いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太

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三章 勇者探し

68話 慎重で遠回しな聞き込み

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「それじゃあ、早速聞き込みでもしましょうか!!」

「ああ、でもやり方を少し変えないとね。ニア、ハガネさんは普通に観光しててもらえるかな?俺1人で情報を集めたい」

「何故でしょうか?私達がいるとやはり迷惑でしょうか?」

「と言われると少し違うな。2人ともいい人で素直過ぎてそれが聞き込みにも出てるから、今回の情報収集には向いていないと思ったんだよ」

「確かに!!じゃあ、ニアと一緒に美味しい料理を食べてますね!行きましょうニア!長旅と戦いの疲れを女の子2人で取っちゃいましょう!」

「え?ええ!そうですわね!申し訳ございませんテツロウ。後はお願いします!!」

「うん、任せておいて!」

 勇者は自分の正体が味方であるコンパス人にもバレないように立ち回っている。ローブを被って戦いに参加しているのも、戦闘が終わったらすぐに戦場から立ち去ってしまう所でまる分かりだ。

 彼女は自分がどれだけ重要な人物なのかをはっきりと自覚している。だから、バレないように力を蓄えているんだ。恐らく、露骨に探したら勇者はまた何処かへと逃げてしまう。折角近くまで来て今一緒の町にいる可能性が高いんだ。慎重に行こう。

「という事でやってきました。酒場」

 決して長旅の疲れを酒で流したいからではない。自然な流れで話を聞くためだ。

「いらっしゃい、何にする?」

「適当なのを一杯」

 お酒にこだわりはないので、適当なのを頼んで吞んでいると、昼間から飲酒して上機嫌なおっさんが俺の肩に手を回してきた。

「よお、戦争帰りかい?お疲れさん。俺にも一杯くれよ」

「ええ、良いですよ。好きなのをどうぞ。金なら山ほどあるんで」

「おいおい最高かよ!何か良い事でもあったのか?魔獣人を蹴散らせたのか?」

「そうなんですよ~~!俺も勿論倒したんですけどね!いきなりとんでもなく強い奴が現れて魔獣人を蹴散らしてくれたんですよ~~!!」

「おっ!知ってる知ってる!今、コンパス中を駆け回って魔獣人を倒してるって噂の勇者様だろ!?今回の勇者様は最初っから強くて助かるぜ~~!!」

 俺の考えた聞き込み方法。名付けるとするなら、『飲んだくれ聞き込み』。酒の肴として知りたい情報を断片を出し、欲しい情報を自然に聞き出す方法。これならこの酒場に勇者がいても警戒される事はないはず!

 しかし、この方法には致命的な欠点が存在する。それは、高確率で話が逸れてしまい聞きたい話が聞けないという欠点だ。そして、俺に話しかけてきたおっさんも、酒を3杯飲んだら泥酔してしまった。

 仕方ない。出直すかと立ち上がろうとしたのだが、久しぶりに飲んだからか思うように立てずに酒場の柱に頭をぶつけてしまう。そのまま仰向けに倒れそうになったのを誰かが背中に手を回して支えてくれた。

「あの・・・大丈夫ですか?」

 支えてくれたのはまだ若い女の子だった。視界がぼやけてはいるものの、その女の子の顔を俺は覚えていた。

「訓練村にいた子?」

「はい、お久しぶりです」

 火の海になった訓練村の唯一の生き残りだった見習い騎士の少女だった。
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