大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

第三十一話 俺が寝ている間に何があった?

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「ふわぁ・・・良く寝た。あれ?二人共何やってるの?」

「おはようございます、コウスケさん。今トランプやってるんです」

「コウスケ、このゲーム面白いな。地上との関係が完成したら林檎と一緒に輸入しよう」

 数時間の睡眠を終え、体力を完全に取り戻した幸助は2人がトランプをやり終えるのを待ち、寝ている間の事を聞いた。

「コウスケさんが寝る直前にランマルさんが助けに来てくれたのは覚えていますよね?ランマルさん、旅ですんごく強くなってて、ジールを撤退まで追い込んだんです」

「あの体力お化けに押し勝ったの?」

「はい。その後、時間稼ぎの為に破壊された鉄の門を閉め、溶接しました。いつまで持つか分かりませんが・・・」

「ボニーさんは?」

「怪我人の治療をしてます」

 悪くなりかけていた状況を何とかして持ち返そうとしている。それが今の状況だ。しかし、いつまで緊急補強した門が耐える事が出来るのか分からないのが怖い。

「今すぐに戦いの準備をしないと・・・アメリア。俺の着る服は?」

「準備してある。サイズもピッタリのはずだ」

 採寸でもしたかのように俺の身体にピッタリな服を着る。次に必要なのは防具たちだ。前回の戦いでジールに挑むには流石に鎧が必要だと痛感したようだ。

「俺の鎧は直ったか?」

「その事なんだが・・・実は今しがた鍛冶屋に行ってきたところ、あまりにも損傷が激しすぎて鎖帷子以外は直らなかったそうなんだ」

「ここに来るまで大分無茶したしな。仕方ない。俺もプレートアーマーデビューするか。アメリア、鍛冶屋が何処にあるんだ?」

「城前にがファイト―ル様の証が看板になっている建物がある。それが鍛冶屋だ」

「よし、じゃあ行くか。メアリーはどうする?」

「・・・・・・」

 声をかけるがメアリーは気持ちは上の空の様子。目の前で手を叩いて意識をこちら側へと強制的に戻す。

「メアリー?」

「・・・ㇵッ!そ、そうですね!私もガントレット見てほしいですし、行きましょう!そうしましょう!」

「大丈夫か?メアリー。体調が優れないなら無理に行かなくても・・・」

「いえいえ!大丈夫です!ぼーっとしてただけなんで!それでは行きましょう!」

 メアリーは俺の手を握ると、引っ張って外へと出ていく。リビングを出る際、アメリアが妖艶な笑みを浮かべていたが、まだ発情が解けていなかったのだろうか。



 アメリアの屋敷は案の定、城の近くに位置していた。城は鉄の門から一番遠い場所に位置している為、建物が破壊された痕跡は見えないが、あちらこちらで兵士や騎士達が走り回っている。怪我人を運ぶ者、家を修理する材料を運ぶ者、全員が訪れた危機に何とか対処しようとしている。

「あっ!同志殿!お目覚めになられたのですか!元気そうで良かったです!」

 しかし、皆笑顔だ。否、笑顔でいなければやっていけないのだろう。無理にでも笑顔を作らなければ暗い空気が漂う事を知っているから空元気を出しているのだろう。

 一生懸命に危機を乗り越えようとする地底人の姿に涙腺が緩む。同時に自分も協力しようと思う気持ちが強くなる。

 仕事に励む騎士達の邪魔にならないように歩き、ファイト―ルの証が看板になっている建物に辿り着く。まだ、20m程離れているが、金属を叩く音が鳴り響いている。営業している事に安堵し、鍛冶屋へ入ると色白の筋骨隆々の男達が金属を叩いていた。金属音があちらこちらから耳に入ってきて頭が痛くなりそうだ。

「おい!お前ら!」

 背後から話しかけられて振り向くと、2mはあるだろう男が入口から現れた。肩にはハンマーを背負っており、鍛治職人である事を示唆している。

「アメリア女王が言っていた地上人だな。マジで申し訳ないんだが、鎧と盾は治せなかった。直せたのは鎖帷子と、額当てだ」

「はい、アメリア女王から修復不可能だという話は聞きました。なので、新しい鎧を見繕いたいのですが」

「まあ、そうなるわな。おい!新入り!お客さんが鎧を見たいそうだ!2階段に連れて行ってやれ!」

「はい!」

 部屋の隅で掃除をしていた若い男が走ってくると、俺達を2階へと誘導する。階段を上り、2階に到着すると、待ち構えていたのは個性的な鎧達だった。基本的な物、棘が付いている物、魔術が込められた宝石が埋め込まれている物、極限まで金属を減らした物など、種類は様々だった。

「おいらのおすすめになっちまいますが、これはどうでしょう?スティンガーアーマー!魔物と戦うなら有効ですよ!」

 まず、最初におすすめされたのはあらゆる場所に棘が付いた鎧。確かにほとんどステゴロで襲ってくる魔物には確かに強いかもしれないが・・・。

「これ自分にも刺さらないか?」

「・・・たまに」

「別のにしよう。なるべく汎用性の高い鎧を頼む」

「では、これはどうでしょう?重すぎず軽すぎない。それでいて頑丈な鋼の鎧です。先代の国王様が若い頃に愛用していた鎧と全く同じものです。腕も真上に伸ばせますんで、動きやすい一品になっています」

 次に出されたのは基本的な作りの鎧。男が言った通り、肩の可動範囲もとても広い。確かに汎用性も高いが・・・。

「これよりもっと頑丈な鎧はある?これからちょっと面倒なヤツと戦うからさ」

「これよりも頑丈な鎧!?い、いや~~これ以上頑丈となるとしかありませんね。かなりのお値段になりますが、お財布、大丈夫っすか?」

「いざとなったら換金しにいくから良いよ。その鎧教えて」

「では、ついて来て下さい」

 今度は新入りの男が持ってくるのではなく、俺達をその鎧まで誘導する。紹介された鎧は白銀に輝く美しい鎧だった。

「こちらはミスリルという希少な金属が使われたうちの作品では最高の代物です!」

「ミスリル?」

 前の世界でやっていたゲームに出てきた単語だ。詳しくは知らないが。

「銀の美しさを持ち、鋼以上の強さを誇る貴族御用達の鎧です!持ってみると、分かると思うんですが、鉄より少し軽いんですよ」

 右手に鋼の鎧を、左手にミスリルの鎧を持つ。確かに鋼の方が重い。よし、これに決めた。

「いくらだ?」

「200万ファイになります。どうなされます?もし良ければこちらで換金しますが・・・」

「そうか?なら、これを換金できるかな?」

 バッグから林檎数個取り出し、渡す。新入りの男は林檎がどんなものなのか分かっていなかったようで、親方達のいる1階へと行く。

 数秒後、親方のうちの1人が焦った顔で俺の元に駆けつけてきた。

「おおおお客さん!これって・・・これってもしかして果実と呼ばれる物ですか!書籍でしか見た事のない!地上にしか生えないという伝説の・・・」

「ええ、そうです。今売ったらとんでもない値段になるんじゃないですかね?あ~~でも、あと少ししたら地上と地底の和平条約が成立されて価値は大分下がるでしょうね~~」

「な、何だって・・・?」

「林檎はね、地上では普通に生えている果物なんです。もし、和平が成立して地上と地底で貿易が始まったら価値は下がるでしょうね」

 アメリアに全てあげなくて良かった。まさか、こんな所で役に立つとは・・・。

「・・・・・・買わせてくれ!!ミスリルの鎧は持って行っていい!アンタみたいな強くて勇敢な戦士に使われるなら、本望だしな!!それじゃあ!!」

 林檎を大事そうに抱えると、親方は換金所に向かって走っていった。

「相変わらず親方は行動に移すのが早いな・・・さて、お客さん!サイズ調整をしましょうか!」
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