天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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二章 漂流先は獣の国

62話 暖かい国

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 歩く事2時間。途中かまいたちや河童などの見覚えのある魔物達に遭遇してしまうアクシデントに見舞われてしまうものの、3人は無事に城下町に到着した。

 無類の強さを誇る雷太と将軍であるムサシがいるのに、心配する必要があるのかと思われてしまうが、実は必要ある。その理由がシャルロットの存在だ。

 鎧を着ないと戦うどころか、魔物の前にロクに立つ事ができないみたいで、魔物との戦闘時はいつも命を狙われた。

 幸い、残りの2人が強すぎたこともあったので死ぬことはなかったが、いなかったら普通に死んでいただろう。

「ハァ・・・ハァ・・・つ、疲れた」

「途中から俺におんぶされてたらヤツが何言ってんだ・・・まあ良いや。にしてもここが城下町か」

 城下町は平屋で構成されており、町を練り歩く人達は活気に溢れている。姿こそ二足歩行になった動物そのものだが、立ち振る舞い、着物の着こなしは完全に日本人だった。

「どうだ?容姿は違うが、お前が住んでいた町そのものだろう?」

「いや、少し昔の日本っぽいな」

「ふぅむ・・・それじゃあこれからもっとパンジグは発展する余地があるという事か。発展の余地があると言うのは嬉しい事だな」

 街並み的に江戸時代を彷彿とさせるパンジグ城の城下町は、人がとても生き生きしている。

 商人は声をあげて商品をアピールしているし、農家は自分の作った野菜を我が子のように自慢している。子供達は鬼ごっこで遊んでいるなど、とにかく明るい。

 自分の故郷ではないものの、シンパシーのようなものを感じているからか、見ていてとてもホッコリする。

「・・・楽しそう」

 俺の背中に乗っているシャルロットが呟く。

「ゴルムの子供達はこんなに明るくない。親の言うとおりにしか生きる事ができない。裕福な生まれだった私ですら、毎日勉強の日々で、友達なんてできた試しがなかった」

 シャルロットの口からゴルムの内情が語られる。彼女の目を見ると、とても羨ましそうに遊んでいるパンジグの子供達を見つめていた。

「私もここに生まれたかった・・・」

「この国の者としてそう言ってもらえるのはありがたい。俺的パンジグの魅力はまだまだあるんだが、それを伝えるのはまた今度にして俺の行きつけの服屋へ向かおう」

 ムサシの行きつけだと言う服屋に向かうと、店主はムサシに深々と頭を下げる。

「とりあえず彼らにあった服が欲しい。ついでに彼らの今きている服を綺麗にしてくれないか?」

「貴方様のご要望であれば最優先でさせていただきます」

 歩くごとにムサシに町民が話しかけていたところから察してはいたものの、彼はかなり慕われているようだ。

「では、こちらをどうぞ。お嬢ちゃんにはこれを」

「誰がお嬢ちゃんだ!!」

 店主が笑顔で渡したのは子供用の着物っだった?
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