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一章 悲報、国存続に必須の巫女を召喚3日目で拉致ることに
20話 食料なし、知識なし
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次の日、早朝。フェイの亡骸を担ぎながら人の集落を探していた。簡易的でも良いから彼を埋葬する為の道具を借りる為だ。
フェイの妹曰く、人間の死体をそのまま放置しておくとゾンビ化するらしい。流石に友人がゾンビとなって他の人を襲わせたくはないので、亡骸を運びながら集落を探している。
肝心のフェイの妹はと言うと、早朝からずっと明後日の方向を向いており、俺と会話どころか言葉を一言すら話さない。完全に生きる気力を失ってしまっている。
一応俺の事を認識はしているようで覚束ない足取りながら俺について来てくれている。
「くそっ、馬さえ使えればな・・・」
朝起きたら馬はいなくなっていた。元の世界で聞いた話だが、馬という動物は帰巣本能が非常に高い動物らしい。自分の巣・・・つまり王都に帰ったわけだ。
そして帰っている途中に追手に馬が見つかり場所が特定される。最悪のパターンを予期した雷太は馬がいなくなった事を理解するやいなやその場を去った。
そして歩く事2時間。昨日から何も食べていない事もあいまって、今にも倒れそうである。俺よりもやばいのがフェイの妹だ。既に体力の限界なのだろうか、振り子のように揺れながらなんとか歩いている状態。
「こりゃあ、まずい・・・」
俺もいよいよフェイの重みに耐えられなくなってきた時であった。俺らの者ではない足音が聴こえてきた。
一瞬、追手かと思って警戒心を強めたが、甲冑特有の金属音は聞こえず、普通に落ち葉を踏みしめた時の音が聴こえてくる。
足音はどんどん俺らの方へと近づいて、数秒後には足音の正体が俺達の前に現れた。
「あれ?あんた旅の人か?」
現れたのは麦わら帽子を被り、斧を肩に担いだ俺と同い年くらいの男。目を丸くして驚いている様子と、斧をこちらに向けていない事から敵意はないみたいだ。
「アンタの連れの女の人今にも死にそうな顔してるし、何ならアンタが背負ってる男の人は死んでねぇか?」
既に死んでからかなりの時間が経っている為か、フェイの亡骸の腐敗が進んできてしまっている。意識朦朧で気づかなかったが、かなりのにおっているのだろう。
ここで、本当の事を言うわけにはいかないので必然的に嘘をつかなければいけないのだが、かなり難易度が高い。
何せ俺にはこの世界の知識がまるでないので、下手に嘘をついても怪しまれてしまう。さて、どうしたものk────────。
「もしかして、あんたもゴブリンに襲われたのか?」
「・・・・・・ああ、そうなんだ。食料が尽きて困っていた所を襲われて。友達が────」
「嗚呼、可哀想に・・・おらの村に来い。飯なら食わせてやる」
・・・助かった。色んな意味で
フェイの妹曰く、人間の死体をそのまま放置しておくとゾンビ化するらしい。流石に友人がゾンビとなって他の人を襲わせたくはないので、亡骸を運びながら集落を探している。
肝心のフェイの妹はと言うと、早朝からずっと明後日の方向を向いており、俺と会話どころか言葉を一言すら話さない。完全に生きる気力を失ってしまっている。
一応俺の事を認識はしているようで覚束ない足取りながら俺について来てくれている。
「くそっ、馬さえ使えればな・・・」
朝起きたら馬はいなくなっていた。元の世界で聞いた話だが、馬という動物は帰巣本能が非常に高い動物らしい。自分の巣・・・つまり王都に帰ったわけだ。
そして帰っている途中に追手に馬が見つかり場所が特定される。最悪のパターンを予期した雷太は馬がいなくなった事を理解するやいなやその場を去った。
そして歩く事2時間。昨日から何も食べていない事もあいまって、今にも倒れそうである。俺よりもやばいのがフェイの妹だ。既に体力の限界なのだろうか、振り子のように揺れながらなんとか歩いている状態。
「こりゃあ、まずい・・・」
俺もいよいよフェイの重みに耐えられなくなってきた時であった。俺らの者ではない足音が聴こえてきた。
一瞬、追手かと思って警戒心を強めたが、甲冑特有の金属音は聞こえず、普通に落ち葉を踏みしめた時の音が聴こえてくる。
足音はどんどん俺らの方へと近づいて、数秒後には足音の正体が俺達の前に現れた。
「あれ?あんた旅の人か?」
現れたのは麦わら帽子を被り、斧を肩に担いだ俺と同い年くらいの男。目を丸くして驚いている様子と、斧をこちらに向けていない事から敵意はないみたいだ。
「アンタの連れの女の人今にも死にそうな顔してるし、何ならアンタが背負ってる男の人は死んでねぇか?」
既に死んでからかなりの時間が経っている為か、フェイの亡骸の腐敗が進んできてしまっている。意識朦朧で気づかなかったが、かなりのにおっているのだろう。
ここで、本当の事を言うわけにはいかないので必然的に嘘をつかなければいけないのだが、かなり難易度が高い。
何せ俺にはこの世界の知識がまるでないので、下手に嘘をついても怪しまれてしまう。さて、どうしたものk────────。
「もしかして、あんたもゴブリンに襲われたのか?」
「・・・・・・ああ、そうなんだ。食料が尽きて困っていた所を襲われて。友達が────」
「嗚呼、可哀想に・・・おらの村に来い。飯なら食わせてやる」
・・・助かった。色んな意味で
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