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二章 漂流先は獣の国
61話 天才現る
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「あだっ!?」
額のお札を見ていたシャルロットが木にぶつかる。ちゃんと前方を見ていないからだ。
「シャルロット、危ないから前を見て歩け。怪我するぞ」
「ちょっと待ってろ。あと少しで終わるから・・・」
どうやらシャルロットは額のお札を読んでいるみたいだ。お札は口から発せられる言葉だけでなく、文字までも理解できるようにするのか。
「そのお札は意思疎通の魔法が込められたお札だ。荒事を解決する立場だからそういう物が必要になるんだ。今回も持ってきてよかった」
「へぇ~パンジグの軍人って治安維持もやってんのね。ムサシはそれなりに偉い人なの?」
「パンジグ軍は三つに分ける事ができる。俺はそのうちの一つを任せられている将軍って立場だ」
「となると、結構偉い立場の人間なのか。そんなヤツが来たって事は今回の件って相当やばい案件だったのな」
「だからさっきからずっと言ってんじゃないか。スケルトンジェネラルは国をも滅ぼせるやばい魔物だって。スキルを使い始めたところで倒せて本当に幸運だった」
「ふーん・・・全然そんな感じじゃなかったけどな」
「お前のスキルが馬鹿みたいに強いだけだ。やはり、異世界人の持つスキルは恐ろしいな」
「そういえば、俺の前に来た日本人って強いの?」
「いや、そこそこかな。弱くはないけど、ずば抜けて強いってわけじゃない。けど、スキルがとても魅力的なんだ」
「ふーん」
「・・・スキル気にならないのか?」
「別に。その言い方だと有能だけど戦闘向きのスキルじゃないんだろ?なら聞かなくても良いかなって」
「あっそ・・・お前、変わってるな」
「そうか?・・・そうかも」
他愛もない話が続く。シャルロットが会話に入ってこないので何をやっているのか見てみると、ちょうど額のお札を剥がそうとしていた。
「待て待て待て、それ剥がしたら効果が無くなるんだって。高いくせに使い切りタイプのぼったくりお札なんだって」
「シャルロット~?良い子だからそのお札から手を離しなさい?後で飴ちゃん買ってあげるから」
「問題ない」
剥がし残しがないように勢いよく剥がす。すると、お札は燃えて灰になってしまった。
「Übersetzung」
シャルロットがそう唱えると、彼女の体がほんの一瞬だけほんのりと光る。
「貴公ムサシと言ったか?私の言葉、通じているか?」
「えっ!?あ、ああ通じているよ。もしかしてあんたあの札を読んで妖術を理解したのか!?」
「ああ、まるで不純物を取り除いた水のように頭に入って行ったよ。魔法というのは意外と簡単だな」
「て、天才だ・・・」
やはり、魔力を義手と義足を動かすのに使うのは才能の無駄遣いだったみたいだ。
額のお札を見ていたシャルロットが木にぶつかる。ちゃんと前方を見ていないからだ。
「シャルロット、危ないから前を見て歩け。怪我するぞ」
「ちょっと待ってろ。あと少しで終わるから・・・」
どうやらシャルロットは額のお札を読んでいるみたいだ。お札は口から発せられる言葉だけでなく、文字までも理解できるようにするのか。
「そのお札は意思疎通の魔法が込められたお札だ。荒事を解決する立場だからそういう物が必要になるんだ。今回も持ってきてよかった」
「へぇ~パンジグの軍人って治安維持もやってんのね。ムサシはそれなりに偉い人なの?」
「パンジグ軍は三つに分ける事ができる。俺はそのうちの一つを任せられている将軍って立場だ」
「となると、結構偉い立場の人間なのか。そんなヤツが来たって事は今回の件って相当やばい案件だったのな」
「だからさっきからずっと言ってんじゃないか。スケルトンジェネラルは国をも滅ぼせるやばい魔物だって。スキルを使い始めたところで倒せて本当に幸運だった」
「ふーん・・・全然そんな感じじゃなかったけどな」
「お前のスキルが馬鹿みたいに強いだけだ。やはり、異世界人の持つスキルは恐ろしいな」
「そういえば、俺の前に来た日本人って強いの?」
「いや、そこそこかな。弱くはないけど、ずば抜けて強いってわけじゃない。けど、スキルがとても魅力的なんだ」
「ふーん」
「・・・スキル気にならないのか?」
「別に。その言い方だと有能だけど戦闘向きのスキルじゃないんだろ?なら聞かなくても良いかなって」
「あっそ・・・お前、変わってるな」
「そうか?・・・そうかも」
他愛もない話が続く。シャルロットが会話に入ってこないので何をやっているのか見てみると、ちょうど額のお札を剥がそうとしていた。
「待て待て待て、それ剥がしたら効果が無くなるんだって。高いくせに使い切りタイプのぼったくりお札なんだって」
「シャルロット~?良い子だからそのお札から手を離しなさい?後で飴ちゃん買ってあげるから」
「問題ない」
剥がし残しがないように勢いよく剥がす。すると、お札は燃えて灰になってしまった。
「Übersetzung」
シャルロットがそう唱えると、彼女の体がほんの一瞬だけほんのりと光る。
「貴公ムサシと言ったか?私の言葉、通じているか?」
「えっ!?あ、ああ通じているよ。もしかしてあんたあの札を読んで妖術を理解したのか!?」
「ああ、まるで不純物を取り除いた水のように頭に入って行ったよ。魔法というのは意外と簡単だな」
「て、天才だ・・・」
やはり、魔力を義手と義足を動かすのに使うのは才能の無駄遣いだったみたいだ。
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