恋する騎士団

悠木全(#zen)

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41.好きのしるし(1)

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「卒業まであと二週間ね」

 閑散とした教室で、ふいにルアが呟いた。

 二月の下旬にもなると授業はもうなかったのだが、私——彩弓あみは友人たちに会うために登校していた。

「そうなのか? あと二週間しかないのか? 困ったな……やり残したことがたくさんあるというのに」

 私が動揺していると、ルアが不思議そうな顔をする。

「やり残したことって何?」

「伊利亜ジュニアに着せたい服がたくさんあるんだ」

「それはぬいぐるみの? それともリアル伊利亜のほう?」

 ルアに問われて、私は清々しい笑顔で親指を立てる。

「もちろん、伊利亜にだ」

「今までもさんざん着せたわよね? ドレスとかドレスとかドレスとか」

「ああ、伊利亜のことを考えると、次から次へと衣装案が浮かぶんだ」

「私は面白いからいいけど、伊利亜くんに愛想をつかされないようにね」

「伊利亜はいつも私の意志を尊重してくれるんだ。あいつは前世からいいやつだから」

「良い人でも我慢ばかりしてたら、そのうち爆発するかも」

「爆発か……するなら、今のうちにしてほしいな」

「今のうち?」

「ああ。進路がバラバラになってからでは、爆発しても止められないからな」

「彩弓のいないところでは爆発するようなことはないと思うけど。それより、学校が別だと心配じゃない?」

「何がだ?」

「ほら、伊利亜くんってモテるから」

「モテると何か困るのか? 人に好かれるということは良いことだ。今の伊利亜なら、きっと友達百人だってできると思うぞ」

「友達百人って、小学生じゃないんだから……まあ、この調子だと、ヤキモチを焼くのは彩弓じゃなくて、伊利亜くんの方かもね」

「伊利亜が? なぜだ?」

「彩弓もたいがいモテるじゃない? 中身はアレだけど」

 中身はアレ、と言われて、どのアレかを考えていると——ガラガラッと教室のドアが開く音が聞こえた。

 やってきたのは、尚人一人だった。

「彩弓、ちょっと話があるんだけど」

「おお、なんだ?」

「ここでは言いにくいから、場所移動してもいい?」

人気ひとけのない場所がいいなら、三組の空き教室があるわよ」

「ありがとう、ルア」



 ***



「——で、話とはなんだ?」

 三組の空き教室に移動した私は、さっそく尚人に訊ねた。

 空き教室の中は、全ての机が教室の端に寄せられていて、中心がガランとしていた。

 窓から入ってくる空気をやや寒いと感じながら窓の外を見ていると、そのうち尚人は、かしこまった様子で咳払いをする。

「卒業してからだと遅いから、今のうちにもう一度俺の気持ちを受け取って欲しいんだ」

「尚人の気持ち? なんの話だ?」

「俺が彩弓のことを好きってことだよ」

「それは知っている」

「知ってるなら、最後にデートしてよ」

「だから、何度も言っているが、私には伊利亜ジュニア……じゃなくて、伊利亜という存在がいるからな。無責任なことはできないんだ」

「ちょっと遊びに行くだけだし、何も無責任なことなんてないよ」

「いや、つきあっている人間がいるのに、他の異性と遊ぶのはよくないと姉さんが言っていた」

 私がハッキリ言ってやると、尚人は黙り込む。

 これで納得させられたかと思えば——。

「わかった。彩弓は自分の気持ちに自信がないんだ?」

「なんの話だ?」

「絶対に目移りしない自信があるなら、俺と遊んでも平気でしょ? でも、彩弓は自分の気持ちに自信がないから——他の友達と二人で遊ぶことができないんだね」

「何をいうか! 私の伊利亜ジュニアへの愛は底なし沼よりも深いぞ」

「底なし沼って……底がなのに深いも何もないよね」

「とにかく、私の愛は確固たるものであって、決して自信がないなどとは……」

「口ではなんとでも言えるもんね」

「く、口だけではない! 私の愛は無限チャーハンだ」

「どうかな……だってなんだかんだ言い訳して逃げてるし」

「私は逃げてなどない」

「彩弓って意外としょぼかったんだね」

「なん……だ……と?」

「これだからしょぼい団長は」

「私は決して、しょぼい団長などではない!」

「そうかな~、俺とサシで勝負する余裕もないし、実は負けるのが怖いんじゃない?」

「サシで勝負だと?」

「デートってそういうものでしょ? でも彩弓はしょぼいから仕方ないか」

「……やってやろうではないか」

「え?」

「デートくらい、してやろうではないかっ!」

「ほんとに?」

「ああ、サシでの勝負、受けてたってやる」

「さすが団長だね」

 そう言って笑った尚人の顔は、どこか悪い顔に見えたが——もう後戻りはできなかった。



 ***



 尚人とサシで勝負する約束をした私は、待ち合わせの駅に着くなり、手を上げる。

「よう、尚人」

「彩弓、今日も制服なんだね」

「尚人は緑のニットが似合うな——それで、今日はどこに行くんだ?」

「遊園地以外ならどこでも」

「なぜ遊園地以外なんだ?」

「マジカルトルネードを五十回乗るとかは無理だから」

「なんだ、人のことをさんざんしょぼいと言っておいて、尚人も大したことないな」

「俺はそんな挑発には乗らないからね。じゃ、とりあえずショッピングモールにでも行く? ぬいぐるみ展やってるらしいし」

「なに? ぬいぐるみ展……だと?」

「仕事の勉強になると思って」

「さすが尚人だな……まずは一敗か」

 コンテストにぬいぐるみを出展して以来、少しずつぬいぐるみのオーダーが来るようになった私は、服飾系の専門学校に通いながら、ぬいぐるみ作家をする予定だった。

 これでも私は少しだけ名の知れたぬいぐるみ作家として、SNSとやらを騒がせている——らしい。私はネットには詳しくないので、姉の情報だった。

「まあ、勝ち負けはあまり気にしなくていいから、今日はデートを楽しもうよ」

「だが、サシで勝負と言ったのはお前だぞ」

「じゃあ、より楽しんだ方が勝ちで」

「だったら、私の方が勝っているな」

 私が全開の笑顔を向けると、尚人は繁華街を歩く足を、少しだけ止めた。

「そういうところが、反則なんだよ」

 それから私たちは、ショッピングモールに移動すると、ぬいぐるみ展を探して歩き回った。
 
「ぬいぐるみ展はどこでやっているんだ?」

「彩弓、そんなに目を血走らせなくても、ぬいぐるみ展は逃げないよ」

「だが、一刻も早く見たいんだ」

「ほら、あそこにあるよ」

 尚人が通路のまっすぐ先を指でさすと、私は目の奥に炎を燃やしながら駆け出す。

「よし! 待っていろぬいぐるみたち!」

「彩弓待って——」

 思わず尚人を置いてけぼりにして、ぬいぐるみ展まで走った私の目に飛び込んできたのは——伊利亜ジュニアをデザインした作家のぬいぐるみたちだった。

「ユニコーンだ! こっちはパンダばかりだ。おお、アルパカもいる」

「彩弓、落ち着いて」

「これが落ち着ける状況か! 展示してあるぬいぐるみは、販売もやっているんだ
な……よし、伊利亜ジュニアを買って帰ろう」 

「こんなにたくさん種類があるのに、また伊利亜ジュニアにするの?」

「いくつあっても邪魔にならないからな」

「彩弓のお姉さんが、邪魔だって言ってたよ」

 私は尚人の言葉を無視して、騎士の格好をした猫のぬいぐるみを持ち上げる。

「伊利亜ジュニア、お前もうちに来るか?」

「ねぇ、彩弓。俺に似たぬいぐるみもどう?」

「尚人のぬいぐるみは私が作ったじゃないか」

「でも伊利亜ジュニアはたくさんあるのに、俺のぬいぐるみは一つしかないんだよね?」

「そうだな。あのトラは私の傑作だからな。そう何個もやすやすとは作れないんだ」

「だったら、買って帰ろうよ」

「尚人はそんなにぬいぐるみが欲しいのか? だったら、伊利亜ジュニアを買ってやろうか?」

「違うよ。前にも言ったよね? 俺に似たぬいぐるみを彩弓のそばに置いておきたいの。俺の代わりに」

「ぬいぐるみは尚人の代わりにはならないぞ」

「だったら、伊利亜ジュニアも伊利亜の代わりにはならないよ」

「ジュニアは、伊利亜の代わりなんかじゃない。その考え方はジュニアに失礼だぞ。私はジュニアのことを本気で愛しているんだ」

「だったら、伊利亜とジュニア、どちらの方が好きなの?」

「もちろん、ジュニアに決まっている」

「なら、ジュニアがいるなら、伊利亜はいなくてもいいよね?」

「何をいうんだ。ジュニアとは結婚しているが、伊利亜とは恋人なんだ」

「それって二股ってこと?」

「好きの次元が違うんだ。ジュニアとの愛は崇高で深いものだが、伊利亜のことは……」

「伊利亜のことは?」

「す、好きってことだ」

「ふうん」

「納得がいかないという顔をしているな」

「だって、伊利亜のことはその程度しか好きじゃないのに、俺は負けてるんでしょ?」

「尚人のことも好きだぞ」

「どのくらい?」

「難しいな……気持ちをはかることはできないから、私にもよくわからない」

「じゃあ、まだ俺にもチャンスがあるってこと?」

「それは……」

「いいよ、彩弓。俺はいつまでだって待ってるから」

「だが、私もそう簡単に心を曲げる人間ではないぞ。待つだけ時間の無駄だ」

「でもこうやってデートしてくれてるし」

「サシでの勝負はしても良いが、それと気持ちとは関係ないぞ」

「彩弓はハッキリ言うね。けど、伊利亜はどう思うかな?」

「?」



 ***



「おはよう、彩弓」

 早朝の学校。

 授業もないので、音楽室に直行した私に、健が声をかけてきた。
 
「ああ、おはよう健」

「ねぇ、昨日は尚人とデートしたって本当? 尚人から聞いたけど」

「デートじゃない、サシで勝負しただけだ」

「サシで勝負ねぇ。尚人はそういう攻め方したんだ? で、どっちが勝ったの?」

「ああ、引き分けだ。どちらも存分に楽しむことができたからな」

「よくわからないけど、そのことは伊利亜に言わない方がいいよ」

「どうしてだ?」

「だって、そんな誘いで簡単にデートすることがバレたら、下手したら監禁されるかもしれないよ?」

「あいつはそんなことはしないぞ」

「いや、ああ見えて、根に持つタイプだと思うから——だから絶対に伊利亜には言っちゃダメだよ?」

 言っているそばから、音楽室の扉がガラガラと開き、伊利亜が入ってくる。

「なんの話だ?」

「え? 伊利亜?」

「今、俺の名前を出しただろ? 廊下にまで声が聞こえてたぞ」

「さあ……なんのことかな? じゃあ、僕は日直で急ぐから、またね彩弓」

「日直はもうないはずじゃ……?」

 軽やかに逃げる健に、私が首を傾げる中、伊利亜が腕を組んで詰め寄ってくる。

「おい、あいつとなんの話をしてたんだ?」

「伊利亜は根に持つタイプなのか?」

「なんの話だ?」

「私が昨日、尚人とサシで勝負したことを、伊利亜に言ってはいけないと言われたんだ」

「サシで勝負? 頭突きか?」

「違う。ぬいぐるみ展に行ったんだ」

「ぬいぐるみ展?」

「なんだ? 怖い顔をして……」

「その話、詳しく聞かせてもらおうか」

「え? あ、ああ…」

 それから私は、尚人と勝負することになった経緯を伊利亜に告げた。伊利亜は始終黙って聞いていたが——そのうち呆れたように息を吐いた。

「お前は本当に、鎖で繋いでおかないとダメなのか?」

「なんでダメなんだ? サシで勝負もできないなんて、しょぼい団長にはなりたくないんだ」

「今は団長じゃないだろ? そんな話で釣られるなよ。ホイホイついていきやがって」

「なんだと? それではまるで、私が悪いみたいじゃないか」

「どう考えても、お前が悪いだろ」

「サシの勝負の何が悪いんだ?」

「ぬいぐるみ展に行くことが勝負なのか?」

「お互いに楽しむことが勝負だ」

「それを勝負とは言わないだろ」

「だったら、なんなんだ」

「お前は言いくるめられてることにも気づかないのか?」

「言いくるめられたわけじゃない」

「だったら勝手にしろ」

「え?」

「そんなに尚人兄貴がいいなら、好きにすればいい。俺はもう知らん」

「伊利亜?」

 言い捨てて去った伊利亜の背中が、追いかけてくるなと言っているような気がして——私はその場で伊利亜を呆然と見送ったのだった。

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