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二章 漂流先は獣の国
77話 さようならパンジグ。こんにちは────
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次の日、雷太とシャルロットはムサシによって起こされる。
起こされ、向かわされたのは城ではなく馬車だった。馬車の近くにはトラコも居て、2人に文字が書かれた羊皮紙を渡す。
「こちらがコンパスへと渡るビザです」
開いてみると、それは英語だった。コンパスの公用語は英語なのか。
「因みに何語って言うんです?」
「コンパス語と言います。元の世界にも似たような言葉があると聞いたのですが、雷太さんは喋れるんですか?」
「ええ、俺の世界では世界共通語だったので日常会話ならなんとか」
コンパス語・・・という事はイギリスにあたる国か。飯は期待できなさそうだ。
「騎士シャルロット。君にこれをあげよう」
ムサシによって手渡されたのは辞書並みに分厚い本だった。表紙の文字はゴルム語で書かれており、『基礎魔法の全て』と書いてある。
「ゴルム語の書籍がたまたま見つかったので君に送る。これは俺からの一方的な贈り物だ。どう使おうが構わない」
「・・・ありがたくいただこう。感謝するムサシ殿」
用意してもらった馬車に乗り込み、馬車から顔をだす。
「こちらで見つけ次第連絡します。方法は状況に応じて変更しますのでよろしくお願いします」
「何から何までありがとうございます。みなさん、お元気で!」
馬車が動き出す。落ちないように雷太は馬車の中に戻り、座席に座る。シャルロットはムサシからもらった魔法の本を熱心に読んでいる。
「この数日で、自分がどれだけ無力で役立たずかを理解した。そして、騎士として戦えないことより守りたい者を守れないことが何よりも辛いという事を理解した」
「そうか。じゃあ、魔法使いを目指すのか?」
「ああ、でも諦めないぞ。騎士になる事は決して諦めない」
シャルロットは雷太の方を向く。彼女の凛々しくも少し逞しくなった表情を見て雷太は思わず笑みを浮かべる。
「この数日で顔つきが変わったな。そういう表情俺は好きだぜ」
「褒めても何も出ないぞ」
馬車に揺られる事数時間。いきなり馬車が止まる。耳を澄ますと人の声が聞こえる。どうやらコンパス国との関所に到着したみたいだ。
馬車を操作してくれていた御者が顔をだす。長時間だったからか、御者の顔は鳥の顔をしているというのにはっきりとわかるほど真っ青だった。
「さ、さあ着きましたぜ。お二人共、どうかご無事で!!」
御者の言葉遣いに違和感を覚えながらも馬車から出る。すると御者の態度の理由がすぐに理解できる光景が広がっていた。
「見つけたぞ、巫女はどこにやった?」
ゴルムからの追っ手が馬車を囲んでいた。
起こされ、向かわされたのは城ではなく馬車だった。馬車の近くにはトラコも居て、2人に文字が書かれた羊皮紙を渡す。
「こちらがコンパスへと渡るビザです」
開いてみると、それは英語だった。コンパスの公用語は英語なのか。
「因みに何語って言うんです?」
「コンパス語と言います。元の世界にも似たような言葉があると聞いたのですが、雷太さんは喋れるんですか?」
「ええ、俺の世界では世界共通語だったので日常会話ならなんとか」
コンパス語・・・という事はイギリスにあたる国か。飯は期待できなさそうだ。
「騎士シャルロット。君にこれをあげよう」
ムサシによって手渡されたのは辞書並みに分厚い本だった。表紙の文字はゴルム語で書かれており、『基礎魔法の全て』と書いてある。
「ゴルム語の書籍がたまたま見つかったので君に送る。これは俺からの一方的な贈り物だ。どう使おうが構わない」
「・・・ありがたくいただこう。感謝するムサシ殿」
用意してもらった馬車に乗り込み、馬車から顔をだす。
「こちらで見つけ次第連絡します。方法は状況に応じて変更しますのでよろしくお願いします」
「何から何までありがとうございます。みなさん、お元気で!」
馬車が動き出す。落ちないように雷太は馬車の中に戻り、座席に座る。シャルロットはムサシからもらった魔法の本を熱心に読んでいる。
「この数日で、自分がどれだけ無力で役立たずかを理解した。そして、騎士として戦えないことより守りたい者を守れないことが何よりも辛いという事を理解した」
「そうか。じゃあ、魔法使いを目指すのか?」
「ああ、でも諦めないぞ。騎士になる事は決して諦めない」
シャルロットは雷太の方を向く。彼女の凛々しくも少し逞しくなった表情を見て雷太は思わず笑みを浮かべる。
「この数日で顔つきが変わったな。そういう表情俺は好きだぜ」
「褒めても何も出ないぞ」
馬車に揺られる事数時間。いきなり馬車が止まる。耳を澄ますと人の声が聞こえる。どうやらコンパス国との関所に到着したみたいだ。
馬車を操作してくれていた御者が顔をだす。長時間だったからか、御者の顔は鳥の顔をしているというのにはっきりとわかるほど真っ青だった。
「さ、さあ着きましたぜ。お二人共、どうかご無事で!!」
御者の言葉遣いに違和感を覚えながらも馬車から出る。すると御者の態度の理由がすぐに理解できる光景が広がっていた。
「見つけたぞ、巫女はどこにやった?」
ゴルムからの追っ手が馬車を囲んでいた。
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