天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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二章 漂流先は獣の国

66話 強者対強者

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 連れてこられたのは訓練場。そこにはシャルロットもいて、西洋剣を模した木で、カカシを斬りつけるトレーニングをしていた。

「真面目にやってるな、シャルロット!」

「はぁ・・・はぁ・・・これでも騎士だからな!毎日の鍛錬は怠っていない!」

 騎士という道を諦めきれない所から察してはいたが、彼女はかなりの努力家みたいだ。しかし、剣を振っていると言うより剣に体が振られているような形になっており、意味がないものとなってしまっている。

「シャルロット、それだと・・・」

「わかっている!私だってこれではダメだと理解している!しかし、私にはこれしかできないんだよ・・・!!」

 シャルロットの目を見ると涙目になっている。剣に関しては素人の俺は何も言う事ができなかった。

「・・・なあ、ムサシ。俺はシャルロットになんてアドバイスすればいいと思う?」

「必要ない。俺が後でしておこう」

 きっぱりと言い切った姿に安心感を覚えた所で、約束していたムサシとの試合の為に木製の柵で囲まれた簡易的な決闘場へと足を運ぶ。

 ムサシは木刀へと持ち変える。

「父上!頑張ってください!!」

「ムサシ将軍が全力で試合するぞ!」「相手はスケルトンジェネラルを倒した武道家だと!」「こりゃあ面白くなるぞ、賭けをしよう!賭けを!」

 周りで訓練していた兵士や侍達がギャラリーになる。ムサシが支持されているという事もあってかたった1分で100人以上もの人が集まった。

「人が多いな、緊張するか?雷太」

「いや、慣れてるから心配しなくて良いぜ。誰か合図頼む!」

「それじゃあ、俺が!両者見合って・・・始めぃ!!」

 掛け声と共に雷太の拳とムサシの木刀がぶつかり合う。雷太の拳の威力を知っているムサシは、拳の威力を殺す事で木刀が壊れる事を回避したみたいだ。

「ぬんっ!」

 押し合いは体格差もあってムサシの勝利。体勢を崩した雷太に追撃するも、足裏で白刃どりされてしまう。

「即座の判断力も素晴らしいな。さぞ、名のある武術家だったんだろうなっ!!」

「まあなぁ!!」

 雷太の拳とムサシの木刀がぶつかり合う。いなす事で木刀の破壊を免れていたものの、連撃に耐える事ができずに木刀は壊れてしまう。

 壊れた拍子にムサシの体は吹き飛ばし、大きな隙ができる。雷太はその隙を逃さず、追撃する。

「はぁっ!!」

 しかし、雷太が破壊したのは柵だった。おかしい。拳がぶつかる寸前までそこにいたのに。一体どこにいるんだ?

「後ろだ」

 ムサシの声が後ろから聞こえる。ムサシはいつのまにか背後にまわっていた。

 油断していない雷太の背後を取る行為、もちろんタネはある。彼のスキル『緊急回避』だ。危機が訪れた時に発動可能で、攻撃を避けて背後を取る事ができるスキルである。

 雷太は驚異的な反射神経ですぐさま振り返り、殴りかかってくるムサシの腕を掴み、押し合いにまでもつれ込んだ。

「やるな・・・!!」

「お前こそな・・・!」

 勝負は激しさを極め、ギャラリーの興奮は最高潮まで到達。もうどちらが勝っても文句なしと言った状態になったその時であった。

「た、助けてくれぇぇぇぇ!!」

 訓練場に助けを呼ぶ声が響き渡った。
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