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3章 異世界旅行録
6話 退勤後のラーメン
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それから約11時間働き、時計の針は周り、夕日は沈み、夜の時間になる。
ここからは俺達の仕事はなく、戦闘に特化した夜勤の人達の仕事である。
「やっほーひすいきゅん♡来週の水曜日空いてる?良かったらさ~呑みに行かない?」
「お誘いありがとうございます鳩山先輩。申し訳ないんですが、来週は特別任務を任されてしまいまして、ザナに行く事になったんです。なので、行けないです」
「ええぇぇ~特別任務~?なんで翡翠君が?」
「聞いてないのか?門番の中では話題になってるぞ。翡翠がナチュレの王族だったって」
少し遅れて事務室に入ってくるスキンヘッドのナイスガイ里見先輩。誰が噂として流したのだろうか。
「えっ!?なの!?翡翠きゅん王子様なの!?じゃあ、結婚したら私はお姫様・・・」
「ないから安心しな」
「あ゛?」
「あはは・・・お疲れ様でした」
喧嘩が始まる前に喧嘩の種はさっさと出て行こう。翡翠は足音を立てないように事務室から出て、外で待っていたモネさんとリリの2人と合流した。
「ねえ、ヒスイ!今日のご飯はなに?」
「そうねぇ、今日は魔物が多くて疲れたから、ガッツリ食べたいわ」
「も~。モネに聞いてないよ~」
「そうだな・・・シャープ誘ってラーメンでも食べに行こうか」
「ラーメン!良いね!」
「アンタも料理作る体力が残ってない感じ?」
「いや、近くに新しいラーメン屋ができたってシャープが言ってたのを思い出しただけだよ。ちょっと待ってて。電話してくるから」
ちなみに今日シャープは非番である。先輩達の復職と、後輩達が入ってきた事によって、俺達のシフトはバラバラになる事が増えてきてしまった。
それでもたまに一緒になる事があるが、半年以上一緒に仕事してきた仲間とバラバラで仕事するというのは少し寂しい気持ちになる。
まあ、近くに住んでるからその寂しさもあまり気にならないのだが。
シャープはすぐに俺の電話に出て、現地集合する旨を伝えて、門を離れる。
門周辺の荒野を歩き、異門町に入る。道を歩いているのは仕事帰りの社会人のみ。不審者などは歩いていない。
余談であるが、異門町の犯罪率は非常に低い。魔物が現れる門から1番近い町だからと言われている。
その為、門という危険が近くにあっても、家賃が安くて犯罪率が低いこの町に引っ越してくる人が多くいるのだ。
だから、俺達も絶対に魔物を門を囲む壁から外へは絶対に出しては行けないという使命感に駆られる。
「ええと、シャープのマンションから真っ直ぐ100m先だから・・・・あ!あれか」
真っ暗な町にポツンと光る一軒のラーメン屋。暖簾には『もののけ』と書いている。魔物に襲われる町だからこの名前にしたのだろう。
「おーい!みんなー待ってたよー!!」
店前には既にシャープが財布を持って立っていた。寝癖が治っていないことから、1日中家にいた事が分かる。
「ここのミソラーメン、すっごく美味しいんだよね~!」
「じゃあ、アタシはミソにする。あと、麺大盛り。替え玉も勿論する」
「お塩はあるかな?お塩のラーメン!」
「悩むのはいいけど、店に入ってからにしない?店主が俺らが入ってくるか見極めてるからさ」
外で悩むよりも、メニュー表がある店内で悩もうという事で店に入る。
入店すると、大将が軽く会釈。無言系の店主のようだ。
メニューは壁貼りされている。『味噌ラーメン』、『塩ラーメン』、『醤油ラーメン』の3つしか書かれていない。チャーハンはやっていないようだ。あと、ライスも。
「僕ミソ!」
「じゃあ、俺も味噌で!」
「アタシは味噌大盛り」
「わたしはお塩のラーメンで!」
「・・・はいよ」
不愛想な返事をする大将。他にも客が来ており、そのほとんどがサラリーマンだ。そのほとんどが会話をしているので私語厳禁の店ではない模様。なので俺達も話す事にした。
「シャープはもう聞いた?主任からの特別任務」
「うん!聞いた聞いた!いやぁ~~1年1か月ぶりのザナはちょっと楽しみだね~~!」
「わたしはそこまで楽しみじゃないかなー。1か月前までいたわけだし」
「アタシは最悪。だってあのクソエルフのクソ国家に行くんでしょ?行く前からイライラが止まんないんですけど」
楽しみにしている者もいれば、特に特別な感情が無い者、そして、行く前からテンションが駄々下がりの者までいる。まあ、モネさんに関しては種族的な問題からして仕方がないだろう。でも、強制ではなかったはず。それなのにどうしてついてくる事にしたのだろうか。
「アタシが行かなかったせいで死なれたら困るからに決まってるからじゃない!それに、なんか仲間外れにされそうで嫌だし」
本能故の嫌悪に勝ったというわけか。つまりは俺達の友情の勝ちというわけだ。
「ヒスイは楽しみ?初めてのザナ」
「行く場所はつい数か月前に戦った国だけどね」
「そうだね。モネさんが言いたい事は何となくわかるよ。複雑な気持ちではあるね。でも、不思議と行きたいって思ってる自分がいるんだ」
「それはどうして?」
「多分だけど、俺の母さんの故郷だからかな?」
母の顔を見たこともなければ、どんな人なのかもわからない。もしかしたら、故郷に行ったら何か分かるかもしれない。そんな淡い希望を抱いているのだろうか、自分は。
「お待ちどうさん」
「あ、早い。話は食べてからにしようか」
たったの5分で出てきたラーメンを啜り、俺達は次来る客の邪魔にならないように店を出て、話の続きはする事なく各々の家へと帰っていった。
ここからは俺達の仕事はなく、戦闘に特化した夜勤の人達の仕事である。
「やっほーひすいきゅん♡来週の水曜日空いてる?良かったらさ~呑みに行かない?」
「お誘いありがとうございます鳩山先輩。申し訳ないんですが、来週は特別任務を任されてしまいまして、ザナに行く事になったんです。なので、行けないです」
「ええぇぇ~特別任務~?なんで翡翠君が?」
「聞いてないのか?門番の中では話題になってるぞ。翡翠がナチュレの王族だったって」
少し遅れて事務室に入ってくるスキンヘッドのナイスガイ里見先輩。誰が噂として流したのだろうか。
「えっ!?なの!?翡翠きゅん王子様なの!?じゃあ、結婚したら私はお姫様・・・」
「ないから安心しな」
「あ゛?」
「あはは・・・お疲れ様でした」
喧嘩が始まる前に喧嘩の種はさっさと出て行こう。翡翠は足音を立てないように事務室から出て、外で待っていたモネさんとリリの2人と合流した。
「ねえ、ヒスイ!今日のご飯はなに?」
「そうねぇ、今日は魔物が多くて疲れたから、ガッツリ食べたいわ」
「も~。モネに聞いてないよ~」
「そうだな・・・シャープ誘ってラーメンでも食べに行こうか」
「ラーメン!良いね!」
「アンタも料理作る体力が残ってない感じ?」
「いや、近くに新しいラーメン屋ができたってシャープが言ってたのを思い出しただけだよ。ちょっと待ってて。電話してくるから」
ちなみに今日シャープは非番である。先輩達の復職と、後輩達が入ってきた事によって、俺達のシフトはバラバラになる事が増えてきてしまった。
それでもたまに一緒になる事があるが、半年以上一緒に仕事してきた仲間とバラバラで仕事するというのは少し寂しい気持ちになる。
まあ、近くに住んでるからその寂しさもあまり気にならないのだが。
シャープはすぐに俺の電話に出て、現地集合する旨を伝えて、門を離れる。
門周辺の荒野を歩き、異門町に入る。道を歩いているのは仕事帰りの社会人のみ。不審者などは歩いていない。
余談であるが、異門町の犯罪率は非常に低い。魔物が現れる門から1番近い町だからと言われている。
その為、門という危険が近くにあっても、家賃が安くて犯罪率が低いこの町に引っ越してくる人が多くいるのだ。
だから、俺達も絶対に魔物を門を囲む壁から外へは絶対に出しては行けないという使命感に駆られる。
「ええと、シャープのマンションから真っ直ぐ100m先だから・・・・あ!あれか」
真っ暗な町にポツンと光る一軒のラーメン屋。暖簾には『もののけ』と書いている。魔物に襲われる町だからこの名前にしたのだろう。
「おーい!みんなー待ってたよー!!」
店前には既にシャープが財布を持って立っていた。寝癖が治っていないことから、1日中家にいた事が分かる。
「ここのミソラーメン、すっごく美味しいんだよね~!」
「じゃあ、アタシはミソにする。あと、麺大盛り。替え玉も勿論する」
「お塩はあるかな?お塩のラーメン!」
「悩むのはいいけど、店に入ってからにしない?店主が俺らが入ってくるか見極めてるからさ」
外で悩むよりも、メニュー表がある店内で悩もうという事で店に入る。
入店すると、大将が軽く会釈。無言系の店主のようだ。
メニューは壁貼りされている。『味噌ラーメン』、『塩ラーメン』、『醤油ラーメン』の3つしか書かれていない。チャーハンはやっていないようだ。あと、ライスも。
「僕ミソ!」
「じゃあ、俺も味噌で!」
「アタシは味噌大盛り」
「わたしはお塩のラーメンで!」
「・・・はいよ」
不愛想な返事をする大将。他にも客が来ており、そのほとんどがサラリーマンだ。そのほとんどが会話をしているので私語厳禁の店ではない模様。なので俺達も話す事にした。
「シャープはもう聞いた?主任からの特別任務」
「うん!聞いた聞いた!いやぁ~~1年1か月ぶりのザナはちょっと楽しみだね~~!」
「わたしはそこまで楽しみじゃないかなー。1か月前までいたわけだし」
「アタシは最悪。だってあのクソエルフのクソ国家に行くんでしょ?行く前からイライラが止まんないんですけど」
楽しみにしている者もいれば、特に特別な感情が無い者、そして、行く前からテンションが駄々下がりの者までいる。まあ、モネさんに関しては種族的な問題からして仕方がないだろう。でも、強制ではなかったはず。それなのにどうしてついてくる事にしたのだろうか。
「アタシが行かなかったせいで死なれたら困るからに決まってるからじゃない!それに、なんか仲間外れにされそうで嫌だし」
本能故の嫌悪に勝ったというわけか。つまりは俺達の友情の勝ちというわけだ。
「ヒスイは楽しみ?初めてのザナ」
「行く場所はつい数か月前に戦った国だけどね」
「そうだね。モネさんが言いたい事は何となくわかるよ。複雑な気持ちではあるね。でも、不思議と行きたいって思ってる自分がいるんだ」
「それはどうして?」
「多分だけど、俺の母さんの故郷だからかな?」
母の顔を見たこともなければ、どんな人なのかもわからない。もしかしたら、故郷に行ったら何か分かるかもしれない。そんな淡い希望を抱いているのだろうか、自分は。
「お待ちどうさん」
「あ、早い。話は食べてからにしようか」
たったの5分で出てきたラーメンを啜り、俺達は次来る客の邪魔にならないように店を出て、話の続きはする事なく各々の家へと帰っていった。
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