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社畜
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栗川正俊は食品加工会社に勤めて二十七年になる。作業員から始まり、気づけば営業に異動させられていた。家には妻と子供もいる、それなりに幸せな日々を送っていると実感していた。
「大変申し訳ございませんでした!」
今日は部下が発注ミスをして、先方で謝罪を繰り返した。
取引先は主に、給食センターなどの食品を扱う企業だが、何かあれば仕出しや販売に遅れが生じる。だから、決してミスができない状況だった。にも拘らず、入社一年目の新人は、よくミスをする。そして期日を調整し、謝罪の菓子折りを持っていくのは、正俊の仕事だった。
「また、やってくれましたね。丸友加工さん。御社はどうしてこうも失敗が多いのですか? 新人の教育もまともにできない会社なんですか?」
「大変申し訳ございませんでした。今後は二重三重にチェックを心がけますので、何卒よろしくお願いいたします」
「それを聞くのも、何度目だと思ってるんですか? まあ、ミスを繰り返しても平気なあなたたちに言っても、のれんに腕押しでしょうが。あまりにミスが多いようなら、こちらも考えさせていただきます」
いつもそうやって脅しながらも、決して切らないでくれている取引先に、深々と頭をさげる。それから相手が引き下がったのを見てホッと息を吐く。
給食センターの事務所を出た正俊は、帰り道にコーヒーを買って新人に渡した。叱られた後のアフターケアも上司の仕事である。最近の新人は怒られるとすぐに参ってしまい、心の病になるケースも少なくない。だから正俊は、励ましの言葉を欠かさなかった。
そして今日も、会社の休憩室に誘うなり、新人の肩を叩いた。
「大丈夫だからね。入社一年目で、君はよくやってくれてると思うよ」
「……はあ」
「僕も最初はミスばかりだったよ。だけど、いつも上司がついていてくれたから、ここまで来れたんだ。だから僕も、君の支えになれたらと思うよ」
「……はあ」
スーツを着ているというより、着られている雰囲気の、学生の域を出ない新人は、気のない返事をする。何か言いたそうな顔をしているが、なかなか言わないのが最近の若者らしい。
だが、新人の無感情な目が気になった正俊は、遠回しに聞いてみることにした。
「君も辛かったよね。何か悩みがあれば、なんでも言ってくれるといいよ。僕は聞くくらいしかできないけど」
「……まるで社畜っすね」
「え?」
「栗川さん、会社のためにそんなに頑張って何が楽しいんですか?」
ど直球の言葉に、正俊は言葉を詰まらせる。新人のために頑張っているはずが、会社のためと言われて、驚きを隠せなかった。正俊自身は仕事を楽しいと思っているが、社畜という言葉が、何か引っかかった。
それでも、新人も悪い人間ではないので、失言を謝った。つい、思ったことを言ってしまうのが癖なのだと、反省していたが——『社畜』という言葉は、正俊の認識を一変させた。
「——僕は、社畜だったのか」
夜の公園で一人、正俊はスーツ姿でブランコを漕ぐ。
小学校からの習慣だった。一日の反省会はいつも、公園のブランコだ。誰もいない公園は、小うるさい妻がいる自宅よりも落ち着いた。
また、これまでの頑張りが、『社畜』の一言で片付けられたことが、いまだに心に残っていた。
頑張るのは楽しい。それは仕事が好きだからだと思っていたが、考えてみれば、会社のために尽くしても、会社は自分に尽くしてくれるわけではないのだ。だから、『社畜』という言葉は、案外間違いではないのかもしれない。
そう思うと、腑に落ちたと同時に、何かが壊れていく感覚があった。
それからというもの、正俊はより自分が『社畜』であることを意識するようになった。営業で取引先をまわりながら、頭を下げる行為は、全て会社のためだと思うと、無感情になった。
今まで積み上げてきたものは、全て会社のためであって、自分のためではない。だったら、社畜は社畜らしく、会社のために頑張ってやろうではないか——などと開き直っているうちに、以前とは違う自分を見つけるようになった。
***
丸友加工の新人、友町陸は、学生時代、スポーツ特待生をしていたが、ちょっとした事故で怪我をしたこともあり。好きだったバスケを引退せざるをえなくなった。それからは、何をするにも気力がなくなって、ぼんやりとした頭で生活をしていた。流されるまま就職活動をしていたら、いつの間にか、なんの興味もない食品加工会社に就職が決まっていた。
その後も、無味無臭な日常を送った陸は、仕事でミスばかりしていた。新人だからという理由では誤魔化せないほど、ミスが多かった。いつかクビになっても、どうでもいい。そんな心境で適当に仕事をしていた。だが、上司は諦めなかった。陸のことばかり考えて、それでも楽しそうに仕事をしていた。
だがそんな上司の笑顔を見ると苦しかった。どうしてそんなに楽しそうなのか、上司はいつも笑っていて、それがいつも陸の癪に触った。反抗期の子供のように、冷たい態度をとっても、上司の栗川はへこたれることなく、幸せな顔をしていた。
だから言ってやった。あんたは『社畜』なのだと。その言葉で、溜飲がおりた気がしたが——しかし、それからだった。栗川の様子がおかしくなったのは。
いつも楽しそうだった栗川の笑顔を見なくなった。
取引先に謝罪する時も、陸にコーヒーを手渡す時も、事務員たちと呑みに行く日も、栗川は笑わなかった。まるで人形のようだった。誰かが操っている人形が、人間のふりをして動いているようだった。
それは、バスケを失った直後の、自分を見ているようだった。自分が、失態を犯したことに気づいたのは、それからすぐあとのことだった。
友人宅に向かう途中で、公園のブランコに乗る栗川を見かけた。ぼんやりとブランコを漕ぐ姿に、恐怖を覚えた陸だが。それ以上に驚いたのは、栗川が『僕は社畜』と呟きを繰り返していることだった。
その言葉を聞いた時、陸はこれ以上もなく後悔した。
あれだけ幸せそうだった栗川を壊したのは、自分なのだと。そして気づかされた、栗川のことばかり気にしていた陸は、きっと栗川のようになりたかったのだ。
だからといって、栗川の幸せを奪う権利など、陸にはない。ブランコに乗った栗川に、痛みを覚えた陸は、ようやく自分や周りと向き合う決意をした。
だがそんな矢先、事件は起きた。
栗川がミスをしたのだ。それは陸が入社して、初めての出来事だった。しかも取引先は、栗川を許さず。このまま取引を切るとまで言ってきた。
陸は衝撃を受けた。あれほど頑張っていた栗川が、一度ミスをしただけで大騒ぎなのだから。また、取引先の社長は言った。栗川が以前とは違い、謝罪に誠意がこもってないことを。それは、陸も気づいていた。人形になった栗川には、もう誠意などなかったことに。と同時に、謝罪には誠意が必要だということも、ようやく理解した。
人が人を許す。それは簡単なことではないのだ。
だから陸は、自分のせいだと嘘をついて謝罪した。これ以上もなく、心を込めて。栗川が教えてくれた謝罪を思い出しながら、頭を下げた陸を見て、取引先の社長はようやく納得してくれた。
そしてその後は、陸がミスをすることもなくなった。
————それから一つの季節が過ぎたある日。
「……友町くんは、仕事が好きですか?」
突然、会社の休憩室で上司が尋ねた。
陸は笑顔で即答した。
「はい、好きです!」
それは、心からの言葉だった。最初は嘘の笑顔を重ねていたが、今では本当の笑顔になっている。自分に足りなかったのはきっと、どんなことでも楽しむ余裕なのだろう。終わったバスケばかりに気をとられていて、気づかなかった。世の中には、意外と楽しいこともあるのだと。
バスケが子供の頃から積み上げてきた塔のようなものだとすれば、今の仕事はきっと、新たな経験で積み上げた違う形の塔なのだ。幸せを実感した以上、もう生活を投げ出したりはしなかった。
そして——。
「そうか。君も『社畜』になったんだね」
栗川の笑い声はどこか自嘲のようなものを含んでいたが、心からの笑い声だと久しぶりに感じた。
だが栗川はすぐにハッとして、無表情を装う。
その怪しさに、陸は目を細めた。
「もしかして、栗川さん……全部、わざとですか?」
「何の話かなぁ」
「食えない上司ですね」
ようやく栗川が変わっていないことに気づいた陸は、驚きを通り越して、深いため息を吐く。
「褒めてダメなら、崖から突き落とさないとね……あはは」
今度こそ、心底楽しそうな声を聞いて、陸はしてやられたと思った。
「大変申し訳ございませんでした!」
今日は部下が発注ミスをして、先方で謝罪を繰り返した。
取引先は主に、給食センターなどの食品を扱う企業だが、何かあれば仕出しや販売に遅れが生じる。だから、決してミスができない状況だった。にも拘らず、入社一年目の新人は、よくミスをする。そして期日を調整し、謝罪の菓子折りを持っていくのは、正俊の仕事だった。
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いつもそうやって脅しながらも、決して切らないでくれている取引先に、深々と頭をさげる。それから相手が引き下がったのを見てホッと息を吐く。
給食センターの事務所を出た正俊は、帰り道にコーヒーを買って新人に渡した。叱られた後のアフターケアも上司の仕事である。最近の新人は怒られるとすぐに参ってしまい、心の病になるケースも少なくない。だから正俊は、励ましの言葉を欠かさなかった。
そして今日も、会社の休憩室に誘うなり、新人の肩を叩いた。
「大丈夫だからね。入社一年目で、君はよくやってくれてると思うよ」
「……はあ」
「僕も最初はミスばかりだったよ。だけど、いつも上司がついていてくれたから、ここまで来れたんだ。だから僕も、君の支えになれたらと思うよ」
「……はあ」
スーツを着ているというより、着られている雰囲気の、学生の域を出ない新人は、気のない返事をする。何か言いたそうな顔をしているが、なかなか言わないのが最近の若者らしい。
だが、新人の無感情な目が気になった正俊は、遠回しに聞いてみることにした。
「君も辛かったよね。何か悩みがあれば、なんでも言ってくれるといいよ。僕は聞くくらいしかできないけど」
「……まるで社畜っすね」
「え?」
「栗川さん、会社のためにそんなに頑張って何が楽しいんですか?」
ど直球の言葉に、正俊は言葉を詰まらせる。新人のために頑張っているはずが、会社のためと言われて、驚きを隠せなかった。正俊自身は仕事を楽しいと思っているが、社畜という言葉が、何か引っかかった。
それでも、新人も悪い人間ではないので、失言を謝った。つい、思ったことを言ってしまうのが癖なのだと、反省していたが——『社畜』という言葉は、正俊の認識を一変させた。
「——僕は、社畜だったのか」
夜の公園で一人、正俊はスーツ姿でブランコを漕ぐ。
小学校からの習慣だった。一日の反省会はいつも、公園のブランコだ。誰もいない公園は、小うるさい妻がいる自宅よりも落ち着いた。
また、これまでの頑張りが、『社畜』の一言で片付けられたことが、いまだに心に残っていた。
頑張るのは楽しい。それは仕事が好きだからだと思っていたが、考えてみれば、会社のために尽くしても、会社は自分に尽くしてくれるわけではないのだ。だから、『社畜』という言葉は、案外間違いではないのかもしれない。
そう思うと、腑に落ちたと同時に、何かが壊れていく感覚があった。
それからというもの、正俊はより自分が『社畜』であることを意識するようになった。営業で取引先をまわりながら、頭を下げる行為は、全て会社のためだと思うと、無感情になった。
今まで積み上げてきたものは、全て会社のためであって、自分のためではない。だったら、社畜は社畜らしく、会社のために頑張ってやろうではないか——などと開き直っているうちに、以前とは違う自分を見つけるようになった。
***
丸友加工の新人、友町陸は、学生時代、スポーツ特待生をしていたが、ちょっとした事故で怪我をしたこともあり。好きだったバスケを引退せざるをえなくなった。それからは、何をするにも気力がなくなって、ぼんやりとした頭で生活をしていた。流されるまま就職活動をしていたら、いつの間にか、なんの興味もない食品加工会社に就職が決まっていた。
その後も、無味無臭な日常を送った陸は、仕事でミスばかりしていた。新人だからという理由では誤魔化せないほど、ミスが多かった。いつかクビになっても、どうでもいい。そんな心境で適当に仕事をしていた。だが、上司は諦めなかった。陸のことばかり考えて、それでも楽しそうに仕事をしていた。
だがそんな上司の笑顔を見ると苦しかった。どうしてそんなに楽しそうなのか、上司はいつも笑っていて、それがいつも陸の癪に触った。反抗期の子供のように、冷たい態度をとっても、上司の栗川はへこたれることなく、幸せな顔をしていた。
だから言ってやった。あんたは『社畜』なのだと。その言葉で、溜飲がおりた気がしたが——しかし、それからだった。栗川の様子がおかしくなったのは。
いつも楽しそうだった栗川の笑顔を見なくなった。
取引先に謝罪する時も、陸にコーヒーを手渡す時も、事務員たちと呑みに行く日も、栗川は笑わなかった。まるで人形のようだった。誰かが操っている人形が、人間のふりをして動いているようだった。
それは、バスケを失った直後の、自分を見ているようだった。自分が、失態を犯したことに気づいたのは、それからすぐあとのことだった。
友人宅に向かう途中で、公園のブランコに乗る栗川を見かけた。ぼんやりとブランコを漕ぐ姿に、恐怖を覚えた陸だが。それ以上に驚いたのは、栗川が『僕は社畜』と呟きを繰り返していることだった。
その言葉を聞いた時、陸はこれ以上もなく後悔した。
あれだけ幸せそうだった栗川を壊したのは、自分なのだと。そして気づかされた、栗川のことばかり気にしていた陸は、きっと栗川のようになりたかったのだ。
だからといって、栗川の幸せを奪う権利など、陸にはない。ブランコに乗った栗川に、痛みを覚えた陸は、ようやく自分や周りと向き合う決意をした。
だがそんな矢先、事件は起きた。
栗川がミスをしたのだ。それは陸が入社して、初めての出来事だった。しかも取引先は、栗川を許さず。このまま取引を切るとまで言ってきた。
陸は衝撃を受けた。あれほど頑張っていた栗川が、一度ミスをしただけで大騒ぎなのだから。また、取引先の社長は言った。栗川が以前とは違い、謝罪に誠意がこもってないことを。それは、陸も気づいていた。人形になった栗川には、もう誠意などなかったことに。と同時に、謝罪には誠意が必要だということも、ようやく理解した。
人が人を許す。それは簡単なことではないのだ。
だから陸は、自分のせいだと嘘をついて謝罪した。これ以上もなく、心を込めて。栗川が教えてくれた謝罪を思い出しながら、頭を下げた陸を見て、取引先の社長はようやく納得してくれた。
そしてその後は、陸がミスをすることもなくなった。
————それから一つの季節が過ぎたある日。
「……友町くんは、仕事が好きですか?」
突然、会社の休憩室で上司が尋ねた。
陸は笑顔で即答した。
「はい、好きです!」
それは、心からの言葉だった。最初は嘘の笑顔を重ねていたが、今では本当の笑顔になっている。自分に足りなかったのはきっと、どんなことでも楽しむ余裕なのだろう。終わったバスケばかりに気をとられていて、気づかなかった。世の中には、意外と楽しいこともあるのだと。
バスケが子供の頃から積み上げてきた塔のようなものだとすれば、今の仕事はきっと、新たな経験で積み上げた違う形の塔なのだ。幸せを実感した以上、もう生活を投げ出したりはしなかった。
そして——。
「そうか。君も『社畜』になったんだね」
栗川の笑い声はどこか自嘲のようなものを含んでいたが、心からの笑い声だと久しぶりに感じた。
だが栗川はすぐにハッとして、無表情を装う。
その怪しさに、陸は目を細めた。
「もしかして、栗川さん……全部、わざとですか?」
「何の話かなぁ」
「食えない上司ですね」
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