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四章 異世界に呼ばれた理由
106話 愛は逆手に取るもの
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「あら、テツロウ・キムラ。どうしたの?そんなに焦って・・・ってそんなリアクションしなくても良いか。貴方、コンパス人じゃないものね。イリス王女に見えなくても仕方ないか」
「・・・最初から気づいていたのか」
「ええ、ええそうよ。だって貴方有名人だもの。勇者を完成させてしまうキーパーツだってね。だから勇者と貴方を殺すことが今回の目的だったの。それにしても貴方パンジグ語上手いわね。誰から習ったのかしら?」
「親からだよ。偶然かどうかは分からないけど、俺の故郷で使われてる言語とそっくりだったもんでね」
「すごい偶然ね。それなら、パンジグに来ない?」
「裏切れと?」
「裏切るも何も貴方は何の許可もなしにこの世界に飛ばされてきたのでしょう?流れでコンパス国を助けているだけで情はない。寧ろ、王女を憎んでいると思うんだけど」
憎んでいないかと言われたら嘘になる。今でもあの女の顔面は殴りたくなる。けど、それ以外はどうかと言うと全くそんな気はしない。
異世界人である俺を暖かく迎えてくれた。そん恩に報いたいと思っている。
「・・・その気はないみたいね。それじゃあ殺し合いましょう」
「そうだな」
偽イリスはナイフを、俺は剣を抜き互いに間合いを取る。
「『フレイム』!」
偽イリスの手の平から火球が飛んでくる。魔法を習得しているのはビリーさんからの情報で既に把握済み。
それ以外の戦闘に役立つ会得スキルは把握しているので驚く事なく避けて攻撃する。
「私の手の平で転がされていた気分はどうだった?自分のやってきた事が全て無駄になった気分はどうだった!?」
「・・・・・・」
「貴方はこの国を守る為に呼ばれたのに破滅に追いやった!ただの破壊者でしかないのです!」
哲郎の感情を揺さぶる言葉。しかし、哲郎は怒っていなかった。至って冷静だった。
「・・・それは少し違うんじゃないか?」
「はぁ?」
「なら、なんでアンタはジュリエットを連れて帰ってきた時に俺を監禁しなかったんだ?アンタが監禁しておけば計画は完璧に進んでいたはずだし、魔獣人が無駄に死んだり捕まったりすることはなかっただろ?」
しかも、こいつら魔獣人には『変身』のスキルを持った者が大勢いた。
そのうちの1人に俺の真似をさせておけばパーティーまでバレずに計画をより完璧に進められたはずだ。
「俺の読みはこうだ。俺が自分の正体を見破っていたのは知っていたが、何も行動できずにただ指を咥えて待つことしかできないと思ったから何もしなかった。手を打つことができるのに放っておいた。間違っていたらごめんね」
偽イリスは急に黙ながら攻撃を続ける。
「詰めが甘すぎる。嫁のアンタがこの程度なら、旦那のムサシも大したことないんだろうな」
偽イリスの表情が険しくなり、怒鳴り始める。
「そんなわけないでしょう!私のムサシ殿が!!」
大きく口を開け、反論する偽イリス。俺はその口に痺れ毒を流し込んだ。
「そうだな、ムサシは強いよ。俺じゃ勝てないくらいにね」
愛を逆手に取った戦い方、有効だけどあんまり使いたくないかな。
偽イリスは痙攣し身動きが取れなくなった。
「・・・最初から気づいていたのか」
「ええ、ええそうよ。だって貴方有名人だもの。勇者を完成させてしまうキーパーツだってね。だから勇者と貴方を殺すことが今回の目的だったの。それにしても貴方パンジグ語上手いわね。誰から習ったのかしら?」
「親からだよ。偶然かどうかは分からないけど、俺の故郷で使われてる言語とそっくりだったもんでね」
「すごい偶然ね。それなら、パンジグに来ない?」
「裏切れと?」
「裏切るも何も貴方は何の許可もなしにこの世界に飛ばされてきたのでしょう?流れでコンパス国を助けているだけで情はない。寧ろ、王女を憎んでいると思うんだけど」
憎んでいないかと言われたら嘘になる。今でもあの女の顔面は殴りたくなる。けど、それ以外はどうかと言うと全くそんな気はしない。
異世界人である俺を暖かく迎えてくれた。そん恩に報いたいと思っている。
「・・・その気はないみたいね。それじゃあ殺し合いましょう」
「そうだな」
偽イリスはナイフを、俺は剣を抜き互いに間合いを取る。
「『フレイム』!」
偽イリスの手の平から火球が飛んでくる。魔法を習得しているのはビリーさんからの情報で既に把握済み。
それ以外の戦闘に役立つ会得スキルは把握しているので驚く事なく避けて攻撃する。
「私の手の平で転がされていた気分はどうだった?自分のやってきた事が全て無駄になった気分はどうだった!?」
「・・・・・・」
「貴方はこの国を守る為に呼ばれたのに破滅に追いやった!ただの破壊者でしかないのです!」
哲郎の感情を揺さぶる言葉。しかし、哲郎は怒っていなかった。至って冷静だった。
「・・・それは少し違うんじゃないか?」
「はぁ?」
「なら、なんでアンタはジュリエットを連れて帰ってきた時に俺を監禁しなかったんだ?アンタが監禁しておけば計画は完璧に進んでいたはずだし、魔獣人が無駄に死んだり捕まったりすることはなかっただろ?」
しかも、こいつら魔獣人には『変身』のスキルを持った者が大勢いた。
そのうちの1人に俺の真似をさせておけばパーティーまでバレずに計画をより完璧に進められたはずだ。
「俺の読みはこうだ。俺が自分の正体を見破っていたのは知っていたが、何も行動できずにただ指を咥えて待つことしかできないと思ったから何もしなかった。手を打つことができるのに放っておいた。間違っていたらごめんね」
偽イリスは急に黙ながら攻撃を続ける。
「詰めが甘すぎる。嫁のアンタがこの程度なら、旦那のムサシも大したことないんだろうな」
偽イリスの表情が険しくなり、怒鳴り始める。
「そんなわけないでしょう!私のムサシ殿が!!」
大きく口を開け、反論する偽イリス。俺はその口に痺れ毒を流し込んだ。
「そうだな、ムサシは強いよ。俺じゃ勝てないくらいにね」
愛を逆手に取った戦い方、有効だけどあんまり使いたくないかな。
偽イリスは痙攣し身動きが取れなくなった。
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