いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太

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最終章 悪魔の契約

169話 手が出せないくらい強い

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「攻めろ攻めろ攻めろぉ!」「恐怖するな!立ち向かえ!」「我々には勇者様とテツロウ殿がいる!」「勝てる!いや、絶対に勝てるぞぉ!」

 勇者の存在は何も強さだけではない。勇者という存在自体が戦士や騎士達の士気を上げるのだ。

 これまでも勇者の存在は騎士や兵士達の士気の向上に関わってきた。しかし、今回は今までとは違う。勇者だけでなく哲郎という存在も彼らの士気を上げる要因となっていた。

 大きな戦力となるべくイリスから呼び出された哲郎が数ヶ月の時を経てイリスの願いを叶えたのだ。

「勇者とテツロウ続けぇ!悪魔から魔獣人を救うのだ!」

 殺すのではなく、助ける。コンパス人達は本気でパンジグ人達を助けたいと心の底から願っていた。

「スキル解放『聖女の光』!水魔法『アクア!』」

 スキルと魔法で急拵えの聖水を作り、兵士と騎士達に被せる。一人一人の威力は低いが、刃が悪魔達にも通るようになる。

 そして、個人個人の力が弱くても合わされば強大な力となる。複数人で1体の悪魔を担当することによって悪魔を撃退することに成功し始めた。

「よし!勝てるぞ!」「勇者とテツロウ殿の負担を減らせぇ!城にいるデカい悪魔となるべく全力で戦わせるようにサポートしろぉ!」

 コンパス城から一際大きくな悪魔がこちらを見つめている。悪魔の王だ。先程よりも大きくなっていることに哲郎達は驚き戦慄したが、同時にこちらが優勢に立ち始めている事にも気づく事ができた。

 悪魔の王の表情がいやらしい笑みからどことなく不快そうな表情へと変化している。

 奴の顔から笑みが消えたという事はつまり、よくない状況だという事なのだろう。

「まずは、数を減らせぇ!危険なら一般人を遠ざけるぞぉ!」

 まずは人命救助だ。それをしなければ戦う意味がまるでない。未だに数千の数を誇っている悪魔達は恐怖なんか知った事かと言わんばかりに襲ってくる。

 騎士と兵士達が複数人で1体倒せる怪物が一斉に襲いかかってきたらどうなるか?無論勝てない。そのぐらい人間と悪魔には実力差がある。

 そしてその実力差を埋めるのが勇者である。

「どりゃあぁぁぁっ!!」

 光の勇者へと覚醒したジュリエットは力を全開にして悪魔達をどんどん浄化していき、魔獣人の姿へと戻していく。

哲郎が有する『聖女の光』と『光の勇者』には出力以外にも明らかに違う点が存在する。それは魔力だ。

 『聖女の光』は魔力を使用するのに対して、『光の勇者』で使われる浄化の力には魔力が必要ないのだ。

 故に悪魔達は持久戦なんてできない。完全に覚醒させてしまった悪魔の王のせいである。

「勇者ぁぁっ!!」

 悪魔の王は先程とは一転して怒り狂いながら城から城下町へと降りてきた。
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