天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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四章 一騎当千の拳

119話 魔法ありきの戦い

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 拳と斧が激しくぶつかり合う。雷太の拳は鉄をも砕く事から、木製の斧を使用しているニアはただ武器を振るっているのではなく、しっかりと武器の性能を把握して使用している事が分かる。

「そういえば、この試合は魔法の使用はどうなんですか?」

「なんだ?使ったらもっと強くなるのか?」

「攻撃のバリエーションが増えますわよ!」

「最高かよ!使っていいぜ!俺、使えないけど!!」

 これより試合での魔法の使用を許可。もう一つの武器が解禁になったニアは早速氷の魔法を木製の斧に纏わせると、それを10m先にいる雷太に向かって振るう。

 すると、冷気をまとった斧から氷の斬撃が放たれた。

「マジか!そんな事もできるのかよ!魔法って言うのはっ!!」

 回し蹴りで相殺・・・というわけにはいかず、氷の斬撃を蹴った足には氷がまとわりついてしまった。

「しまった!!うわぁ!!」

 片足が氷漬けになった事でバランスを失った雷太は仰向けに倒れ込む。すかさずニアは接近し、雷太を仕留めにかかった。

「なんてな!!はっ!!」

「うぐっ!!」

 しかしそこは武術の天才というべきだろうか。雷太は無事な方の足で立ち上がると、氷をまとった足の方で前蹴りをニアにかましたのだ。反撃されると思っていなかったニアは腹にモロに蹴りを入れられ、後退する。

 氷は雷太の蹴りで破壊され、元通りになった。

「身体能力だけじゃない。圧倒的武術の才と、頭の回転力をお待ちのようですね。私は戦いを好んでする方ではありませんが、楽しくなってきてしまいましたわ」

「俺もさっきからワクワクが止まらねぇんだよ。あんたみたいなタフなヤツと戦うのはムサシ以来だからな」

「ムサシ殿、強いですよね。私もバンジグに行った時は必ずお手合わせを願い出ていますわ。毎回決着はつかないんですけどねっ!!」

 今度は雷を纏わせてきた。バチバチと稲妻を放つ斧を振り翳し、勢いよく地面に叩きつけると、雷が蛇のように地面を這いながらこっちに向かってくる。

 その速さ時速にしておよそ300キロ。到底人間では回避不能な速度の攻撃を雷太は飛ぶことによって回避。

 しかし、雷は這っていた地面から飛び出し、空中にいる雷太に向かっていったのだ。

「マジかよぉぉぉ!?」

 空中にいる為避けようのない雷太は雷をまともに喰らってしまう。人体を貫通する電気なんて防ぎ用のない雷太はモロに雷を喰らい、地面に落下。全身を強打する。

「がぁっ!?」

「これでトドメですわ!!」

 すでに勝負はついていると言える。しかし、そこで手を緩めるニアではない。無防備に仰向けに倒れた雷太の首目掛けて木製の斧をおろす。

「ふんっ!」

 それを雷太は額で受け止めてしまうのであった。
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