天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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四章 一騎当千の拳

117話 ティナの決断

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「まだ合意はしていない。判断はお主達に任せよう」

「猶予は?」

「10分だ。今後の作戦会議もあるので早急に決めてほしい。人生の決断とも言える判断を短時間でさせて申し訳と思っている」

 無表情で宣告される猶予。本当に申し訳なく思っているのか甚だ疑問だ。俺はすぐさまティナの元へと近づく。

「ティナ。俺とシャルロットの事は考えなくて良い。自分が良いと思った判断を口にしてくれ。俺とシャルロットは従うまでだ」

「私の判断ですか・・・?」

 コクリと頷くとティナは立ち上がり、イリス女王に質問し始めた。

「ゴルムは私を引き合いに出しても決して和解はしないと思いますが、その場合はどうするんですか?」

「無論、戦争だ。まだ公表はしていないが、事情を知ればコンパス軍は俄然やる気を出すだろう」

「戦争にコンパスが勝ったら私達はどうなりますか?」

「晴れて自由の身だ」

「そうですか・・・質問に答えていただきありがとうございます」

 聞きたい事が聞けたティナは顎に手を添え、考え始める。

 残り時間が3分になった所で彼女は開眼し、口を動かす。

「分かりました。人質になります」

「妾が提案しておいてなんだが、本当に良いのか?極力危険な目には合わせないよう努力はするが、確実は安全保証はできんぞ?」

「覚悟の上です。それに、誰かの為になるなら本望です・・・!」

「ほう、嬉しい事をいってくれるではないか。良いだろう。それではこれより妾と其方は協力関係となる。その見返りとして其方達に衣食住を与えよう。それではこれにて謁見は終わりだ。ご苦労だった」

 謁見の間から出ると、立派な白い鬚を蓄えた執事が立っていた。

「初めましてみなさん。私の名前はビリー。今日からあなた方のお世話をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」

 ティナが人質になると決めてから約3分ほどしか経っていないのに、すでに話を理解している。どこかで話を聞いていたのだろうか?

「これからみなさまをお部屋にご案内します。急だったことも合ってあまり良い部屋とは言えませんが、十分に休める場所となっておりますのでどうぞご安心を。衣服は部屋に備えてありますので、そちらにお着替えの後、今着ているお洋服は侍女にお渡しくださいませ」

 安心して休める場所があるなら全然良い。

「他にも要望がございましたら是非おっしゃってくださいませ。全力でご用意させていただきます」

「それじゃあ、一つ良いですか?」

「はい、何でしょう?」

「鍛錬ができる場所があるなら是非教えてほしい。少し鍛え直したいんです」
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