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3章 異世界旅行録
31話 人探し
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「これ以降の予定は何かあるの?」
「いえ、もうヒスイ様にやってもらう事はございませんね」
「あっそ。それじゃあ、ヒスイが起きたらここからさっさとずらかりましょ」
「はい!待ったぁ!!」
ヒスイの用事が終わったのなら、もうここにいる意味はない。そう思って発言したのだが、シャープが待ったをかけてきた。
「何?ハーフドワーフのアタシ的にはもう帰りたいんですけど!すっごい居心地悪いし!!」
「その前にやることがあるでしょうが!忘れてたの?僕達がヒスイについてきた目的を!」
「・・・・・・勿論覚えているわ」
「今の間は何!?」
モネが忘れていたのは昨日のパーティーを意外にも楽しんでいたからである。
忘れられがちだが、本来門番仲間3人が来る予定はなかった。僕らが同行することになった理由は、主任から任された2つの任務を遂行するためだ。
改めて確認させてもらうと、1つは門を使わない別世界への移動方法。もう1つは行方不明の門番を探す事の2つ。
移動方法の件はシュエリーヌ王女と特に仲の良さそうなヒスイに任せておくとして、僕達は行方不明の隊員を探さなくては。
僕達がヒスイに同行してきた理由を、シュエリーヌ王女に説明。成る程と頷く王女。
この国を約半年前からつい昨日まで治めていた人が協力してくれると非常に助かるのだが・・・。
「事情は理解できたのですが、私ではお力になれそうにありません。他国と比べたらナチュレは小さいですが、それでも全てを把握できるわけではありませんので」
王女といえど、やはり人間。全ての人間を把握しているわけではない。少し無茶なお願いだったろうか・・・。
「私よりも、酒場の方に聞いたら良いのではないでしょうか?城にこもってばかりの私よりもナチュレの事情を知っていると思われますよ」
失念していた。つい一昨日酒場に行ったばかりなのに。
「それじゃあ、朝食を食べ終わったら少し2人と行ってきます。ヒスイの事をよろしくおねがいします」
「はい♪それはもうしっかりと♪」
守りますよ・・・と言葉を続けて欲しかったなぁ・・・また、ちょっとリリックの魔力が漏れてきてるからやめてほしいな・・・。
「リリック、どうする?のこるか?」
「・・・・・・ううん、大丈夫!2人に任せておくわけにはいかないし!でも、一回部屋に戻って色々と準備しなきゃ」
城を出て、城下町に出るのは今決まった事。既に主任からの特別任務をこなすつもりだった僕はともかく、2人はまだ寝巻きである。
「それじゃあ、僕、先に城前で待ってるから!」
「「おーけー」」
真面目枠かつ、癖ありを僕達をまとめるヒスイがいない状況で果たして問題を起こさずに任務をこなす事ができるだろうか。
まだ始まっていないのにお腹が痛い。
★
10数分後、僕とモネさんとリリックは特別客室・・・ではなく、ナチュレの城下町を歩き回っていた。
手の平に懐中時計型の魔力探知機を乗せて。
「ヒスイに黙って借りてきちゃったけど、大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ。アイツにじゃなくて、主任がアタシ達に託した物なんだから」
ヒスイに予め小型魔力探知機を入れている場所を聞いていて良かった。
ただ、主任に聞いたところ、手の平の魔力探知機は試作品。従来の魔力探知機と遜色ない性能を発揮できない可能性がある。
探知機だけでなく、自分の目や耳から得られる情報も大事にしよう。
「もし、そこの方。ここら辺で1番おっきな酒場は何処か教えてくださる?」
「あ゛?」
明らかに声をかけちゃいけない雰囲気のエルフに酒場の場所を聞くリリック。肩には入れ墨、右耳は欠けている。何故そんな人に話しかけたの!?
ナイフのように鋭い目つきでリリックを睨みつけるチンピラエルフ。このまま喧嘩に発展する前に止めなければ─────。
「1番デケェ酒場なら、今オレが向いてる方向を真っ直ぐ行ったらあるぞ」
うん、見た目で判断してごめん。すっごい良い人だったよ。
「でも、アンタらどうせ酒が目当てじゃないだろ?」
風貌で分かったのだろうか。チンピラ風のエルフは俺達の目的が酒じゃないと見抜いていた。
「その様子だと、探し物か人探しとみた」
「・・・察しが良くてありがたいです。大きな酒場じゃあまり情報を得られませんか?」
「オレが勧めた酒場は店主も料理の配膳をするくらい忙しい店だからな。店主は噂話に耳を傾けてる暇なんてないのさ」
「じゃあ、何処に行けば良いってのよ」
「落ち着けハーフドワーフ。オレが働いてる[ニルヴァーナのキス]に来な。オレの雇い主は全て知ってる」
「・・・分かったけど、変な事したらただじゃ済まさないからね?」
「オレらはしない。客は何するか・・・分からないけどな」
まんまとチンピラ風のエルフの集客手口にハメられたような気がする。
けど、一言の情報でも今欲しい僕らは、渋々チンピラ風のエルフの後をついて行く事にした。
「いえ、もうヒスイ様にやってもらう事はございませんね」
「あっそ。それじゃあ、ヒスイが起きたらここからさっさとずらかりましょ」
「はい!待ったぁ!!」
ヒスイの用事が終わったのなら、もうここにいる意味はない。そう思って発言したのだが、シャープが待ったをかけてきた。
「何?ハーフドワーフのアタシ的にはもう帰りたいんですけど!すっごい居心地悪いし!!」
「その前にやることがあるでしょうが!忘れてたの?僕達がヒスイについてきた目的を!」
「・・・・・・勿論覚えているわ」
「今の間は何!?」
モネが忘れていたのは昨日のパーティーを意外にも楽しんでいたからである。
忘れられがちだが、本来門番仲間3人が来る予定はなかった。僕らが同行することになった理由は、主任から任された2つの任務を遂行するためだ。
改めて確認させてもらうと、1つは門を使わない別世界への移動方法。もう1つは行方不明の門番を探す事の2つ。
移動方法の件はシュエリーヌ王女と特に仲の良さそうなヒスイに任せておくとして、僕達は行方不明の隊員を探さなくては。
僕達がヒスイに同行してきた理由を、シュエリーヌ王女に説明。成る程と頷く王女。
この国を約半年前からつい昨日まで治めていた人が協力してくれると非常に助かるのだが・・・。
「事情は理解できたのですが、私ではお力になれそうにありません。他国と比べたらナチュレは小さいですが、それでも全てを把握できるわけではありませんので」
王女といえど、やはり人間。全ての人間を把握しているわけではない。少し無茶なお願いだったろうか・・・。
「私よりも、酒場の方に聞いたら良いのではないでしょうか?城にこもってばかりの私よりもナチュレの事情を知っていると思われますよ」
失念していた。つい一昨日酒場に行ったばかりなのに。
「それじゃあ、朝食を食べ終わったら少し2人と行ってきます。ヒスイの事をよろしくおねがいします」
「はい♪それはもうしっかりと♪」
守りますよ・・・と言葉を続けて欲しかったなぁ・・・また、ちょっとリリックの魔力が漏れてきてるからやめてほしいな・・・。
「リリック、どうする?のこるか?」
「・・・・・・ううん、大丈夫!2人に任せておくわけにはいかないし!でも、一回部屋に戻って色々と準備しなきゃ」
城を出て、城下町に出るのは今決まった事。既に主任からの特別任務をこなすつもりだった僕はともかく、2人はまだ寝巻きである。
「それじゃあ、僕、先に城前で待ってるから!」
「「おーけー」」
真面目枠かつ、癖ありを僕達をまとめるヒスイがいない状況で果たして問題を起こさずに任務をこなす事ができるだろうか。
まだ始まっていないのにお腹が痛い。
★
10数分後、僕とモネさんとリリックは特別客室・・・ではなく、ナチュレの城下町を歩き回っていた。
手の平に懐中時計型の魔力探知機を乗せて。
「ヒスイに黙って借りてきちゃったけど、大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ。アイツにじゃなくて、主任がアタシ達に託した物なんだから」
ヒスイに予め小型魔力探知機を入れている場所を聞いていて良かった。
ただ、主任に聞いたところ、手の平の魔力探知機は試作品。従来の魔力探知機と遜色ない性能を発揮できない可能性がある。
探知機だけでなく、自分の目や耳から得られる情報も大事にしよう。
「もし、そこの方。ここら辺で1番おっきな酒場は何処か教えてくださる?」
「あ゛?」
明らかに声をかけちゃいけない雰囲気のエルフに酒場の場所を聞くリリック。肩には入れ墨、右耳は欠けている。何故そんな人に話しかけたの!?
ナイフのように鋭い目つきでリリックを睨みつけるチンピラエルフ。このまま喧嘩に発展する前に止めなければ─────。
「1番デケェ酒場なら、今オレが向いてる方向を真っ直ぐ行ったらあるぞ」
うん、見た目で判断してごめん。すっごい良い人だったよ。
「でも、アンタらどうせ酒が目当てじゃないだろ?」
風貌で分かったのだろうか。チンピラ風のエルフは俺達の目的が酒じゃないと見抜いていた。
「その様子だと、探し物か人探しとみた」
「・・・察しが良くてありがたいです。大きな酒場じゃあまり情報を得られませんか?」
「オレが勧めた酒場は店主も料理の配膳をするくらい忙しい店だからな。店主は噂話に耳を傾けてる暇なんてないのさ」
「じゃあ、何処に行けば良いってのよ」
「落ち着けハーフドワーフ。オレが働いてる[ニルヴァーナのキス]に来な。オレの雇い主は全て知ってる」
「・・・分かったけど、変な事したらただじゃ済まさないからね?」
「オレらはしない。客は何するか・・・分からないけどな」
まんまとチンピラ風のエルフの集客手口にハメられたような気がする。
けど、一言の情報でも今欲しい僕らは、渋々チンピラ風のエルフの後をついて行く事にした。
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