42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太

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4章 偽りの歴史

173話 合言葉

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 カートライトの中央都市も、ジャッジメントと同じくらい賑わっている。街ゆく人がみんな笑顔だし、商人の声は四方八方から聞こえてくる。

 そして、裏路地に目を向けて見ると、痩せこけた幼い子供達がひもじそうにこちらを見ている。頬がこけていて、目が大きく見える。ロクな食事をとっていないのだろう。

「あんまり孤児に目を向けるな。たかられるぞ」

「孤児・・・孤児院は無いの?」

「定員オーバーだ。まあ、その現状を無視しているのがこの国なんだけどな」

 まさか、自分の出身国の光と闇を同時に見ることになるとは・・・今日は眠れなさそうだ。少し前までカートライト側でしか物事を見れてなかっただけで、はるか昔から存在していた問題なのだろう。

「さて、ここだな。隠れ家とやらは」

 諜報員はかなり長期間潜伏しているようで、中央都市に2階立てのしっかりとした民家の拠点を持っている。核家族で暮らすのなら問題はないだろうが、十数人で暮らすには少し狭いだろう。

 そんな普通の民家にドゥークは何の躊躇もなく、ノックをして見せた。

「・・・ペドロ」

 扉の先から人の声が聞こえてきた。耳を澄ませないと聞こえないレベルの声量だ。人の名前を呼んでいるようだが、来客を勘違いしているのだろうか?

「アレクサンダー」

 扉の先の声と同じ声量で言葉を返す。すると、扉はゆっくりと軋みながら開いた。

「今のは合言葉だ」

「なるほど。ちなみにペドロ・アレクサンダーって?」

「16年前に亡くなられた先代国王の名前だ。ちょっと簡単すぎる合言葉かな?」

 扉が開かれたので、恐る恐る中へと入る。扉を閉めると同時にドゥークは変身魔法を解除。

 部屋の中には、計7人のベルム族がいた。

「よく来たな、ドゥーク・ドラゴムと・・・誰だ貴様は?」

 どうやら情報漏洩を防ぐために最低限の情報しか諜報員には届いていないらしい。俺が説明すると警戒されるので、ドゥークが説明してくれた。

「トルネヒロのファルコか。デカいな」

 情報集めが主な仕事の諜報員は、俺の事は当たり前のように知っているようだ。あまり意味はないだろうに。

「手紙に書いてあった通りだ。我々の仲間が4人殺された。同時に、しかも同じ人物にな」

「いつ頃だ?」

「丁度2週間前の夜中。外食の帰りに殺された裏路地に誘導されてな」

「オフの時にやられたと言う事は、前からお前らの事は特定されてたみたいだな。この民家は大丈夫なのか?」

「実は場所は変えているので心配するな。そして、その殺し屋なのだが、背丈的にドワーフだ。しかも体つきからして女だ」

 淡々と感情無しにその時の情報を提供する諜報員は、何処か人間的ではなく、ロボットのようだった。
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