いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太

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三章 勇者探し

58話 一時の学びの時間

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 二階の客室から階段を下りて再び一階に降りてくる。まさか、入ってすぐの場所で親子喧嘩が繰り広げられているとは思わなかった。それはあまりにも静かだったからだ。

 ニアのお父さんも相当の手練れの騎士と聞く。そんな2人の親子喧嘩となれば屋敷中が揺れる頂上決戦のような喧嘩を想像するのだが、屋敷に入った時はまるで音が聴こえなかったのだが、図書館に近づこうとした瞬間、声が少し聴こえてきた。

「お前はいつになったら我慢という事を覚えるのだ!!これは女だとか男だとか関係ない!大人だったら必ずしも身に付けなければならない常識だ!スキルにすらなっていない常識だ!分かったか!?」

「何度も何度もおんなじ事を言わないで下さいまし!それでは、あの口だけで実力が伴っていない家柄だけで騎士になった男の言う事を聞けと言うのですの!?訓練村に3年もいたのに最終試験に結局受からなかったゴミ騎士に!!」

「私も若い頃はそういう輩に形だけ従ってきた!良いか良く聞け!そういう輩はな、いずれ自滅する!実力に見合わない力、権力を持った者はいずれ身を亡ぼすのだ!それを何度もお前に言っただろう!!」

「5歳の頃から言われすぎて耳にタコができましたわ!でも、ムカつく者はムカつきますの!!」

「だからそれを我慢しろといっているだろうがぁぁぁ!!」

 男女の怒鳴り声と、鈍い音が訓練場から響いている。よく見ると、訓練場の扉も少し揺れているような気がする。少し中に入って様子を確認しようと思ったけど、命に関わるだろうからやめておいた方が良いだろう。親子のスキンシップを邪魔しちゃいけないしな。

「さてと、図書館に入りましょうか」

 俺はこの世界について知らなすぎる。せめて親子喧嘩が終わる前にこの世界の歴史を頭に叩き込んでおきたい。

「どんな本をお探しかな?」

 図書館の管理人らしき老人が話しかけてくる。

「歴史の書を探していまして」

「歴史?あるにはあるが、そんなモノ、学舎で学ぶだろう?・・・いや、違うか。お前さんが噂の異世界人か」

「え?噂になっているんですか?」

「この図書館は城の者もよく使う。城内の噂なら全て把握しておるよ。となれば、ほれ。これを持っていけ」

 渡れされた本の題名は『コンパス国史』。あまり厚い本ではない。

「それとこれも持っていけ」

「これは?」

「魔導書じゃ。お主、魔法が使えないんじゃろう?才能があるならその本を読むだけでも魔法のスキルが身につく。才能がなくても魔法の知識が身につく。呼んで後悔のない本じゃぞ」

「そうですか、ではありがたくお借りします」

 2冊の本を手に持ち、客室に帰って読み続ける事3日間。訓練場の騒音が聞こえなくなった。
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