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3章 異世界旅行録
4話 またもや特別任務
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★
孤児院への里帰りから十数時間が経過。職場の出勤日だったので、当然ながら門へと向かった。
「ヒスイ~~待ってよ~!」
「置いて行かれたくなかったら、急ぎな~~」
同居人兼職場の後輩兼親善大使のリリック・シング・レッドシンと共に。
何とか追いついたリリックに手作りの弁当を渡して、門へと向かう。タイムカードを切ったのは7時58分。ギリギリセーフだ。
「よぉ!おふたりさん!今日も仲良く出勤かい?」
「「おはようございます」」
一足先に出勤していた先輩に挨拶して、更衣室へと入る。男子更衣室では、リザードマンのリック君が丁度着替えていた。
「うっす。おはようございます先輩。今日も美味しそうな匂いが漂ってきてますね。何の匂いですか?」
「多分、卵焼きじゃないかな?」
「卵焼き・・・嗚呼、何て良い響きなんだろう。今度調べて作ってみます」
「分からない事あったら何でも聞いてね。コツとかバンバン教えちゃうから」
「分かりやした~~・・・あ、そうそう!主任が先輩の事呼んでましたよ?なんでも有給の件についてらしいです」
「OK。それだけしか聞いてない?」
「はい。有給の件しか。ていうか先輩もう有給取るんですか?まだ5月に入る前なのに」
「ハハハ、休む為じゃないよ。ちょっと知り合いの手伝いをする為さ」
「なるほど。それじゃあ、おれは先に行ってますんで」
リック君は着替え終わり、武器を腰に下げると、更衣室から出て行った。俺も数分後に制服に着替え、愛刀〈紫陽花〉を腰に下げて更衣室を出る。
俺が男子更衣室から出てきたと同時に、真横の女子更衣室からも誰かが出てきた。
「あっ、ヒスイ」
「おはようモネさん」
同僚であり、隣人のモネ・ロックマンだった。
「悪いね。アンタ達2人が仲良く同じベッドですやすや寝てたから先に行かせてもらったよ。随分と寝てたけど、アタシの分の弁当は忘れてないだろうね?」
「忘れるわけないよ。後で渡すから待ってて」
ちなみに朝昼晩のご飯を作ってあげる契約は未だに続いている。一時期は自分で作ると言った時もあったのだが、自分が作った料理の味に満足できなかったらしく、すねてそれ以降作らなくなってしまった。
「今は良いけど、もし俺がいなくなった時どうするのさ。そろそろいい加減にフライパンの使い方ぐらいはマスタ
ーした方が良いと思うよ?」
「大丈夫だって。その時はその時で何とかするからさ。それに、アンタがアタシの前から消える事なんてないだろ?」
「いや、断言は────」
「そ・う・だ・ろ?」
「今のところは」
「なら良かった。それじゃあ先に行ってるからな」
階段を下り、外へと向かうモネさん。そんなに俺の料理を好きなってくれたのか。嬉しいが、そこまで特別な味付けはしていないはずだが・・・。
「あ、そうだ。主任の所に行こう」
今日のシフトは被っているので、主任は出勤してきているはず。今の時間帯は、事務所に最近付けられたキッチンでコーヒーを淹れているはずだ。
「主任、おはようございます」
「おう!おはよう!今日は遅かったね!」
「ちょっと寝過ぎちゃいまして・・・リック君から聞いたんですが、有給についての話ってなんです?」
「話が早いね。じゃあ、早速話しちゃうね。翡翠はナチュレに行く為に有給を1週間取るって言ったよね?」
「はい。自分の為ではないにせよ、門番休みますからね」
「それなんだけどさ、有給は取らなくて良いよ」
「え?どういう事です?」
「実はザナでやって欲しい事が2つあるんだ」
それはつまり─────
「特別任務・・・ですよね?」
「御名答♪」
今回も、ただでは済まされなさそうだ。
孤児院への里帰りから十数時間が経過。職場の出勤日だったので、当然ながら門へと向かった。
「ヒスイ~~待ってよ~!」
「置いて行かれたくなかったら、急ぎな~~」
同居人兼職場の後輩兼親善大使のリリック・シング・レッドシンと共に。
何とか追いついたリリックに手作りの弁当を渡して、門へと向かう。タイムカードを切ったのは7時58分。ギリギリセーフだ。
「よぉ!おふたりさん!今日も仲良く出勤かい?」
「「おはようございます」」
一足先に出勤していた先輩に挨拶して、更衣室へと入る。男子更衣室では、リザードマンのリック君が丁度着替えていた。
「うっす。おはようございます先輩。今日も美味しそうな匂いが漂ってきてますね。何の匂いですか?」
「多分、卵焼きじゃないかな?」
「卵焼き・・・嗚呼、何て良い響きなんだろう。今度調べて作ってみます」
「分からない事あったら何でも聞いてね。コツとかバンバン教えちゃうから」
「分かりやした~~・・・あ、そうそう!主任が先輩の事呼んでましたよ?なんでも有給の件についてらしいです」
「OK。それだけしか聞いてない?」
「はい。有給の件しか。ていうか先輩もう有給取るんですか?まだ5月に入る前なのに」
「ハハハ、休む為じゃないよ。ちょっと知り合いの手伝いをする為さ」
「なるほど。それじゃあ、おれは先に行ってますんで」
リック君は着替え終わり、武器を腰に下げると、更衣室から出て行った。俺も数分後に制服に着替え、愛刀〈紫陽花〉を腰に下げて更衣室を出る。
俺が男子更衣室から出てきたと同時に、真横の女子更衣室からも誰かが出てきた。
「あっ、ヒスイ」
「おはようモネさん」
同僚であり、隣人のモネ・ロックマンだった。
「悪いね。アンタ達2人が仲良く同じベッドですやすや寝てたから先に行かせてもらったよ。随分と寝てたけど、アタシの分の弁当は忘れてないだろうね?」
「忘れるわけないよ。後で渡すから待ってて」
ちなみに朝昼晩のご飯を作ってあげる契約は未だに続いている。一時期は自分で作ると言った時もあったのだが、自分が作った料理の味に満足できなかったらしく、すねてそれ以降作らなくなってしまった。
「今は良いけど、もし俺がいなくなった時どうするのさ。そろそろいい加減にフライパンの使い方ぐらいはマスタ
ーした方が良いと思うよ?」
「大丈夫だって。その時はその時で何とかするからさ。それに、アンタがアタシの前から消える事なんてないだろ?」
「いや、断言は────」
「そ・う・だ・ろ?」
「今のところは」
「なら良かった。それじゃあ先に行ってるからな」
階段を下り、外へと向かうモネさん。そんなに俺の料理を好きなってくれたのか。嬉しいが、そこまで特別な味付けはしていないはずだが・・・。
「あ、そうだ。主任の所に行こう」
今日のシフトは被っているので、主任は出勤してきているはず。今の時間帯は、事務所に最近付けられたキッチンでコーヒーを淹れているはずだ。
「主任、おはようございます」
「おう!おはよう!今日は遅かったね!」
「ちょっと寝過ぎちゃいまして・・・リック君から聞いたんですが、有給についての話ってなんです?」
「話が早いね。じゃあ、早速話しちゃうね。翡翠はナチュレに行く為に有給を1週間取るって言ったよね?」
「はい。自分の為ではないにせよ、門番休みますからね」
「それなんだけどさ、有給は取らなくて良いよ」
「え?どういう事です?」
「実はザナでやって欲しい事が2つあるんだ」
それはつまり─────
「特別任務・・・ですよね?」
「御名答♪」
今回も、ただでは済まされなさそうだ。
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