天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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四章 一騎当千の拳

120話 試合は終わり

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 電撃を喰らい、全身を強打してもなお動ける雷太にニアは驚きを通り越して恐怖する。こんな人間がいていいものなのかと全身に鳥肌が立つ。

「良い電気マッサージだったぜ?おかげで体が元気になったよ・・・」

「嘘ですわよね?まだ、動けるというんですか?」

「・・・試してみるか?」

「・・・是非」

 雷太の誘いにニアは喉を鳴らす。激動の第二ラウンドが始まる・・・と思いきや。

「ストップ。止めだ!止め!これ以上戦ったら死ぬぞ!貴様ら!」

 シャルロットの身を挺した制止がかかってしまった。互いに自分の体を確認すると、服は汚れ、体中傷だらけ血まみれの最悪な状態と化していることに気づく。

 アドレナリンのせいで自分の状態がどれだけ深刻なのかを理解できていなかったみたいだ。雷太とニアはボロボロになった互いを見つめ合うと大笑いする。

「朝の鍛錬でこれはやりすぎましたわね。シャルロット、私達は一体どのくらい戦っていたんでしょうか?」

「30分だ。あんなに激しい戦いをな。おかげで訓練場が崩壊寸前だ。観戦していた兵士や騎士達は非難してしまったぞ」

「それは悪い事したな・・・ニア、午後の訓練が始まる前に元に戻しておこう」

「そうですわね」

 雷太とニアの激しい戦いでぐちゃぐちゃになった訓練場を2人が協力して元の状態に戻す。途方もない体力を持つ2人が整備をしたこともあってか、ものの30分で終わってしまった。

「ふう、終わった。ところで、シャルロット。あの魔法の本貸してもらっていいか?」

「なっ!私のアイデンティティである魔法という武器を奪う気か!?させん!絶対にそんなこと許さないからな!」

「落ち着けって。お前レベルの魔法の才能は多分俺にはないし、そもそもお前も魔法だけじゃなくなっただろ?」

「・・・言われてみれば確かに」

「もし、俺に魔法の才能があるというのにそれを活用しないのはあまりにも勿体ないだろ?それに、戦場ではどんな事が起きるか分からねぇ。シャルロットと離れたら俺は誰に傷を癒してもらうんだ?」

「グヌヌ・・・でも・・・」

「心配するな。魔法を覚えたからってお前の存在が無価値にもなるなんて事は絶対にない。だから頼む。俺にあの本を貸してくれ」

「わ、分かった・・・分かったから顔を近づけるな、鼻息が顔にかかる」

「よっしゃ!サンキューなシャルロット!ニアもサンキュー!ここ最近で最高の試合だったぜ!」

「私も自分の改善点を見つめ直す良い機会になりましたわ。またやれることを楽しみにしていますわ」

 シャルロットを口説き落とすように魔法の本の使用を許された雷太は、ルンルン気分で自分の部屋へと戻っていった。
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