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二回目の仮面舞踏会2
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案の定、青年は思いっきり眉を顰める。それから険しい顔で叫びを上げた。
「何故ここに……、何故ユリウス殿下の婚約者が!」
「断っておきますが、呪われませんよ?」
「そんなことは分かってます! それより、何故貴女のような方がこのようなところに!」
叫び終えてから、青年はハッとした。
「まさか……、婚約者たる貴女が遊び歩いているから、殿下はああも女性を……?」
「違います」
冷静にお返しした。
異国ではこういう話を卵が先か鶏が先かというらしい。
しかし、こればっかりは完全に王子が先だ。
「では何故……、何故貴女という方がありながら、殿下はミリアを誑かすのでしょう?」
「それは、私も聞きたいです」
言えば、青年は切なげに目を細めた。
どうやら完全に訳ありのご様子だ。
大方、ミリアさんとやらが王子に執心で振られてしまったとかそんなことだろう。
よくあると言えばある話でもあった。
「ええっと……ミリアさんとは貴方の恋人ですが?」
問えば小さく頷いた。
そろそろ、私の上から退いてくれないかなぁと思う。
しかしどうやら、居心地が良いようだ。
全く動く気配なく青年は語り出した。
「ミリアは俺の幼馴染です。少し前に想いが通じて付き合っていたのですが、先日の夜会で運命にあったと振られてしまって……」
良くあるパターンだなと口元が引き攣った。
ダンスだろう。きっと、華麗なダンスを一緒に踊ったのだろう。
私は踊ったことがないから知らないけど、王子とのダンスはそれはそれは心地良いものらしい。
「俺だって、まだミリアと踊ったことはないのに……」
ホロリと私の上に涙がこぼれ落ちた。
いっそ可哀想になってくる。
「えっと……」
「すいません、こんなことを……」
「いえ、あの……」声を掛ければ、青年は私を見た。
グズグスの顔が庇護欲を駆り立てる。
「分かりますよ、その気持ち。私もユリウス様と踊ったことはありませんから」
「……えっ?」
青年は目を見開いた。
そりゃそうだろう。
「あの方は大変人気がありますからね」
「でも……、だからと言って貴女を差し置いてなんて……」
青年は感極まったのか、腕を私の横に置いて差し迫る。
多分この体勢に気が付いていない。この体勢が、そこそこ恥ずかしい形だということを。
「まぁ……、何を考えてるのかよく分からない人間ですからね、あの男は」
しれっと言ってから、そうだと良いことを思い付く。
そういえばと前置きをしてから口を開いた。
「宜しければですが、貴方のお名前を伺っても?」
「あっ、はい。俺……、私は、カルロ・テイネスと申します」
「カルロ・テイネス……。テイネス伯爵家……」
呟けば「はい」とカルロは頷いた。
「では、カルロ様、一つ仕返しをしてやりませんか?」
「……え?」
私は身を起こし、慌てて退いたカルロと目を合わせた。
「何故ここに……、何故ユリウス殿下の婚約者が!」
「断っておきますが、呪われませんよ?」
「そんなことは分かってます! それより、何故貴女のような方がこのようなところに!」
叫び終えてから、青年はハッとした。
「まさか……、婚約者たる貴女が遊び歩いているから、殿下はああも女性を……?」
「違います」
冷静にお返しした。
異国ではこういう話を卵が先か鶏が先かというらしい。
しかし、こればっかりは完全に王子が先だ。
「では何故……、何故貴女という方がありながら、殿下はミリアを誑かすのでしょう?」
「それは、私も聞きたいです」
言えば、青年は切なげに目を細めた。
どうやら完全に訳ありのご様子だ。
大方、ミリアさんとやらが王子に執心で振られてしまったとかそんなことだろう。
よくあると言えばある話でもあった。
「ええっと……ミリアさんとは貴方の恋人ですが?」
問えば小さく頷いた。
そろそろ、私の上から退いてくれないかなぁと思う。
しかしどうやら、居心地が良いようだ。
全く動く気配なく青年は語り出した。
「ミリアは俺の幼馴染です。少し前に想いが通じて付き合っていたのですが、先日の夜会で運命にあったと振られてしまって……」
良くあるパターンだなと口元が引き攣った。
ダンスだろう。きっと、華麗なダンスを一緒に踊ったのだろう。
私は踊ったことがないから知らないけど、王子とのダンスはそれはそれは心地良いものらしい。
「俺だって、まだミリアと踊ったことはないのに……」
ホロリと私の上に涙がこぼれ落ちた。
いっそ可哀想になってくる。
「えっと……」
「すいません、こんなことを……」
「いえ、あの……」声を掛ければ、青年は私を見た。
グズグスの顔が庇護欲を駆り立てる。
「分かりますよ、その気持ち。私もユリウス様と踊ったことはありませんから」
「……えっ?」
青年は目を見開いた。
そりゃそうだろう。
「あの方は大変人気がありますからね」
「でも……、だからと言って貴女を差し置いてなんて……」
青年は感極まったのか、腕を私の横に置いて差し迫る。
多分この体勢に気が付いていない。この体勢が、そこそこ恥ずかしい形だということを。
「まぁ……、何を考えてるのかよく分からない人間ですからね、あの男は」
しれっと言ってから、そうだと良いことを思い付く。
そういえばと前置きをしてから口を開いた。
「宜しければですが、貴方のお名前を伺っても?」
「あっ、はい。俺……、私は、カルロ・テイネスと申します」
「カルロ・テイネス……。テイネス伯爵家……」
呟けば「はい」とカルロは頷いた。
「では、カルロ様、一つ仕返しをしてやりませんか?」
「……え?」
私は身を起こし、慌てて退いたカルロと目を合わせた。
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