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一章 貴方のスキル買い取らせて下さい
17話 スキルとは呪いではないのか?
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とりあえず、人間に戻れてからずっと裸だったので彼に換えの服をあげて着させると、人間みたいと喜んだ。
彼の喜ぶ姿はとても可愛らしかったが、無邪気に喜ぶ姿に少し心を痛める自分がいた。こんな事は子供ならば普通に与えられるべき事だからだ。
それを見た目のせいで迫害されて受ける事ができなかった。そんな彼がこれから幸せをどうすれば良いだろうか?答えは簡単だ。
「ティム、これを君に」
彼に硬貨が入った皮袋を手渡す。
「え?これってお金?どうして?」
「このお金を使ってコンパス城下町行きの牛車に乗りな。多分、この村を通ると思うから」
「う、うん・・・」
「そしたら、城下町にある孤児院に入院しなさい。良いね?」
「で、でも家は?」
「別に残っても構わない。それは君の自由意思だからね。でも、孤児院には食べ物がいっぱいある。友達もきっといっぱいできるぞ。シスターも優しいし、楽しい事がきっといっぱいある」
「ホント!?嘘じゃないよね!お兄ちゃん」
「ああ、保証する」
城から出されて仕事を探したときに一度よったが、シスターも子供達も良い子ばかりだった。今以上の生活を送ることは可能なはずだ。
「分かった!じゃあ行くよ!でも、その前に父さんと母さんにバイバイ行ってからで良い?」
「・・・そうだね」
ペチペチと足音を立てながら小屋の中に入る。小屋の中には2人の白骨遺体が寄り添うように静かに眠っていた。
牛車に乗って城下町に行くように促したものの、それまでの間、ティムを放置しておくわけにも行かなかったので、村人にティムの偽りの事情を伝えてから村を出た。
トカゲ人間の姿しか知らない村人達は、ティムがそのトカゲ人間だとは思うまい。家族ごと迫害したんだ。牛車がくるまでの期間ぐらい世話をしてやれよ。
「ねえ、ハガネさん。スキルってさ、神からの贈り物なんだっけ?」
「ええ、そう言われてますね。けど─────」
「ああ、呪いのようにしか見えないね。もしかしたら神様は今更そのことに気づいて俺にこんなスキルを与えたのかもしれないね」
「だとするなら、テツローは天使ですね!」
「いいや、ただの学生だよ。友達もいなければ親にも頼れない情けない・・・ね」
さて、次はどこに行こう。ていうかお金がない。まあ、必要出費なのでなんの後悔もないのだが。
「とりあえずお金稼ごうか」
「はい!それならあたしにお任せを!!鍛治職人としての腕を使ってあっという間に稼いで見せましょう!」
「うん、鍛治をするためのお金すらないから、まずはそこからだね」
「お役に立てそうにありません!!すみません!!」
「そこは役に立ってよ。お願いだから」
人は俺の行動を偽善と言うんだろう。実際そうだと思う?手の届く範囲だけを助けて良い気になっている俺は偽善者。視野を広く見ない愚か者だ。
でも、それで良いんだ。元々そんなに偉大な人間じゃない。むしろ前なんか1人すら助ける事すらできなかったんだから大きな一歩じゃないか。
そんな事を思いながら、俺は底なし沼に落下した。
彼の喜ぶ姿はとても可愛らしかったが、無邪気に喜ぶ姿に少し心を痛める自分がいた。こんな事は子供ならば普通に与えられるべき事だからだ。
それを見た目のせいで迫害されて受ける事ができなかった。そんな彼がこれから幸せをどうすれば良いだろうか?答えは簡単だ。
「ティム、これを君に」
彼に硬貨が入った皮袋を手渡す。
「え?これってお金?どうして?」
「このお金を使ってコンパス城下町行きの牛車に乗りな。多分、この村を通ると思うから」
「う、うん・・・」
「そしたら、城下町にある孤児院に入院しなさい。良いね?」
「で、でも家は?」
「別に残っても構わない。それは君の自由意思だからね。でも、孤児院には食べ物がいっぱいある。友達もきっといっぱいできるぞ。シスターも優しいし、楽しい事がきっといっぱいある」
「ホント!?嘘じゃないよね!お兄ちゃん」
「ああ、保証する」
城から出されて仕事を探したときに一度よったが、シスターも子供達も良い子ばかりだった。今以上の生活を送ることは可能なはずだ。
「分かった!じゃあ行くよ!でも、その前に父さんと母さんにバイバイ行ってからで良い?」
「・・・そうだね」
ペチペチと足音を立てながら小屋の中に入る。小屋の中には2人の白骨遺体が寄り添うように静かに眠っていた。
牛車に乗って城下町に行くように促したものの、それまでの間、ティムを放置しておくわけにも行かなかったので、村人にティムの偽りの事情を伝えてから村を出た。
トカゲ人間の姿しか知らない村人達は、ティムがそのトカゲ人間だとは思うまい。家族ごと迫害したんだ。牛車がくるまでの期間ぐらい世話をしてやれよ。
「ねえ、ハガネさん。スキルってさ、神からの贈り物なんだっけ?」
「ええ、そう言われてますね。けど─────」
「ああ、呪いのようにしか見えないね。もしかしたら神様は今更そのことに気づいて俺にこんなスキルを与えたのかもしれないね」
「だとするなら、テツローは天使ですね!」
「いいや、ただの学生だよ。友達もいなければ親にも頼れない情けない・・・ね」
さて、次はどこに行こう。ていうかお金がない。まあ、必要出費なのでなんの後悔もないのだが。
「とりあえずお金稼ごうか」
「はい!それならあたしにお任せを!!鍛治職人としての腕を使ってあっという間に稼いで見せましょう!」
「うん、鍛治をするためのお金すらないから、まずはそこからだね」
「お役に立てそうにありません!!すみません!!」
「そこは役に立ってよ。お願いだから」
人は俺の行動を偽善と言うんだろう。実際そうだと思う?手の届く範囲だけを助けて良い気になっている俺は偽善者。視野を広く見ない愚か者だ。
でも、それで良いんだ。元々そんなに偉大な人間じゃない。むしろ前なんか1人すら助ける事すらできなかったんだから大きな一歩じゃないか。
そんな事を思いながら、俺は底なし沼に落下した。
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