天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

文字の大きさ
108 / 192
三章 辿り着いた先は闇

107話 光を灯す者

しおりを挟む
 一向に瓦礫が落ちてくる音が聞こえてこない。おかしいと思い立ち上がり様子を見てみると、天井は完全に崩れ、朝日が地下オークション会場を照らしていた。

 魔法の壁で俺達を守ってくれていたシャルロットは大きく口を開け驚き、ニアはホッと息をついている。

「・・・奇跡ですわ~!」

 ニアがむけている視線の方をみると、小さな人影を見つける。小さな人影は手を電球のように発光させると、その手で黒い膿に触れる。すると、黒い膿はあっという間に消え去り自由に動けるようになる。

「ジュリ!どうしてここにいるのですか!!」

「どうしてって・・・ニアさん、貴方が行方不明になってから1週間が経過しているんですよ?貴方レベルの騎士が行方不明になったら誰だって私を派遣させたくなると思いますよ?」

「1週間ー!?操られていたせいでまるで気づきませんでしたわ。という事はこれは必然というわけですか」

 現れたのは一本の剣を携えた俺と歳の近い女の子だった。ニアの知り合いと、服装からして騎士なのだろう。

「黒い膿を取り除いた力は浄化の光か?」

「はい、そうですよ。ところで、貴方達は?そちらのエルフのお子さんと、気絶している人含めてコンパス人ではないようですが・・・」

 一瞬で目が覚めてしまうような強い殺気が若い女騎士から放たれる。場面は見れていないが、天井の崩壊から俺達を守ってくれたのは彼女だろう。それに、浄化の光を持っている事からただものではない事が分かる。

 俺に殺意を向けているのも、敵意からではない警戒心からだ。俺がこの国に損害をもたらす可能性がある人物として見ているんだ。

「俺は五十嵐雷太。旅人だ。仲間が人攫いに攫われておってきたらここに着いたんだ」

「なるほど・・・・・・わかりました。信用しましょう。まだ聞きたい事はありますが、貴方に悪意がないのが見て取れます。私、人を見る目だけは確かなので!」

「買い被りすぎだ。大した人間じゃない」

「少なくとも異世界から転移してきた時点で大した人間じゃないわけがないと思うのですが」

「そうかな?・・・・・・俺、いつ異世界から来たって言った?」

「いえ、いってませんよ?推測だけで言いましたけど、当たってたみたいですね」

「ええっ!?ライタ、貴方異世界から呼ばれた人だったんですの!?全然気づきませんでしたわ!ジュリ、どうして分かったんですの!?」

「顔立ちと黒い髪からもしたかしたらそうかなって」

「確かにそう言われるとそうですわね・・・テツローと似ていますわ」

 どうやら、他の召喚者と知り合いのようだ。別に隠す必要はないだろうし、隠しても下手したら敵対するだけだ。

「俺は何をしたら良い?」

「そうですね、とりあえず着いてきてもらっても良いですか?事件の話も聞きたいですし」

「了解。ところで、アンタは何者だ?只者ではないのは確かだけど」

「すみません、申し遅れました。私の名前はジュリエット・キュレイン。一応勇者やらせてもらっています!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

処理中です...