天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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二章 漂流先は獣の国

42話 船乗りの怨念

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 次の日、俺達は荒波に襲われた。俺の世界の船とは違ってまだ技術が未発達の船であるため沈まないか不安である。

「怖いのか?異世界人」

「まあな。沈んだら確実に死ぬだろうし、怖いよ」

「い、意外とあっさり認めるんだな。恥ずかしくないのか?」

「見栄張る方が恥ずかしいだろ。こういうのは正直になるべきだよ・・・ってうぉおお!!」

 船全体が大きく揺れる。船体が傾き、目線の先にいたシャルロットが俺の方に転がってきた。

「キャアッ!!・・・今のは聞かなかったことにしろ!いいな!?」

「はいはい分かったよ。ティナは大丈夫だったか?」

「・・・頭を打ちました」

 真っ赤になった額を両手で押さえながら涙目で訴えてくるティナ。出血はしていないみたいだ。

 その後も船体が傾いている状態は3分は続いた。

「流石におかしくないか?ずっと同じ角度に傾いているぞ」

「確かに。ちょっと外を確認してくるか」

 壁を蹴り、ドアノブを掴みドアを開ける。

「ティナ、大丈夫だと思うけど見張りよろしく」

「分かりました」

「良いのか?私を1人にしたら巫女がどうなるか分からんぞ」

「お前程度ティナでも簡単に抑えられる。いけるだろ?」

「シャルロットはわたしよりも軽いので全然余裕です」

「言い方ァ!」

 シャルロットをティナに任せて階段を登る。だいぶ斜めになっていて登りづらかったが、無理矢理登って甲板に出ると、船員達が一心不乱に手すりなどにつかまって落ちないように頑張っていた。

「た、助けてくれぇ!!」「落ちる!落ちちまう!」

「おぅい!何があったんだ!?」

 必死にしがみつく船員達に聞く。

「持ち上げられてる!」「魔物に!!」

 どうやら波ではなく、魔物の仕業だったらしい。船がメキメキと音を立てている。よく見てみると、船の先頭付近が若干破壊されており、そこには大きな触手のような物が巻きついている。

 とにかくピンチを作り出している魔物を一眼見ようと、手すりに掴まりながら水中を見る。

 水の中で、船をひっくり返そうとしているのは、船ほどの大きさがある巨大なタコだった。

「デカっ!?なにあのタコは!」

「タコ!?今タコって言ったか?」

「ああ!悪口じゃないぜ!」

「分かってるわ!でかいタコならそいつは間違いなく海の大魔物クラーケンだ!一説によると、海に落とされて死んだ船乗りの魂が集まって生まれた魔物だそうだ!」

「その由来は!?」

「別に食べるわけでもないのに船を沈没させるところから来ている!ただ、最近では縄張り意識説が非常に高い!」

 1人また1人と海へと脅されていく船員達。このままだと沈没は確実。回避するには倒すしかない。

「ロープはあるか!?俺が仕留める!!」

 雷太は荒れる海にダイブする決意を固めたのであった。
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