天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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一章 悲報、国存続に必須の巫女を召喚3日目で拉致ることに

3話 国を裏切る契約

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「ここはゴルド王国。今年で建国854年の歴史の長い国さ」

「勝った!俺の国はもう2000年以上経ってるぜ」

「別にマウントを取りたいわけじゃない。ゴルドの歴史について話したいだけだよ」

「それ、俺を召喚した理由と繋がるのか?」

「無駄な話はしないよ。500年前この国に悪魔が出現した。その悪魔の力は強大で人は虫けらのように死んでいった。そんな時に救世主が現れたんだ。救世主の名前はメルグーン。ドラゴンだ」

 竜。ファンタジーの醍醐味とも言える生物。男の子なら誰もが一度は憧れる伝説の生き物だ。

「メルグーンは圧倒的な力で悪魔を退治し、ゴルドには平和が訪れ、メルグーンは英雄となった」

 よくある神話。ハッピーエンドのように聞こえるが、フェイの表情はとても暗い。

「英雄となったメルグーンはゴルドの民に見返りを求めたんだ。それは、30年に一度生まれる巫女を食べさせろというものだったんだ」

「巫女・・・お前じゃないよな。どう見ても男だし」

「うん。巫女は僕の妹なんだ。たった1人の家族・・・なんだ」

「攫われたのか?」

「そうさ、国にね。メルグーンは国力の象徴であり、ゴルドが繁栄できた理由でもあるからね。500年前に課せられた要求を真面目に続けているんだ。取り戻そうと頑張った結果がこの目さ。潰されたと同時に呪いをかけられてしまって治す事ができなくなってしまった」

「罰として目を潰されたわけか。道理で動きがぎこちないわけだ。先天的な盲目なら目が見えていない事を前提で動く。お前にはそれがまだできていない」

「失明してからまだ3ヶ月だからね。国に歯向かったから誰も救いの手を差し伸べてくれやしない。それでもここまで生き残っているのは頑張ってる方だと思うよ」

「だな。そんでもって俺を召喚した理由も分かってきた。妹を助けるのを諦めたくないけど、自分は目が見えないし誰も助けてくれない。それなら、異世界の人間に頼めば良いって魂胆なわけだ」

「なんだ・・・話が分かるね。助かるよ」

「賢い判断だとは思うが、拒否される可能性は考えていたのか?さっきは状況が状況だったから助けたが、事情を知った今、助けるかどうか分からないぞ」

「ああ、勿論だよ。異世界から人間を召喚する時は特定の人物を呼ぶ事はできない。厳密には呼ぶことは出来るけど、圧倒的に魔力が足りないんだ。少なくとも僕50人は必要だね。だから召喚する人の条件を1つ設けたんだ。条件1つだけなら僕1人の魔力量でもなんとかなるからね」

「その条件っていうのは?」

「勿論、僕の計画に協力的な人間さ。その条件の元人数を絞られた人達の中から無作為に1人だけ呼び出した。それが君というわけだ」

「なるほど、道理で自信満々なわけだ」

「これがラストチャンスだからね。計画は徹底的に練るさ。それで?僕に協力してくれるかい?」

「・・・聞く必要あるか?知っているのに」

「一応ね」

「・・・場所を言え、協力してやる。その代わり、絶対に俺を元の世界に返せよな」

「ああ、約束するよ。よろしくね、ライタ」

 こうして雷太は妹の為なら故郷をも裏切る男、フェイの協力者になるのだった。
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