42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太

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5章 紛い物の神

240話 デブの悪魔

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「Eaaaaaaaaaaaaaaaaaaattt!!」

 相当お腹が空いているのだろう。俺達を敵ではなく、食べ物として完全に捉えている。

「よいしょっ!!」

 しかし、動きは見た目通り鈍いようで、ヘリナ先輩の大剣の斬撃をもろに喰らった。

「Eaaaaaaaaaaaaaa!!」

 あまりの痛さにのけ反るデブ悪魔。けど、傷がとてつもなく浅い!!多分、葉っぱで切った時よりも傷口が薄い。かといって、ヘリナ先輩が手を抜いたわけではない。しっかりと地面に足を付けた状態での踏ん張りの聞いた一撃だったにも関わらずほぼノーダメージ。これには、ヘリナ先輩も一瞬自信を失ってしまったのだろうか、気落ちした表情を浮かべた。

「何、コイツ・・・とんでもなく防御力が高いんだけど!!」

「硬いっていうよりも厚いって言う感じですね。これじゃあ、打撃も入らなそうだ」

 となると、消去法で残された戦法は──────。

「魔法かっ!!」

 氷の魔法を込めた鉄球を投げ放つ。ヘリナ先輩の攻撃すらも避けられなかったデブが避けられるわけがなく、俺のストレートは、ヘソにめり込むように入っていく。

 入り込んだ瞬間、氷の魔法が発動。ヘソを中心に体がどんどん凍っていく。それなりに準備と魔力を使って放った一球は、非常に強力で、たちまちデブの悪魔の全身を凍らせてしまった。

「ナックル!!今だ!!」

「成程!!ありがとうございます!!」

 ぶよぶよで攻撃が通らないのなら、性質を変えてしまえばいい。今のデブの悪魔は凍り付いた贅肉。衝撃を与えたら割れる氷と成り果てた。

 そこに、ナックルの強烈な一打をぶち込めばどうなるなんて見なくても分かる。

 カッコつけて、凍り付いたデブの悪魔に背を向け、氷が砕ける音を聞く。足元まで飛んできたのは、凍った肉塊。決まった。最高の一球だった。そう思っていたのは束の間で、次の瞬間には、俺の体は神殿の壁に大きくめり込んでしまっていた。

「あっ・・・!!」

 時間差で痛みがやって来る。背骨とあばら骨が何本か折れたのが分かる。この山に入ってからやっと活躍できたと思って完全に油断しきってしまった。

「Eaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」

 デブの悪魔はまだかろうじて生きていた。全身の贅肉は削られ、骨と筋肉だけというグロテスクな見た目と成り果てたが、何故か元気だ。飛びそうな意識の中、何故か疑問に思っていると、体が再生し始めた。魔力を感じ取れないので、恐らく固有の能力だろう。羨ましい・・・。

「ファルコ!!大丈夫?ねぇ、返事して?」

「大丈夫です、大丈夫・・・ナックル、治癒頼める?」

「はい、任せてください!!」

 もう一球足りなかった感じか・・・クソ、惜しい事をした。
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