いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太

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最終章 悪魔の契約

142話 ジュリエットと戦争が終わったら

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 町にスキル集めに向かったテツロウは元兵士の老人との交渉を終わらせた。

「ワシのスキル『決意の構え』は覚悟を決めて武器を構えた時に発動する。筋力と脚力そして、魔力の質を高める。大いに役立つじゃろう」

「こんないいスキルをたったの2500インでもらっていいんですか?」

「良いんじゃよ。もはや戦えないワシにとっては無駄なもんじゃ。このお金で孫と美味しい物を食べに行けると思うとワクワクして仕方がない。この国を頼んだぞ、若者よ」

「はい、絶対に救って見せます」

 集められたスキルはこれで5つ。今買い取った『決意の構え』と、『即死回避』、『ガッツ』、『魔力砲』、『全身全霊の一撃』だ。

「これならある程度戦えるな・・・って、あれは・・・ジュリエット?」

 子供達と遊んでいるジュリエットが視線に入る。彼女も視線に気づいたのか俺の方に走ってきた。

「テツロウさん、都会の子供達は物知りですね。私の知らないことばかり知っています」

「それは良かったね。どんなことを教えてもらったの?」

「はい!都会で流行っている遊びを教えてもらいました!なんでも、バレずに本屋から本をとってくる遊びだそうです!戦いが終わったらやってみたいです!」

「うん、犯罪だねそれ。絶対にしないようにね」

「それは勇者だからですか?」

「勇者じゃなくてもやっちゃダメ!」

 ジュリエットは意外にも純粋な少女で良いこと悪いこと全て吸収してしまう。しっかりと育てられた証拠なのだろうが、少しでも付き合う相手を間違えたら道を踏み外してしまいそうでかなり怖い。

「テツロウさんは戦いが終わったら帰るんですよね?元の世界に」

「・・・実を言うとあんまり先の事は考えないようにしているんだ。今回の戦い、無事に帰ってこれるか分からないし」

「そんな事言わないでください。もしも、テツロウさんがピンチになったら私が全力を持って助け出します!」

「それは頼りになるな。それでもこの世界にはしばらく留まるかな?」

「それはどうしてですか?」

「戦争が終わっても苦しい時期はしばらく続く。それなのに、自分だけ安全な世界に帰ることなんてできないから。最低でもコンパスとパンジグが平和になるまで留まるつもりだよ」

「それはちょっと嬉しいかもしれません。やっぱりサヨナラは寂しいですからね」

「俺も実はそうなんだ。皆の事大好きだし」

「本当ですか!?良かったです!それじゃあ、戦いが終わったら絶対にお祭りを開きましょう!勇者降臨最後よりも盛大なお祭りを!」

「イリスにも掛け合ってみるよ」

 負けることなんか考えちゃダメだ。常にポジティブな思考を維持しないと。ジュリエットみたいにね。

「はぁ・・・はぁ・・・あっ!いた!!」

 息を切らしながら、1人の兵士が俺のところにやってくる。その兵士は城壁の警備にあたっている兵士だった。

「テツロウさん!大変です!魔獣人の王女を名乗る猫顔の女が現れて、テツロウさんを読んでいます!」

「トラコだ!」「トラコ王女だ!」

 慌てて俺達は城下町の門に向かって走り出した。
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