大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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最終章 今こそ復讐の時

第二十話 正に竜騎士

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「ど、どうしたのですか!?」

「ハ、ハハハハ・・・すまない!力負けしてしまった!闘神だからと慢心していた自分が本当に恥ずかしい!!」

 身体のあちこちから出血するファイト―ル様に近付き声を聞く。戦いのプロでも神としての実力トップには勝つのは難しかったらしい。

「だが、喜んで欲しい!アモーラには深手を負わせ、体力も削った!神殺しの剣と君の実力があればアモーラに勝てるぞ!」

 闘いの神からの励まし。心の支えになる。しかし、俺はただの人間だ。空を飛ぶこともできなければ歩く事もできない。アモーラはこちらに降りてくる様子はない。どうすれば良いだろう。

 今までの冒険の経験で応用する事ができないか試行錯誤してみる。しかし、やっていた事のほとんどは復讐への礎のみ。空を飛ぶことに活かせる経験なんて・・・。

「あったわ!空飛べる友達いたわ!!」

 最近忙しかったからか、の存在をすっかり忘れていた。彼なら、戦闘好きの彼なら絶対に来てくれるはずだ!

「フランさん!笛貸して下さい!」

「笛!?笛って・・・まさか!!」

「そのまさかですよ!叫竜、叫びのワイバーンを呼びます!空を飛べる上に戦闘ジャンキーの彼なら必ず助けになってくれるはずです!」

 頼りにしたのは8ヶ月前、マロン山脈にて麓の村民を困らせていたお騒がせした戦い好きの叫びのワイバーンである。

「考えたな!コウスケ!それっ!笛だ!思い切り吹けぇ!!」

 土でできた笛を投げ受け取り唇に充てがう。

「コウスケ?君は何をしようとしてるんだ?」

「フフ、アメリアちゃん今からびっくりすると思うけど、気をつけてね?」

「ん?どういう意味だい?」

「まあ、見てなって。すぅー・・・」

 胸が膨らみ、鎧が浮き上がるほど空気を肺に入れ、笛の口に向かって思い切り流す。笛から出された高い音は、空に向かって飛んでいき、帰ってくることは無かった・・・・その代わりと言わんばかりに、笛の音が飛んでいった方向から黒い物体が音速を超える速度でやってくる。

 黒い物体の姿は近づくにつれて人間の肉眼でもはっきりと見えるようになる。漆黒の天然の鎧、鎧の胸部には白いイナズマのような模様が刻まれている。鉄さえも砕いてしまいそうな強靭な顎、勇ましさを象徴する立派な一対の角に4本の足に3本ずつ備え付けられた、鍛治職人が研いだのかと疑うぐらいに鋭い爪。冒険者なら誰もが憧れる生物、神や天使を除く生命体の中で頂点に立つ存在。

「おお!おおおおおおお!!まさか!まさかあの生物は!これは現実か!いや、現実であってくれ!だってあれは!!」

 正体に気づいた地上大好きアメリアは無邪気な子供のようにはしゃぎ、近づいてくる生命体を待ち侘びる。

 ドスンっ!3mを優に超える生命体は土煙を立てて地上へと降り立つ。茶色の煙が黒い鱗に良くあっていてカッコいい。

「Kisyaaaaaaaann!!」

 現れた巨大生命体はその勇ましい顔を天に向けると、鼓膜が破れんばかりの咆哮を放った。

「ドラゴンだーーーーー!!」

 アメリアはアメジスト色の瞳をキラキラと輝かせてワイバーンに負けず劣らずの声量で叫び喜んだ。ジースト騎士団も兜を外して肉眼でみようとするぐらい驚き、感激する。

 驚いているのも束の間、耳には入ってきていないのに声が聞こえてくる。どうやら脳内に直接話しかけられているようだ。

『久しいな人間。また随分と強くなったな』

「どうも!ワイバーン!お久しぶりですね!」

 一度しか戦ったことがないのにまるで長年の戦友のように話す幸助とワイバーン。

『ありとあらゆる場所の生命が怯えている。我も少々武者震いを起こしている。一体何が起こっているのだ?人間。お前なら知っているのではないか?』

「はい。実は神が降臨しまして・・・ソイツをなんとか倒そうと貴方を呼んだのです」

『ほお!神!神と言ったか人間!偉大なる我よりも上に立つとされる神!いつかこの手で倒したいと思っていた!良いだろう!我が直々に倒してやろう!礼は用意しておけよ!!』

「ちょ!ちょっと待ってワイバーン!!」

 今にも飛び立とうとするワイバーンの眼の前に立って制止させる幸助。ワイバーンは少し不機嫌になりながら何故止めるかを聞いた。

「俺も連れて行ってくれ。今から倒そうとしているのは俺が1年かけてやっと降りてきた神なんだ。俺の手で何としてでも倒したいんだ!」

『何?・・・つまりお前、我の背中に乗って戦いたいというのか?』

 ゆっくりと首を縦に振り、肯定の意を伝える幸助。すると、ワイバーンにとっては余程おかしい事を言っていると思われたのか、脳内に己の笑い声を流してきた。

『ハッハッハ!お前が!我の!背中に乗るだと!ふざけるのも大概にしろぉ!!戦う前に笑い殺すきか!!』

「いいや、俺は至って真面目だ」

『この我を人間ごときが従える事が出来ると思うか?』

「従わせる気はない。一緒に戦ってほしいだけだ」

『つまり、我についてくるという事だな?人間の域を出ないお前が食らいつけるとでも?』

「そんなんで諦める程、俺の復讐心は軟じゃねぇ」

『これだから人間は面白い。滅ぼさなくて良かったと心底思う』

 足を折り曲げ体勢を低くすると、視線を送り乗るように促す。

「サンキュー、ワイバーン。よし!行くぞ!」

「コウスケさん!死なないで下さいね!!」

「・・・なるべく頑張る!!」

 死なない何て約束はできない。メアリーには申し訳ないと思いながらもワイバーンの背中に乗り、空へと飛び立っていった。

「なんですか・・・頑張るって・・・恋人なら、約束して下さいよ・・・バカァ・・・」

 メアリーは幸助の無事を祈り静かに泣いた。鼻も啜らず涙を流す彼女に最初に気付いたのはボニーだった。
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