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三章 辿り着いた先は闇
91話 囮作戦
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人攫いは夕方の港町周辺で行われる。雷太とシャルロットはトリスの住民の力を借りて囮作戦の準備を整えた。
準備をしたと言っても準備をしたのは囮になるシャルロット。顔と体格に見合わない騎士のような見た目から、容姿にあったシンプルながらも可愛らしい服装に着替えて普通の少女を演じる事となったのだ。
童話の赤ずきんちゃんを彷彿とさせる見た目で、身長もあいまって10歳くらいの少女に見える。
「は、恥ずかしい・・・22歳にもなってこんな格好をするなんて・・・」
「囮作戦を立案したのに、何を今更恥ずかしがってんだよ。似合ってるぞ」
「当たり前だ!私のような美人に似合わない服などあるわけがなかろう?」
本当に美形なので、ツッコめないのが癪に障る。
「それじゃあ俺が考えた設定を言うぞ。怪しまれないように完璧に覚えろ?良いな?」
囮作戦の詳細な設定は船長さんが行う。なんでも昔は小説家を目指していたらしい。意外だ。
「コローム村で一人暮らしをしているおじいちゃんに会う為にワインとチーズを持っていくおじいちゃんっ子だ。覚えたか?」
設定まで赤ずきんちゃんに似通っている。後は赤い頭巾さえあればほぼ完璧な赤ずきんちゃんだ。
太陽は沈み、空がオレンジ色に染まる。落陽が始まった瞬間、変装したシャルロットはこローム村に向かって歩き始める。
その後を追うのは俺1人。あまりにも人が多すぎると人攫いにバレてしまう可能性があるからだ。
今回の囮作戦は、人攫いを捕まえて居場所を吐かせるのではなく、囮を攫わせてその跡を追うという作戦だ。
シャルロットから500m離れた地点で見守っていると、彼女に近づく複数の影が闇夜に紛れて現れる。
複数の影は足音を殺しながらシャルロットに近づくと、彼女を捕縛し、睡眠魔法をかける。
攫われると覚悟の上だとしても驚いたシャルロットは睡眠魔法をまともに喰らってしまい、そのまま眠りに落ちてしまった。
ガシャン!とワインの瓶が割れる音が辺りに響く。人攫いは周りに人がいない事を確認すると、シャルロットを麻袋に入れてそそくさと逃げていった。
俺が500m先で監視していることも知らずに。
その後、俺は休む暇なくシャルロットを攫った人攫いを追いかけ続けた。5時間ぐらい歩いただろうか?夜中にしては明るく、そしてやけに豪華な風貌の都市が見えてきた。
人攫い達の向かっている方向は都市の方で間違いないようだ。人攫い達は正門からは入らず、都市の裏門まで回る。
バレないように後を付けると、人攫い達は全身鎧に身を包んだボディガードに守られている初老の男性と怪しい取引を行っていた。
「本日もご苦労様です。今回はどのようなお品物を?」
「暗くて顔は見えなかったが、エルフの女の子だ。歳10歳くらいだと思う」
「それはそれは・・・また高く売れそうだ。君達は本当に良い仕事をする」
初老の男こそが人攫いの親玉のようだ。様子を伺っていると、初老の男は俺のいる方向へと目線を向けてくる。
「・・・ただし、今回は少しばかりミスをしたみたいだね」
「「「え?」」」
「そこにいる君、出てきなさい。わしのスキル『夜目』が全て見ているよ」
どうやら暗い場所を見る事ができるスキルでこちらの姿が見えてしまっているようだ。
人攫いの本拠地も特定できたのでこれ以上隠れている必要もない。なのでここからは────。
「暴れるぜ・・・!」
そう呟くと雷太は指をパキパキと鳴らしながら、闇の中から人攫いの前に姿を現した。
準備をしたと言っても準備をしたのは囮になるシャルロット。顔と体格に見合わない騎士のような見た目から、容姿にあったシンプルながらも可愛らしい服装に着替えて普通の少女を演じる事となったのだ。
童話の赤ずきんちゃんを彷彿とさせる見た目で、身長もあいまって10歳くらいの少女に見える。
「は、恥ずかしい・・・22歳にもなってこんな格好をするなんて・・・」
「囮作戦を立案したのに、何を今更恥ずかしがってんだよ。似合ってるぞ」
「当たり前だ!私のような美人に似合わない服などあるわけがなかろう?」
本当に美形なので、ツッコめないのが癪に障る。
「それじゃあ俺が考えた設定を言うぞ。怪しまれないように完璧に覚えろ?良いな?」
囮作戦の詳細な設定は船長さんが行う。なんでも昔は小説家を目指していたらしい。意外だ。
「コローム村で一人暮らしをしているおじいちゃんに会う為にワインとチーズを持っていくおじいちゃんっ子だ。覚えたか?」
設定まで赤ずきんちゃんに似通っている。後は赤い頭巾さえあればほぼ完璧な赤ずきんちゃんだ。
太陽は沈み、空がオレンジ色に染まる。落陽が始まった瞬間、変装したシャルロットはこローム村に向かって歩き始める。
その後を追うのは俺1人。あまりにも人が多すぎると人攫いにバレてしまう可能性があるからだ。
今回の囮作戦は、人攫いを捕まえて居場所を吐かせるのではなく、囮を攫わせてその跡を追うという作戦だ。
シャルロットから500m離れた地点で見守っていると、彼女に近づく複数の影が闇夜に紛れて現れる。
複数の影は足音を殺しながらシャルロットに近づくと、彼女を捕縛し、睡眠魔法をかける。
攫われると覚悟の上だとしても驚いたシャルロットは睡眠魔法をまともに喰らってしまい、そのまま眠りに落ちてしまった。
ガシャン!とワインの瓶が割れる音が辺りに響く。人攫いは周りに人がいない事を確認すると、シャルロットを麻袋に入れてそそくさと逃げていった。
俺が500m先で監視していることも知らずに。
その後、俺は休む暇なくシャルロットを攫った人攫いを追いかけ続けた。5時間ぐらい歩いただろうか?夜中にしては明るく、そしてやけに豪華な風貌の都市が見えてきた。
人攫い達の向かっている方向は都市の方で間違いないようだ。人攫い達は正門からは入らず、都市の裏門まで回る。
バレないように後を付けると、人攫い達は全身鎧に身を包んだボディガードに守られている初老の男性と怪しい取引を行っていた。
「本日もご苦労様です。今回はどのようなお品物を?」
「暗くて顔は見えなかったが、エルフの女の子だ。歳10歳くらいだと思う」
「それはそれは・・・また高く売れそうだ。君達は本当に良い仕事をする」
初老の男こそが人攫いの親玉のようだ。様子を伺っていると、初老の男は俺のいる方向へと目線を向けてくる。
「・・・ただし、今回は少しばかりミスをしたみたいだね」
「「「え?」」」
「そこにいる君、出てきなさい。わしのスキル『夜目』が全て見ているよ」
どうやら暗い場所を見る事ができるスキルでこちらの姿が見えてしまっているようだ。
人攫いの本拠地も特定できたのでこれ以上隠れている必要もない。なのでここからは────。
「暴れるぜ・・・!」
そう呟くと雷太は指をパキパキと鳴らしながら、闇の中から人攫いの前に姿を現した。
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