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心の断捨離
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「アミってさ、なんかB型って感じするよね」
そう言ったのは、グループの中心的人物である、リサちゃんだった。リサちゃんはオシャレで細くって、モデルのような見た目をしていた。そして家もお嬢様らしくて、何もかも持っている子だった。
そんなリサちゃんに声をかけられて、ちょっと嬉しくなった私は、はにかみながら返事をする。
「そうかな? 私、よくO型っぽいとか言われるけど」
「確かに、O型っぽくも見えるよね。ていうか、アミって無神経だよね」
リサちゃんが言うと、周りの子たちもギャハハって笑う。今は高校のお昼休みの最中だった。テスト期間も終わったし、時間を持て余している女子は、みんな集まっていた。十人ほどの大所帯ともなると、もう誰が何を言っているのかわからなくなると思うけど。うちの場合、喋るのはほとんどリサちゃんで、周りは笑ってばかりだった。
「わ、私って無神経かな?」
「そういうとこよ! 自分は無害って顔してなんでも言っちゃうとこ。直した方がいいよ。天然ボケで誤魔化せる相手とは限らないし」
「私は天然ボケだなんて思ってないけど」
「本人はたいていそう言うのよね」
リサちゃんこそ、思ったことをズバズバ言う子だけど、私はどうしても言い返すことができなかった。人気者のリサちゃんに嫌われたら、私はグループから追い出されて一人になってしまうから。そういうのが一番辛いと思った。
けど、リサちゃんはそれからずっと私をいじり続けて——チャイムが鳴るまで笑い続けた。
そして次の日も、その次の日も、リサちゃんは私にひどいことを言った。本人は意識していないのかもしれないけど、私にとっては傷つくような言葉だった。そして私が苦笑するのを見て、「これだから天然ボケは」って、繰り返した。
正直、私はどうしてそのグループにいるのか、よくわからなくなっていた。毎日笑われるために学校に行くなんて、楽しいわけもないし。
私は次第に心をすり減らすようになっていった。
そんなある夜。スマホを眺めていたら、「断捨離」特集の記事を見つけた。そういえば私も部屋を片付けていなかったので、綺麗にしたいと思ったのだけど……。
「どうせなら、友達の断捨離もできたらいいのに」
リサちゃんも、周りの女の子たちも、本当は友達と呼べるほど良い付き合いではないから——みんな、いなくなればいいと思った。
一人は辛いと言うけど、本当にそうなのかな? 私が全部捨てられたらどんなに良いだろう。そんなことを思いながらベッドで横になっていた私は、いつの間にか朝を迎えていた。
「やばい、遅刻する!」
朝起きてバタバタと身支度をした私は、登校ギリギリの時間に家を飛び出した。そして教室に入ると——なぜか知らない女の子がたくさん増えていた。
中でもモデルのような外見をした女の子が、私に向かって馴れ馴れしく挨拶をする。
「おはよう、ダックスフント」
「は?」
「何よ、ダックスフントみたいな胴体してるでしょ?」
モデルのような子が言うと、周りの女の子たちはドッと笑った。私は狼狽えながらも言い返した。
「誰だか知らないけど、そういうこと言わない方がいいよ?」
「は? 今、なんつった?」
「悪いけど、私はテストの準備があるから、話しかけないで」
ハッキリ言うと、モデルみたいな子はポカンとした顔をして、そのうち私に食ってかかってきた。
「ちょっと! あんた、何様のつもり⁉︎ そんなこと言って、のけ者にされても文句言えないわよ」
「ごめんなさい。私は最初から友達なんていないから、のけ者になることもないよ。あなたもあまり変なことばかり言ってると、周りに嫌われるわよ」
私が言うと、周囲の子たちがクスクスと笑った。何がおかしいのかはわからないけど、どうやら周りの子たちも、同じことを思っているらしい。それから真面目に授業を受けた後は、なぜか私の机に知らない女の子たちが群がってきた。
「アミ、やるじゃん。リサってちょっと生意気だと思ってたんよ」
あの子、リサって言うんだ。そんなことを思いながらも、私はそのリサちゃんのことを見ることはなかった。
そう言ったのは、グループの中心的人物である、リサちゃんだった。リサちゃんはオシャレで細くって、モデルのような見た目をしていた。そして家もお嬢様らしくて、何もかも持っている子だった。
そんなリサちゃんに声をかけられて、ちょっと嬉しくなった私は、はにかみながら返事をする。
「そうかな? 私、よくO型っぽいとか言われるけど」
「確かに、O型っぽくも見えるよね。ていうか、アミって無神経だよね」
リサちゃんが言うと、周りの子たちもギャハハって笑う。今は高校のお昼休みの最中だった。テスト期間も終わったし、時間を持て余している女子は、みんな集まっていた。十人ほどの大所帯ともなると、もう誰が何を言っているのかわからなくなると思うけど。うちの場合、喋るのはほとんどリサちゃんで、周りは笑ってばかりだった。
「わ、私って無神経かな?」
「そういうとこよ! 自分は無害って顔してなんでも言っちゃうとこ。直した方がいいよ。天然ボケで誤魔化せる相手とは限らないし」
「私は天然ボケだなんて思ってないけど」
「本人はたいていそう言うのよね」
リサちゃんこそ、思ったことをズバズバ言う子だけど、私はどうしても言い返すことができなかった。人気者のリサちゃんに嫌われたら、私はグループから追い出されて一人になってしまうから。そういうのが一番辛いと思った。
けど、リサちゃんはそれからずっと私をいじり続けて——チャイムが鳴るまで笑い続けた。
そして次の日も、その次の日も、リサちゃんは私にひどいことを言った。本人は意識していないのかもしれないけど、私にとっては傷つくような言葉だった。そして私が苦笑するのを見て、「これだから天然ボケは」って、繰り返した。
正直、私はどうしてそのグループにいるのか、よくわからなくなっていた。毎日笑われるために学校に行くなんて、楽しいわけもないし。
私は次第に心をすり減らすようになっていった。
そんなある夜。スマホを眺めていたら、「断捨離」特集の記事を見つけた。そういえば私も部屋を片付けていなかったので、綺麗にしたいと思ったのだけど……。
「どうせなら、友達の断捨離もできたらいいのに」
リサちゃんも、周りの女の子たちも、本当は友達と呼べるほど良い付き合いではないから——みんな、いなくなればいいと思った。
一人は辛いと言うけど、本当にそうなのかな? 私が全部捨てられたらどんなに良いだろう。そんなことを思いながらベッドで横になっていた私は、いつの間にか朝を迎えていた。
「やばい、遅刻する!」
朝起きてバタバタと身支度をした私は、登校ギリギリの時間に家を飛び出した。そして教室に入ると——なぜか知らない女の子がたくさん増えていた。
中でもモデルのような外見をした女の子が、私に向かって馴れ馴れしく挨拶をする。
「おはよう、ダックスフント」
「は?」
「何よ、ダックスフントみたいな胴体してるでしょ?」
モデルのような子が言うと、周りの女の子たちはドッと笑った。私は狼狽えながらも言い返した。
「誰だか知らないけど、そういうこと言わない方がいいよ?」
「は? 今、なんつった?」
「悪いけど、私はテストの準備があるから、話しかけないで」
ハッキリ言うと、モデルみたいな子はポカンとした顔をして、そのうち私に食ってかかってきた。
「ちょっと! あんた、何様のつもり⁉︎ そんなこと言って、のけ者にされても文句言えないわよ」
「ごめんなさい。私は最初から友達なんていないから、のけ者になることもないよ。あなたもあまり変なことばかり言ってると、周りに嫌われるわよ」
私が言うと、周囲の子たちがクスクスと笑った。何がおかしいのかはわからないけど、どうやら周りの子たちも、同じことを思っているらしい。それから真面目に授業を受けた後は、なぜか私の机に知らない女の子たちが群がってきた。
「アミ、やるじゃん。リサってちょっと生意気だと思ってたんよ」
あの子、リサって言うんだ。そんなことを思いながらも、私はそのリサちゃんのことを見ることはなかった。
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