。
クラリスも、自分に友好的な存在が次々に死ぬといったような光景は、見たくない。
だからこそ、ギジュの言葉を聞いてもそう短く言うだけですませたのだ。
「いっそ、ゴールスを屋敷諸共消滅させるってのは? やってやれないことはないだろ?」
妹のように可愛がっているクラリスのためとあってか、過激な意見を口にするアラン。
普通に聞けば、お前は何を言ってるんだ? といった視線を向けられてもおかしくはないのだが、アランの場合は実際にそれを行うだけの実力がある。
この中ではギジュだけが、それを情報だけでしか知らなかった。
ワストナの一件があるまではガーウェイも情報でしか知らず、しかもそれも大袈裟に口にした内容なのだろうと思っていたのだが……ギーグとの戦いでアランが召喚したビームサーベルの一撃を見れば、アランのその言葉は嫌でも理解出来てしまう。
それこそ、個人の強さとは何の意味も持っていないと示すような、圧倒的な力。
それを使えば……
そう思えば、会議室の中が静まるのは当然だった。
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