11 / 178
異世界へ
0011話
しおりを挟む
ソフィアの厚意により、イオが倒したゴブリンの素材の剥ぎ取りやまだ使える武器を集めるといった仕事はスムーズに行われた。
そんな中、イオはギュンターと一緒に戦場――という表現が正しいのかどうかは微妙だが――を見て回り、ゴブリンの死体を見つけてはそこから魔石を剥ぎ取ったり、ゴブリンの解体をする。
「ギュンターさん、ゴブリンの素材って売れるんですか?」
「売れるぞ。とはいえ、普通のゴブリンの素材はほとんど金にならないが。売り物になるのは……」
そこで一旦言葉を止めたギュンターが見たのは、イオの前にあり、ギュンターが解体していたゴブリンの死体。
普通のゴブリンと比べると二倍くらいの大きさを持つ上位種だ。
「こういう上位種だけだ」
「なるほど。ちなみにギュンターさんは解体がかなり上手いと思いますけど、傭兵でもモンスターの解体はするんですか?」
「は?」
イオの言葉に、ギュンターは一体何を言ってるのかといったような不思議な表情を浮かべる。
(あ、これはミスったか?)
ギュンターの様子を見る限り、モンスターの解体は傭兵も普通に行うことなのだろう。
だというのに、イオは傭兵で解体をするのが珍しいといったように話したのだ。
ギュンターにしてみれば、イオの言葉に疑問を抱くのも当然だろう。
「あー……その、俺はこの場所に来たばかりなので。俺が以前いた場所だと、傭兵の他にも冒険者というのがいたんですよ」
「ああ、冒険者か。こっちにもいるよ。とはいえ、傭兵と区別はほとんどないが」
「え?」
ギュンターの口から出た言葉は、イオにとって完全に予想外だった。
せっかく異世界に……それも剣と魔法のファンタジー世界に来たのだから、黎明の覇者に街まで送って貰ったあとは冒険者になるのかもいいかもしれないと興味を抱いていたのだ。
だというのに、傭兵と冒険者が同じような意味だと言われてしまったのだから、それで絶句するなという方が無理だろう。
「ダンジョンに挑んだり、採取をしたり、モンスターを討伐したりといったような依頼を受ける者たちが冒険者と呼ばれていて、俺たちのように戦争に参加する者たちが傭兵と呼ばれているのだが……俺たちだってダンジョンに挑んだりモンスターを倒したりするし、冒険者も戦争に参加したりするんだ」
「そうなんですか!?」
傭兵団ということから、黎明の覇者が行うのはあくまでも戦争への参加ばかりだろうと考えていたイオにしてみれば、完全に予想外の言葉。
「そうだ。そもそも戦争……あるいはそこまで大規模ではなくても戦いはそれなりに頻繁に起きているが、だからといってそれだけで全員が食べていけるほどじゃない。そういうときはモンスターの討伐であったり、ダンジョンがあればそこに潜ったりする」
言われてみれば、その説明はイオにも納得出来た。
黎明の覇者はランクA傭兵団だけあって、装備品も皆一流の品だと、イオであっても分かる。
それ以外にも馬やモンスターが多数いるのだから、その世話でもさらに金がかかるだろう。
ましてや、ここにやって来た者以外にも多数黎明の覇者の傭兵はいると聞いており、その者たちが生活するだけの金額はどうしても必要となる。
「それに、ダンジョンにはマジックアイテムがあったり、場合によっては古代魔法文明の遺産……アーティファクトがあったりする。傭兵団も戦力を拡充する意味で考えると、十分期待出来る場所なのは間違いないんだ」
「マジックアイテムに、アーティファクトですか」
イオは好奇心を刺激するような単語に興味深そうにする。
そんなイオの様子に気が付いたのだろう。ギュンターは笑みを浮かべて説明を続ける。
「俺たち黎明の覇者がここまで強力な傭兵団となったのは、人材やソフィア様の実力もあるが、ダンジョンから複数のマジックアイテムやアーティファクトを入手したのも理由だ。たとえば、ソフィア様の持っている槍も古代魔法文明のアーティファクトの一つだ」
「……あれが……」
イオもソフィアの持っている槍を見ている。
槍は非常に印象強かったので、あれがアーティファクトだと言われれば素直に納得出来た。
「さて、話はこのくらいにして、まずはゴブリンの解体を行おうか。その辺もやったことがないんだな?」
「はい。そういうのは全く」
申し訳なさそうにイオが言うと、ギュンターはそんなイオの様子を特に気にした様子もなく、ゴブリンの解体を行っていく。
上位種ではあるが、それでもゴブリンの一種である以上、他のゴブリンの解体の参考になる。
そんなイオに対し、ギュンターは丁寧にゴブリンの解体方法を教えていく。
「モンスターは基本的に魔石を持つ。それは知ってるか?」
「はい。ただ、ゴーレムやアンデッドの一種であったり、中には普通のモンスターでも魔石を持っていない個体もいるという話を聞いたことがあります」
「正解だ。とはいえ、普通のモンスターならまず魔石を持っていると思ってもいい」
ギュンターの説明に、イオは納得したように頷く。
水晶から与えられた中途半端な知識から、イオも理解している。
「あとは討伐証明部位というのもある。これを持っていけば、ギルドで報酬を貰える」
「ゴブリンにもあるんですか?」
「ああ、ある。傭兵や冒険者になったばかりの者にしてみれば、ゴブリンの討伐証明部位は稼ぎの中心なることも珍しくない。イオも冒険者になる可能性があるのなら、その辺は覚えておいた方がいい。ただし、冒険者になったばかりの頃というのは一番厳しい時期となる」
ギュンターとしては、出来ればイオには黎明の覇者に入って欲しいと思っている。
しかし、まさかここで無理を言うといったような真似が出来るはずもない。
ソフィアに禁じられているからというのもあるが、それ以前に黎明の覇者に入るのであれば自分の意思で入って欲しいという思いがあったためだ。
「なるほど。冒険者というのも予想していたよりも厳しい職業なんですね」
「その通り。高ランクになってくれば話は別だが、初心者というのは……こう言ってはなんだが、有象無象の集まりだ」
「でしょうね」
そう言うイオだったが、それは恐らくそうだろうという予想であると同時に、日本にいるときに読んだ漫画の影響が強い。
才能ある者も、才能がない者も……皆、等しく冒険者になったばかりの頃は新人冒険者なのだ。
「でも、それは傭兵も同じじゃないですか? 新人は有象無象が多いってのは」
「それは否定しない。だが……黎明の覇者に限っては、新人であっても相応の待遇だ。もっとも、黎明の覇者にいる新人は、才能ある者が多数だが」
そう言われると、イオは自分がソフィアに勧誘されたのはかなり特別なことだったのだろうと納得する。
流星魔法という才能はあれども、それ以外は全くの素人でしかないのだから。
「とにかく、討伐証明部位というのは新人にとっては大きな意味を持つとだけ覚えておけばいい。最も高値で買い取ってくれるのは魔石だが。……ああ、ちなみに魔石の類はギルドに売るといったことも出来るが、その場合は基本的に商人に売るよりも安値になる」
「そうなんですか? なら、ギルドで売る必要はないですね。……ちなみにそのギルドって一体何ギルドなんですか?」
「ギルドだな。他にも商人ギルドや鍛冶師ギルドといったものがあるが、傭兵や冒険者たちが使うギルドはただのギルドとなる。これは、俺たちが使うギルドが最初に作られたからだ。それに傭兵や冒険者がモンスターから剥ぎ取った魔石や素材は大きな意味を持つというのもある」
詳しい話をギュンターから聞くと、傭兵や冒険者が使うギルドは他のギルドよりも格上という扱いで、だからこそただギルドと言った場合は傭兵や冒険者が使うギルドを示すらしい。
(というか、多分名前で揉めたってのもありそうだな)
ギュンターの説明を聞きながら、イオはそんな風に思う。
ギルドを利用するのが傭兵や冒険者である以上、傭兵ギルドなのか冒険者ギルドなのかで名前が違ってしまう。
あるいはその二つをはっきりと区別すれば問題ないのかもしれないが、ギュンターからの説明を聞く限りだと、双方共に名前は違うがやっていることは重なっている部分が多い。
だからこそ傭兵ギルドと冒険者ギルドの二つに分けたりといったような真似はせず、一つのギルドとして扱われているのだろう。
「ギルドって凄いんですね」
「そうだな。他の各種ギルドはどうしてもギルドには及ばない。国を跨いでいるから、その地を治めている貴族の影響が及ばないような組織は貴族にとって面白くない。だからこそギルドと同じようにはしたくないんだろう」
「え? その話を聞く限りだと、傭兵や冒険者が使ってるギルドは国を跨いで存在していますが、それ以外のギルドは違うんですか?」
「正確には違うところもあれば、違わないところもある。また、街によってもそれぞれ違うな。その辺はそれこそギルドによって大きく違う。……ふぅ」
話していて暑くなってきたのか、ギュンターは兜を脱ぐ。
露わになったギュンターの顔は、二十代半ばといったところか。
イオと比べると大分年上といったところだ。
だが、ギュンターは自分の顔を露わにしたことは特に気にした様子もなく、言葉を続ける。
「貴族以外にも、商人の中にもギルドに干渉してくる者はいる。先程も言ったが、傭兵や冒険者が手にいれた魔石の類を安く買い叩こうとしたりな」
「ああ、言ってましたね。つまり、商人の中にも当たり外れがある訳ですが」
「その言い方は少し違うな。安く買い叩こうとする商人であっても、しっかりと交渉すればギルドよりも高く買い取ってくれたりもする」
まず最初に交渉ありきというのが、この世界の商売なのだろうとイオは納得する。
日本にいたときは、基本的にスーパーやコンビニ、それ以外の店でもきちんと値段が決められていた。
フリーマーケットのように値段交渉が出来るような店もあるが、基本的には最初から値段の決まっている店が日本では多かった。
イオは自分がそんなやり取りに慣れることが出来るかと少し心配しながらも、まずはその商品を入手する必要があるとギュンターから教えてもらいながらゴブリンの死体を処理していくのだった。
そんな中、イオはギュンターと一緒に戦場――という表現が正しいのかどうかは微妙だが――を見て回り、ゴブリンの死体を見つけてはそこから魔石を剥ぎ取ったり、ゴブリンの解体をする。
「ギュンターさん、ゴブリンの素材って売れるんですか?」
「売れるぞ。とはいえ、普通のゴブリンの素材はほとんど金にならないが。売り物になるのは……」
そこで一旦言葉を止めたギュンターが見たのは、イオの前にあり、ギュンターが解体していたゴブリンの死体。
普通のゴブリンと比べると二倍くらいの大きさを持つ上位種だ。
「こういう上位種だけだ」
「なるほど。ちなみにギュンターさんは解体がかなり上手いと思いますけど、傭兵でもモンスターの解体はするんですか?」
「は?」
イオの言葉に、ギュンターは一体何を言ってるのかといったような不思議な表情を浮かべる。
(あ、これはミスったか?)
ギュンターの様子を見る限り、モンスターの解体は傭兵も普通に行うことなのだろう。
だというのに、イオは傭兵で解体をするのが珍しいといったように話したのだ。
ギュンターにしてみれば、イオの言葉に疑問を抱くのも当然だろう。
「あー……その、俺はこの場所に来たばかりなので。俺が以前いた場所だと、傭兵の他にも冒険者というのがいたんですよ」
「ああ、冒険者か。こっちにもいるよ。とはいえ、傭兵と区別はほとんどないが」
「え?」
ギュンターの口から出た言葉は、イオにとって完全に予想外だった。
せっかく異世界に……それも剣と魔法のファンタジー世界に来たのだから、黎明の覇者に街まで送って貰ったあとは冒険者になるのかもいいかもしれないと興味を抱いていたのだ。
だというのに、傭兵と冒険者が同じような意味だと言われてしまったのだから、それで絶句するなという方が無理だろう。
「ダンジョンに挑んだり、採取をしたり、モンスターを討伐したりといったような依頼を受ける者たちが冒険者と呼ばれていて、俺たちのように戦争に参加する者たちが傭兵と呼ばれているのだが……俺たちだってダンジョンに挑んだりモンスターを倒したりするし、冒険者も戦争に参加したりするんだ」
「そうなんですか!?」
傭兵団ということから、黎明の覇者が行うのはあくまでも戦争への参加ばかりだろうと考えていたイオにしてみれば、完全に予想外の言葉。
「そうだ。そもそも戦争……あるいはそこまで大規模ではなくても戦いはそれなりに頻繁に起きているが、だからといってそれだけで全員が食べていけるほどじゃない。そういうときはモンスターの討伐であったり、ダンジョンがあればそこに潜ったりする」
言われてみれば、その説明はイオにも納得出来た。
黎明の覇者はランクA傭兵団だけあって、装備品も皆一流の品だと、イオであっても分かる。
それ以外にも馬やモンスターが多数いるのだから、その世話でもさらに金がかかるだろう。
ましてや、ここにやって来た者以外にも多数黎明の覇者の傭兵はいると聞いており、その者たちが生活するだけの金額はどうしても必要となる。
「それに、ダンジョンにはマジックアイテムがあったり、場合によっては古代魔法文明の遺産……アーティファクトがあったりする。傭兵団も戦力を拡充する意味で考えると、十分期待出来る場所なのは間違いないんだ」
「マジックアイテムに、アーティファクトですか」
イオは好奇心を刺激するような単語に興味深そうにする。
そんなイオの様子に気が付いたのだろう。ギュンターは笑みを浮かべて説明を続ける。
「俺たち黎明の覇者がここまで強力な傭兵団となったのは、人材やソフィア様の実力もあるが、ダンジョンから複数のマジックアイテムやアーティファクトを入手したのも理由だ。たとえば、ソフィア様の持っている槍も古代魔法文明のアーティファクトの一つだ」
「……あれが……」
イオもソフィアの持っている槍を見ている。
槍は非常に印象強かったので、あれがアーティファクトだと言われれば素直に納得出来た。
「さて、話はこのくらいにして、まずはゴブリンの解体を行おうか。その辺もやったことがないんだな?」
「はい。そういうのは全く」
申し訳なさそうにイオが言うと、ギュンターはそんなイオの様子を特に気にした様子もなく、ゴブリンの解体を行っていく。
上位種ではあるが、それでもゴブリンの一種である以上、他のゴブリンの解体の参考になる。
そんなイオに対し、ギュンターは丁寧にゴブリンの解体方法を教えていく。
「モンスターは基本的に魔石を持つ。それは知ってるか?」
「はい。ただ、ゴーレムやアンデッドの一種であったり、中には普通のモンスターでも魔石を持っていない個体もいるという話を聞いたことがあります」
「正解だ。とはいえ、普通のモンスターならまず魔石を持っていると思ってもいい」
ギュンターの説明に、イオは納得したように頷く。
水晶から与えられた中途半端な知識から、イオも理解している。
「あとは討伐証明部位というのもある。これを持っていけば、ギルドで報酬を貰える」
「ゴブリンにもあるんですか?」
「ああ、ある。傭兵や冒険者になったばかりの者にしてみれば、ゴブリンの討伐証明部位は稼ぎの中心なることも珍しくない。イオも冒険者になる可能性があるのなら、その辺は覚えておいた方がいい。ただし、冒険者になったばかりの頃というのは一番厳しい時期となる」
ギュンターとしては、出来ればイオには黎明の覇者に入って欲しいと思っている。
しかし、まさかここで無理を言うといったような真似が出来るはずもない。
ソフィアに禁じられているからというのもあるが、それ以前に黎明の覇者に入るのであれば自分の意思で入って欲しいという思いがあったためだ。
「なるほど。冒険者というのも予想していたよりも厳しい職業なんですね」
「その通り。高ランクになってくれば話は別だが、初心者というのは……こう言ってはなんだが、有象無象の集まりだ」
「でしょうね」
そう言うイオだったが、それは恐らくそうだろうという予想であると同時に、日本にいるときに読んだ漫画の影響が強い。
才能ある者も、才能がない者も……皆、等しく冒険者になったばかりの頃は新人冒険者なのだ。
「でも、それは傭兵も同じじゃないですか? 新人は有象無象が多いってのは」
「それは否定しない。だが……黎明の覇者に限っては、新人であっても相応の待遇だ。もっとも、黎明の覇者にいる新人は、才能ある者が多数だが」
そう言われると、イオは自分がソフィアに勧誘されたのはかなり特別なことだったのだろうと納得する。
流星魔法という才能はあれども、それ以外は全くの素人でしかないのだから。
「とにかく、討伐証明部位というのは新人にとっては大きな意味を持つとだけ覚えておけばいい。最も高値で買い取ってくれるのは魔石だが。……ああ、ちなみに魔石の類はギルドに売るといったことも出来るが、その場合は基本的に商人に売るよりも安値になる」
「そうなんですか? なら、ギルドで売る必要はないですね。……ちなみにそのギルドって一体何ギルドなんですか?」
「ギルドだな。他にも商人ギルドや鍛冶師ギルドといったものがあるが、傭兵や冒険者たちが使うギルドはただのギルドとなる。これは、俺たちが使うギルドが最初に作られたからだ。それに傭兵や冒険者がモンスターから剥ぎ取った魔石や素材は大きな意味を持つというのもある」
詳しい話をギュンターから聞くと、傭兵や冒険者が使うギルドは他のギルドよりも格上という扱いで、だからこそただギルドと言った場合は傭兵や冒険者が使うギルドを示すらしい。
(というか、多分名前で揉めたってのもありそうだな)
ギュンターの説明を聞きながら、イオはそんな風に思う。
ギルドを利用するのが傭兵や冒険者である以上、傭兵ギルドなのか冒険者ギルドなのかで名前が違ってしまう。
あるいはその二つをはっきりと区別すれば問題ないのかもしれないが、ギュンターからの説明を聞く限りだと、双方共に名前は違うがやっていることは重なっている部分が多い。
だからこそ傭兵ギルドと冒険者ギルドの二つに分けたりといったような真似はせず、一つのギルドとして扱われているのだろう。
「ギルドって凄いんですね」
「そうだな。他の各種ギルドはどうしてもギルドには及ばない。国を跨いでいるから、その地を治めている貴族の影響が及ばないような組織は貴族にとって面白くない。だからこそギルドと同じようにはしたくないんだろう」
「え? その話を聞く限りだと、傭兵や冒険者が使ってるギルドは国を跨いで存在していますが、それ以外のギルドは違うんですか?」
「正確には違うところもあれば、違わないところもある。また、街によってもそれぞれ違うな。その辺はそれこそギルドによって大きく違う。……ふぅ」
話していて暑くなってきたのか、ギュンターは兜を脱ぐ。
露わになったギュンターの顔は、二十代半ばといったところか。
イオと比べると大分年上といったところだ。
だが、ギュンターは自分の顔を露わにしたことは特に気にした様子もなく、言葉を続ける。
「貴族以外にも、商人の中にもギルドに干渉してくる者はいる。先程も言ったが、傭兵や冒険者が手にいれた魔石の類を安く買い叩こうとしたりな」
「ああ、言ってましたね。つまり、商人の中にも当たり外れがある訳ですが」
「その言い方は少し違うな。安く買い叩こうとする商人であっても、しっかりと交渉すればギルドよりも高く買い取ってくれたりもする」
まず最初に交渉ありきというのが、この世界の商売なのだろうとイオは納得する。
日本にいたときは、基本的にスーパーやコンビニ、それ以外の店でもきちんと値段が決められていた。
フリーマーケットのように値段交渉が出来るような店もあるが、基本的には最初から値段の決まっている店が日本では多かった。
イオは自分がそんなやり取りに慣れることが出来るかと少し心配しながらも、まずはその商品を入手する必要があるとギュンターから教えてもらいながらゴブリンの死体を処理していくのだった。
10
あなたにおすすめの小説
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。
桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
母を訪ねて十万里
サクラ近衛将監
ファンタジー
エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。
この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。
概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。
美女エルフの異世界道具屋で宝石職人してます
網野ホウ
ファンタジー
小説家になろうで先行投稿してます。
異世界から飛ばされてきた美しいエルフのセレナ=ミッフィール。彼女がその先で出会った人物は、石の力を見分けることが出来る宝石職人。
宝石職人でありながら法具店の店主の役職に就いている彼の力を借りて、一緒に故郷へ帰還できた彼女は彼と一緒に自分の店を思いつく。
セレナや冒険者である客達に振り回されながらも、その力を大いに発揮して宝石職人として活躍していく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる