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獣人を率いる者
324話
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結局、今の状況ではどう行動するのかは検討をするというだけで終わり、次の会議の時にどのように動くのかといったことになった。
アランとしてはビームサーベルを使って一気にゴールスを倒してしまえばいいのにと主張したのだが、結局それは騒動が大きくなるだけだと判断して却下されてしまう。
周囲の被害も大きくなるという判断からのものだったが、アランとしてはその程度の被害は許容範囲内だと、そう思っていたのだが……だからといって、クラリスが反対している提案を無理に押し通すといったような真似も、アランには出来ない。
そうして今は自由時間ということで、アランは自分の部屋にあるベッドに寝転がってこれからのことを考えていたのだが……
「何だ?」
ふと、屋敷の中が騒がしくなっているのに気が付き、アランは起き上がる。
当然の話だが、アランのいるこの部屋は外の音を完全に遮断するといったような真似は出来ない。
そのような技術もない訳ではないのだが、アランはあくまでもクラリスの護衛としてこの屋敷に滞在しているのだ。
そうである以上、部屋の外で何らかの騒動が起きたときはすぐにでもそれに対応する必要がある。
そういう意味では、部屋の外の音が聞こえるというのは当然だった。
……本当に腕の立つ者であれば、部屋の外の気配を察知して問題がないかどうかを確認したりといったような真似も出来るのだが、生憎とアランにそのような真似は出来ない。
それでも、この騒動からしてクラリスが襲われたといったようなものではないだろうと判断し、部屋から出る。
すると、ちょうどアランの部屋に向かっていたメイドと目が合う。
「アラン様、ちょうどよかったです。今、お呼びしようと思っていたのですが」
「この騒ぎの件ですか?」
尋ねるアランの言葉に、メイドは真剣な表情で頷く。
そうして頷きながらも、その目には隠しようのない恐怖が宿っているのにアランは気が付く。
一瞬、何故自分にそんな視線を? と思ったが、その恐怖の視線が自分に向けられたものではないことは、次のメイドの言葉から理解出来た。
「ゴールス様からの使者が来ました。現在、準備をしているということでお待ちいただいてますが……」
「なるほど、ゴールスからの使者ですか」
その言葉で、何故メイドの目に恐怖の色があるのかを理解する。
今朝、ワストナの生首をギジュの屋敷に置いていった存在は、ゴールスの……正確には、ゴールスの指揮下にある獣牙衆の仕業のはずだった。
特にメイドは、あくまでも一般人だ。
荒事の類に慣れている訳でもない以上、自分の働いている場所に生首が……それも、ギジュほどではないにしろ、デルリアでは有名なワストナの生首が置かれていたというのは、ショックを受けるなという方が無理だろう。
そのようなことを平然と命じることが出来る者からの使者だ。
今朝のことを思い出したメイドが、怯えたり怖がったりするのなという方が無理だった。
「はい。それで、クラリス様がアランさんを呼んでくるようにと」
「分かりました、すぐに行きましょう」
クラリスの護衛をしているアランだけに、ここで放っておくなどといった真似をすることは出来ない。
「ジャスパーさんはどうしました?」
「ギジュ様と打ち合わせをしているときだったので、既に……」
「そうですか」
メイドと共に歩きながらジャスパーについて尋ねるが、返ってきた言葉に安堵する。
取りあえず、もしその使者が実は刺客の類であったとしても、ジャスパーがいる限りはそう簡単にクラリスに危害を加えるといったような真似は出来ないはずだった。
「ロルフを始めとした、他の護衛たちはどうです?」
「そちらは別のメイドが呼びに行っています。すぐにやってくるかと」
ロルフたちもすぐに来ると聞き、アランは頷く。
取りあえずこれで何が起きてもすぐに対処出来るだろうと、そう判断したためだ。
そうしてアランがメイドによって案内された部屋には、ギジュとクラリス、ジャスパーの姿がある。
「アランさん」
クラリスがアランの姿を見て、嬉しそうに笑みを浮かべて名前を呼ぶ。
アランは戦力という意味では、生身のアランはそこまで期待出来る相手ではない。
だが、クラリスにとってアランは、戦力ではなく精神的に頼りにしている相手だ。
そういう意味では、アランの存在はクラリスにとって非常に頼りになる存在だった。
……また、純粋な戦力という意味でも、生身の戦闘力はともかく、いざとなればゼオンの武器を召喚するといったような方法もある。
ゼオンの武器の召喚というのは、まさに最終手段といったようなもので、もしギジュの屋敷でそのようなことになった場合、ワストナの屋敷と同様の被害を受けることになるだろうが。
「クラリス、相手は何のつもりで使者を送ってきたのか聞いたのか?」
「いえ、今はまだ。ただ。武器の類を隠し持ったりといったようなことはないので、暗殺者といったようなことはないと思います」
当然の話だが、クラリスと敵対しているゴールスからの使者だ。
万が一を考えて、武器を持ってないのかどうかはしっかりと確認したのだろう。
このような時期に明確に敵対しているクラリスに会いに来るのだから、今までの流れから暗殺をしに来たと判断してもおかしくはない。
当然のようにギジュがそれを警戒するのは当然だった。
「武器の類を持っていないとなると、暗殺者ではない……と?」
「いえ、獣人の場合は武器を持っていなくても自前の爪や牙がありますから。獣人の中には下手な武器よりもそれらの方が鋭い者はいます」
クラリスがそう断言するのを聞き、アランもなるほどと納得する。
今の状況を思えば、相手を警戒してしすぎることはないのだから。
クラリスもそれが分かっているからこそ、アランたちを呼んだのだろう。
「分かった。なら俺たちもクラリスと一緒にゴールスの使者に会おう。……構いませんか?」
そう、アランはギジュに尋ねる。
ゴールスの使者と会うのは、当然クラリスだ。
そうであるのなら、本来はギジュに断る必要もないのかもしれないが、現在アランたちがいるのは、あくまでもギジュの屋敷だ。
だからこそ、アランはギジュに許可を求めたのだろう。
「構わんよ。向こうがクラリス様に何かしようとしてきたのなら、それを守って欲しい。屋敷の被害は気にしなくても結構」
ギジュはクラリスの後ろ盾といった形になってはいるが、完全にクラリスを認めたという訳ではない。
だからこそ、ロランたちのように姫様と呼ぶのではなく、クラリス様と呼んでいるのだろう。
そんなギジュだが、それでも自分の屋敷で客人として迎えた人物が、その屋敷の中で襲われるといったような真似をされれば、面子を潰されてしまう。
ましてや、ゴールスはワストナの頭部をギジュの屋敷の敷地内に置いていくといったような真似をしたのだ。
その時点で、ギジュは面子を潰されたようなものだろう。
だからこそ、ゴールスの使者がクラリスに危害を加えようとしているのなら、屋敷に被害が出てもいいから防ぐようにと、そう言ったのだ。
そんなギジュの言葉にアランは頷き……そして、いよいよ使者と面会をすることになるのだった。
「初めまして、私はゴールス様にお仕えしている、シスターナと申します」
そう言って頭を下げたのは、猫の獣人の女。
美人と表現してもいいだろう。
ただし、ただの美人という訳ではなく、油断の出来ない美人だ。
「私はクラリスです。それで、ゴールスからの使いだという話ですが、何でしょう? 今更私たちの間に何か話すようなことはないと思いますけど」
シスターナにそう返すのは、当然ながらクラリスだ。
こちらもまだ幼いとはいえ、将来は確実に美人になるだろうと確信させるくらいに顔立ちが整っている。
そういう意味では、この二人のやり取りを見るのは目の保養と言ってもいいのかもしれないが……二人の間にある緊張感を考えれば、自分から進んでそのような光景を見たいと思う者は多くはないだろう。
「そう言われるのは分かってましたが、ゴールス様も今回の件については色々と迷った末の行動ですから」
「……迷った、ですか。とてもそうだとは思えませんけど? 私がメルリアナに来る途中で何度も襲撃されましたし」
「あら、それゴールス様の指示とは限らないのでは?」
うふふ、おほほ。
そんな風に笑いながら会話をする二人だったが、その表情にあるのは笑みであっても目は笑っていない。
お互いがお互いを、言葉の刃で刺し殺そうとしているかのような、そんな印象すら受ける。
(怖いな)
それが二人のやり取りを見ているアランが感じたことだ。
二人揃って笑ってはいるものの、周囲に漂う緊張感は時間が経つに連れて増していく。
今の状況において下手に身動きをしようものなら、間違いなくこの緊張感に飲み込まれてしまうだろう。
そうならないため、アランは小さく深呼吸をする。
もしシスターナが刺客であった場合、向こうが動いたら即座に対処する必要があるのだ。
とはいえ、この部屋の中には護衛としてはアラン以外にジャスパーやロルフの姿もある。
なお、ロルフは話し合いには結局遅れてきたのだが、それでもシスターナと面会をする前に合流することは出来たので、一緒に部屋の中にいた。
ガーウェイも本来ならここにいてもおかしくはないのだが、シスターナは何らかの陽動であるという可能性を考えて、今はここにいない。
……あるいは、ゴールスの部下だというシスターナと面識があって、顔を合わせづらいと思っているのかもしれないが。
今でこそ獣牙衆を抜けたガーウェイだったが、少し前まではその獣牙衆に所属していた。
そして獣牙衆がゴールスの味方をしている以上、ゴールスの部下とシスターナとガーウェイの二人に面識があってもおかしくはない。
もちろん、警戒をするというのも決して嘘という訳ではないのだろうが。
「ゴールスの指示ではないのなら、一体誰が襲撃をしてきたのかしら?」
「さあ? それを私に聞かれても……」
シスターナはそう誤魔化す。
クラリスはこれ以上責めても無意味だと判断し、改めて口を開く。
「それで、今日は一体何の用件で?」
「降伏しませんか?」
クラリスの問いに、シスターナは端的にそう告げるのだった。
アランとしてはビームサーベルを使って一気にゴールスを倒してしまえばいいのにと主張したのだが、結局それは騒動が大きくなるだけだと判断して却下されてしまう。
周囲の被害も大きくなるという判断からのものだったが、アランとしてはその程度の被害は許容範囲内だと、そう思っていたのだが……だからといって、クラリスが反対している提案を無理に押し通すといったような真似も、アランには出来ない。
そうして今は自由時間ということで、アランは自分の部屋にあるベッドに寝転がってこれからのことを考えていたのだが……
「何だ?」
ふと、屋敷の中が騒がしくなっているのに気が付き、アランは起き上がる。
当然の話だが、アランのいるこの部屋は外の音を完全に遮断するといったような真似は出来ない。
そのような技術もない訳ではないのだが、アランはあくまでもクラリスの護衛としてこの屋敷に滞在しているのだ。
そうである以上、部屋の外で何らかの騒動が起きたときはすぐにでもそれに対応する必要がある。
そういう意味では、部屋の外の音が聞こえるというのは当然だった。
……本当に腕の立つ者であれば、部屋の外の気配を察知して問題がないかどうかを確認したりといったような真似も出来るのだが、生憎とアランにそのような真似は出来ない。
それでも、この騒動からしてクラリスが襲われたといったようなものではないだろうと判断し、部屋から出る。
すると、ちょうどアランの部屋に向かっていたメイドと目が合う。
「アラン様、ちょうどよかったです。今、お呼びしようと思っていたのですが」
「この騒ぎの件ですか?」
尋ねるアランの言葉に、メイドは真剣な表情で頷く。
そうして頷きながらも、その目には隠しようのない恐怖が宿っているのにアランは気が付く。
一瞬、何故自分にそんな視線を? と思ったが、その恐怖の視線が自分に向けられたものではないことは、次のメイドの言葉から理解出来た。
「ゴールス様からの使者が来ました。現在、準備をしているということでお待ちいただいてますが……」
「なるほど、ゴールスからの使者ですか」
その言葉で、何故メイドの目に恐怖の色があるのかを理解する。
今朝、ワストナの生首をギジュの屋敷に置いていった存在は、ゴールスの……正確には、ゴールスの指揮下にある獣牙衆の仕業のはずだった。
特にメイドは、あくまでも一般人だ。
荒事の類に慣れている訳でもない以上、自分の働いている場所に生首が……それも、ギジュほどではないにしろ、デルリアでは有名なワストナの生首が置かれていたというのは、ショックを受けるなという方が無理だろう。
そのようなことを平然と命じることが出来る者からの使者だ。
今朝のことを思い出したメイドが、怯えたり怖がったりするのなという方が無理だった。
「はい。それで、クラリス様がアランさんを呼んでくるようにと」
「分かりました、すぐに行きましょう」
クラリスの護衛をしているアランだけに、ここで放っておくなどといった真似をすることは出来ない。
「ジャスパーさんはどうしました?」
「ギジュ様と打ち合わせをしているときだったので、既に……」
「そうですか」
メイドと共に歩きながらジャスパーについて尋ねるが、返ってきた言葉に安堵する。
取りあえず、もしその使者が実は刺客の類であったとしても、ジャスパーがいる限りはそう簡単にクラリスに危害を加えるといったような真似は出来ないはずだった。
「ロルフを始めとした、他の護衛たちはどうです?」
「そちらは別のメイドが呼びに行っています。すぐにやってくるかと」
ロルフたちもすぐに来ると聞き、アランは頷く。
取りあえずこれで何が起きてもすぐに対処出来るだろうと、そう判断したためだ。
そうしてアランがメイドによって案内された部屋には、ギジュとクラリス、ジャスパーの姿がある。
「アランさん」
クラリスがアランの姿を見て、嬉しそうに笑みを浮かべて名前を呼ぶ。
アランは戦力という意味では、生身のアランはそこまで期待出来る相手ではない。
だが、クラリスにとってアランは、戦力ではなく精神的に頼りにしている相手だ。
そういう意味では、アランの存在はクラリスにとって非常に頼りになる存在だった。
……また、純粋な戦力という意味でも、生身の戦闘力はともかく、いざとなればゼオンの武器を召喚するといったような方法もある。
ゼオンの武器の召喚というのは、まさに最終手段といったようなもので、もしギジュの屋敷でそのようなことになった場合、ワストナの屋敷と同様の被害を受けることになるだろうが。
「クラリス、相手は何のつもりで使者を送ってきたのか聞いたのか?」
「いえ、今はまだ。ただ。武器の類を隠し持ったりといったようなことはないので、暗殺者といったようなことはないと思います」
当然の話だが、クラリスと敵対しているゴールスからの使者だ。
万が一を考えて、武器を持ってないのかどうかはしっかりと確認したのだろう。
このような時期に明確に敵対しているクラリスに会いに来るのだから、今までの流れから暗殺をしに来たと判断してもおかしくはない。
当然のようにギジュがそれを警戒するのは当然だった。
「武器の類を持っていないとなると、暗殺者ではない……と?」
「いえ、獣人の場合は武器を持っていなくても自前の爪や牙がありますから。獣人の中には下手な武器よりもそれらの方が鋭い者はいます」
クラリスがそう断言するのを聞き、アランもなるほどと納得する。
今の状況を思えば、相手を警戒してしすぎることはないのだから。
クラリスもそれが分かっているからこそ、アランたちを呼んだのだろう。
「分かった。なら俺たちもクラリスと一緒にゴールスの使者に会おう。……構いませんか?」
そう、アランはギジュに尋ねる。
ゴールスの使者と会うのは、当然クラリスだ。
そうであるのなら、本来はギジュに断る必要もないのかもしれないが、現在アランたちがいるのは、あくまでもギジュの屋敷だ。
だからこそ、アランはギジュに許可を求めたのだろう。
「構わんよ。向こうがクラリス様に何かしようとしてきたのなら、それを守って欲しい。屋敷の被害は気にしなくても結構」
ギジュはクラリスの後ろ盾といった形になってはいるが、完全にクラリスを認めたという訳ではない。
だからこそ、ロランたちのように姫様と呼ぶのではなく、クラリス様と呼んでいるのだろう。
そんなギジュだが、それでも自分の屋敷で客人として迎えた人物が、その屋敷の中で襲われるといったような真似をされれば、面子を潰されてしまう。
ましてや、ゴールスはワストナの頭部をギジュの屋敷の敷地内に置いていくといったような真似をしたのだ。
その時点で、ギジュは面子を潰されたようなものだろう。
だからこそ、ゴールスの使者がクラリスに危害を加えようとしているのなら、屋敷に被害が出てもいいから防ぐようにと、そう言ったのだ。
そんなギジュの言葉にアランは頷き……そして、いよいよ使者と面会をすることになるのだった。
「初めまして、私はゴールス様にお仕えしている、シスターナと申します」
そう言って頭を下げたのは、猫の獣人の女。
美人と表現してもいいだろう。
ただし、ただの美人という訳ではなく、油断の出来ない美人だ。
「私はクラリスです。それで、ゴールスからの使いだという話ですが、何でしょう? 今更私たちの間に何か話すようなことはないと思いますけど」
シスターナにそう返すのは、当然ながらクラリスだ。
こちらもまだ幼いとはいえ、将来は確実に美人になるだろうと確信させるくらいに顔立ちが整っている。
そういう意味では、この二人のやり取りを見るのは目の保養と言ってもいいのかもしれないが……二人の間にある緊張感を考えれば、自分から進んでそのような光景を見たいと思う者は多くはないだろう。
「そう言われるのは分かってましたが、ゴールス様も今回の件については色々と迷った末の行動ですから」
「……迷った、ですか。とてもそうだとは思えませんけど? 私がメルリアナに来る途中で何度も襲撃されましたし」
「あら、それゴールス様の指示とは限らないのでは?」
うふふ、おほほ。
そんな風に笑いながら会話をする二人だったが、その表情にあるのは笑みであっても目は笑っていない。
お互いがお互いを、言葉の刃で刺し殺そうとしているかのような、そんな印象すら受ける。
(怖いな)
それが二人のやり取りを見ているアランが感じたことだ。
二人揃って笑ってはいるものの、周囲に漂う緊張感は時間が経つに連れて増していく。
今の状況において下手に身動きをしようものなら、間違いなくこの緊張感に飲み込まれてしまうだろう。
そうならないため、アランは小さく深呼吸をする。
もしシスターナが刺客であった場合、向こうが動いたら即座に対処する必要があるのだ。
とはいえ、この部屋の中には護衛としてはアラン以外にジャスパーやロルフの姿もある。
なお、ロルフは話し合いには結局遅れてきたのだが、それでもシスターナと面会をする前に合流することは出来たので、一緒に部屋の中にいた。
ガーウェイも本来ならここにいてもおかしくはないのだが、シスターナは何らかの陽動であるという可能性を考えて、今はここにいない。
……あるいは、ゴールスの部下だというシスターナと面識があって、顔を合わせづらいと思っているのかもしれないが。
今でこそ獣牙衆を抜けたガーウェイだったが、少し前まではその獣牙衆に所属していた。
そして獣牙衆がゴールスの味方をしている以上、ゴールスの部下とシスターナとガーウェイの二人に面識があってもおかしくはない。
もちろん、警戒をするというのも決して嘘という訳ではないのだろうが。
「ゴールスの指示ではないのなら、一体誰が襲撃をしてきたのかしら?」
「さあ? それを私に聞かれても……」
シスターナはそう誤魔化す。
クラリスはこれ以上責めても無意味だと判断し、改めて口を開く。
「それで、今日は一体何の用件で?」
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クラリスの問いに、シスターナは端的にそう告げるのだった。
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