42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太

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4章 偽りの歴史

178話 黒衣の剣士

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 漆黒の剣の刃は既に俺の首筋まで到達している。あと1秒もしないうちに俺の首は血液で弧を描きながら刎ねられるだろう。

 ・・・何もしなければ。覚悟がなければ。

「ッッ!!」

 俺の首元から爆発が発生する。少し皮膚の表面が焼ける程度の小規模でくだらない爆発。大したことのない爆発ではあるものの、首を刎ねようとしていた剣の刃を跳ね飛ばすことには成功したみたいだ。

「・・・無詠唱」

「正解。それで、アンタはうちの諜報員を殺した殺し屋・・・で良いんだよな?」

 今はっきりと声を聞いて分かった。兜で声がハッキリと分からないが、高さからして確実に女性だ。背の低い女性のドワーフ・・・ドワーフなのか?

「分からない・・・」

「は?」

「知らない・・・」

 一瞬、シラを切っているのかと思ったが、声色からして違う。本当に知らないみたいだ。じゃあ、目の前にいるのは諜報員を殺した殺し屋とはまた別の殺し屋なのか?

「アタシは、ただ殺すだけ・・・」

「じゃあ、俺は抵抗するまでだ」

 ただ、敵対しており、戦う相手だと言うことには変わりないみたいだ。殺意と殺気はまるで感じられないが、剣を構えていると言うことはそう言う事なのだろう。

「殺す・・・」

「うおぅ!?」

 覇気のない声とは裏腹に、ものすごい速度で距離を詰めるや否や、再び俺の首を狙いに来た。流石に今回は身構えていたので、首は刎ねられる事はなかったが、タイミングを誤っていたら普通に死んでいた。

 首がしっかりとあるか手で触って確認してしまう。速球で目を慣らしていて本当によかったらと心の底から感謝する。

「反応良い・・・なら、スピード上げる・・・」

「ちょっ、待っ─────」


 待ってなんて言って待ってくれるようなら、そいつは敵ではないだろう。恐ろしい速度で放たれる剣撃は、避けるだけで精一杯だ。

 鉄球を投げるタイミングはおろか、距離を作る余裕まで作れない。だが、このまま避け続けていてもいつかは首を刎ねられる。

 ドゥーク達が助けに来てくれる可能性もあるが、俺が勝手にマンホールを閉めたと勘違いして助けに来ない可能性もある。

 もしもの事なんて考えるな。常に今ある事だけで考えろ・・・!!

「『アイス』!!」

「・・・動けない」

 特に魔力は込めていない氷の魔法で黒衣の剣士の動きを少しだけ止める。作れた氷の枷は薄い。力を体を委ねれば、簡単に解放されるだろう。

 だが、それで良い。そもそも、拘束するのが目的ではない。時間を作るのが目的だ。

 距離を取り、鉄球を握り構える。その瞬間、黒衣の剣士の氷の拘束は解けた。

「おらぁ!!」

 間合いを詰められる前に投球。まずは、素早い動きを可能とする足を潰さなければいけない。気になる顔を拝むのは後だ。

 投げたのはフォークボール。直前になって急に落ちる球で不意打ちで足の破壊を狙う。鉄球に込めたのは十八番の爆発魔法。使いすぎて一番使いやすい魔法になってしまった。

 このまままっすぐ向かってくると勘違いして見事に被弾してくれるはずだ。

「・・・・・・」

 しかし、俺の予想とは裏腹に、黒衣の剣士は後ろに大きく後退。黒衣の剣士の足元に落ちる予定だった鉄球は地面に落ち、爆発。少し地面を抉るだけで終わった。

「・・・マジかよ」

 フォークボールを避けられたのは初めてだった為、激しく動揺した。
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