私を愛するスパダリ王子はヤンデレでストーカーでど変態だった

うしまる

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仲直りの為に2

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 き、緊張する……。
 ていうか構内案内図の通りに来たはずなのに、どこだここ……。
 放課後、私は案内図と景色を交互に見比べては頭を捻っていた。心臓ももれなく異様なスピードで脈打って、そのせいで頭も十分に働いていないので、私はどこ状態に陥っているのだ。
「ど、どうしよう……」
 せっかく貴重なお時間を割いてくださっているのに、迷子で遅刻など笑い話にもならない。ましてや、ノートだってまだ全てに目を通せてはいないのに。
「とにかく誰か人を探さないと!」
 王子の迷惑になることは少しでも避けたかった。
「とりあえず……。この建物が『第五魔術訓練棟』だから――」
 案内図へと目を落とした。それから現実の方角と案内図の方角が一致するように、案内図を回転させた。
「この道をまっすぐ行って――」
「第三実験棟を右だね」
 少し息の上がった声と共に肩に手を添えられる。振り向けば爽やかな笑顔と視線が交わった。ユーリ王子は少し髪が乱れていて、不覚にも色気ある姿に胸が跳ねてしまった。
「良かった、レアさんだ」
「あれ……?」
 待ち合わせは植物園のはずだった。
 もしかして私、迷子じゃなかった? そう思った瞬間に、思いつきはばっさり切り捨てられた。
「暫く待って来なかったから、付近を捜しててたんだ。そしたら、似た後ろ姿を遠くに見つけて、追いかけたら当たりだった」
「えっ……」
 既に多大な迷惑を掛けていたことに思考が固まった。そんな私を王子は明るく笑った。
「この学園、複雑な地形をしてるせいで迷い込むと厄介なんだよ。すぐに見つけられて本当に良かった」
「えっと……あの……、結構探されましたか?」顔を強張らせながら、恐る恐る尋ねてみる。王子はサラッと答えた。
「全然、少しクルッと回った程度だよ」
 クルッとって、まさかこの広大な敷地全部じゃないよね……? 恐ろしい予想に頭が一瞬で冷えていった。
「それに、よく考えれば僕が迎えに行くべきだったよね。まだ慣れてないのに、呼び出しなんかしちゃってごめんね」
 王子は申し訳なさそうに眉を下げていた。
「そ、そんな!」私は激しくかぶりを振った。「私が方向音痴なだけですので。ご心配お掛けして申し訳ありませんでした」
 言えば、王子は困ったように笑った。
「じゃあ、お互い様ということにしようか」
「そんな……」俯く私の背中に王子は手を添えた。
「それより早く行こう。あっ、急かしてるんじゃなくてね。実はこの日をかなり楽しみにしてたんだよね」
 照れたように笑う王子の横顔に、しっかり感想を伝えてお役に立たないと! と改めて気合いを入れ直した。

 薔薇の香りが口いっぱいに広がる紅茶を口にして、私は音が立たないよう気をつけてカップを置いた。けれど緊張でカタカタと音が鳴ってしまった。
「人払いをしてあるから気楽にね」
「ひ、ひとばらい……」
「集中できないかと思ってね」
 逆に二人きりの方が緊張しますとは、とても言える雰囲気ではなかった。
「あ、ありがとうございます……」
 取り敢えず礼を言えば、王子は『いえいえ』とでもいうような笑みを投げかけた。
「それで、どうだったかな例のやつ」
 王子はあまりにも美しい仕草でカップに口を付けた。背景の薔薇も相まって、あまりにも絵になる光景だ。私は思わず息を呑む。けれどすぐに意識を戻した。
「は、はい! 凄く分かりやすくて、捗りました。特に図を描いてくださったのが良かったです。操作性のところとかいまいちピンと来なかったのですが、お借りしたノートのお陰でしっかりした理解をすることができました」
 事実を興奮気味に伝えれば、王子は嬉しそうに頬を緩ませた。
「それは良かった。そこまで言ってもらえたら作った甲斐があるよ」
「はい! きっとこれがあれば躓く人なんかいないんじゃないかと思います」
「いやぁ……」王子は恥ずかしそうに頬を掻いていた。
「ちなみに、分かりづらかった所はなかった? 読みづらい所とか……」
「分かりづらい所……」少し記憶を辿ってみた。
 
『ねぇ、魔力操作にはの魔力の柔軟性を意識することが重要ってどういう意味?』
 隣り合うレオンに尋ねれば、わざとらしく呆れるレオンが私の右手を取った。
『良いか、この手をキツく閉じて固めてみろ』
『こう?』
 私は指に力を入れ、隙間なく真っ直ぐ立てた。手は反り返るほどピンと張っていた。
『そう。それで――』レオンは手を開いた形で、私の手の平にぶつけてみせる。軽く突かれてこそばゆさが身を包んだ。
『わっ……、なに?』
 顔を顰めると、レオンは二マリと笑んだ。
『ぶつかって混じり合わないだろ?』
 レオンの言わんとすることがよく分からず、私は首を傾げた。
『じゃあ次は、力を抜いてダランと抜いておけ』
『えぇ?』言われた通りに手から力を抜いてみる。張っていた手は枯れ木のようにしなだれていた。
『良い感じだな』満足げに頷くと、レオンは再びを手を開いて私の手に当てる。
 けれど、レオンの手は先ほどのように跳ね返されて終わりではなかった。
『ちょ……、ちょっと……』
『あー、力入れんな、分かりづらくなるから』
 面倒臭そうに言いながら、レオンは私の手に自分の手を絡めていった。
『レアも握れ』
『えっ……、はぁ⁉︎』
 熱い顔をそのままレオンに向けた。けれどレオンは淡々と説明を始める。
『ちょうどお前の手が魔力分子で、俺の手がマナ分子だ。柔軟性がある方が、結合しやすいだろ』
『はぁ……⁉︎』
 結局、あの時は勉強どころじゃないのもあっていまいち理解ができなかった。
 けれど、その後王子のノートを読んで、そういうことだったのかと理解できたのであった。
 とはいえ、いくらなんでもあんなやり方しなくても……。
 私は無意識に両手を組み合わせてしまっていた。
 大体レオンはデリカシーがないんだから。いっつも軽々スキンシップとかしてきて――
 私は悶々と良い思い出なのかそうでないのかよく分からない記憶を掘り起こしていた。
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