天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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終章 未来へ導く光

154話 暗闇のトンネル

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「うわぁ!閉じ込められたぁ!!」「全員落ち着けぇ!魔法部隊が信じろ!開くまで待つんだ!!」

 混乱する兵士達。暗闇の中に閉じ込められてパニックを起こさない方がおかしい。更に言うとここは魔法で作られた空間の中、現実とは少し違い、自分の身に何が起こるのかまるで分からない。

 そんな中、ムサシは驚くくらい静かだった。そして、パニックに陥っている者達を沈めるように大声を上げた。

「喝っっ!!」

 鼓膜に響く一言を聞いた戦士達はみんな落ち着きを取り戻す。

「落ち着けお前達。決して閉じ込められてなどいない。前を見ろ。光がある」

 目を凝らして前を見ると、確かに小さな光が見える。あれは出口だろうか。一筋の希望を見つけた戦士達に安堵の表情が現れる。

「油断するな、ワープホールが閉じたのは魔法部隊の魔力不足や技術面に問題があったわけではない。もっと別の問題が絡んでいると見るんだ」

「と言いますとやはりゴルム側からの妨害でしょうか?」

「そう見て良いだろうな。こちらが2週間使って研究したようにあちらも移動魔法を発展させていてもなんらおかしい事はないだろう。元はといえばあちらの力なのだからな」

 冷静さを取り戻した軍は、光が見える方向に行進を開始する。しばらく歩いていると横を歩いていたティナがいつのまにか3歩後ろを歩いている事に気がついた。

 慌てて駆け寄り、表情を見ると顔は真っ青になっており今にも嘔吐しそうな表情をしていた。

「ティナ、どうしたんだ?」

「ここ、闇の力が強い・・・!!」

 ティナのスキル『巫女』は副次効果として闇の力を感知する能力がある。しかし、便利というわけではなく、闇の力を見すぎると気分が悪くなるみたいだ。

 そんな闇の力の中に入っているのだから歩けなくなるくらい体調が悪くなっても仕方ないだろう。

「・・・迂闊でしたわ」

「ニア、何か知っているのか?」

「この魔法はゴルムが開発した新しい魔法。ゴルムが作ったという事はメルグーンが関わっている可能性が高いという事ですわ」

 もしニアの言う事が正しければ、今俺達のいるワープホールが闇の力で包まれているのにも納得だ。

「魔法部隊はどうして気づかなかったんだ?」

「気づかなくても何もおかしくはないよ。作り出したワープホールには闇の力・・・メルグーンの力は混じっていないからね。闇の力が蔓延っているのはこのトンネルの中さ」

 俺達が向かっている方向から声が聞こえる。俺達の知り得ない情報を知っている。俺達の仲間ではないだろう。

「どうも、みなさんこんにちは。少しお話しよろしいかな?」

 現れたのは、年齢は俺と同じくらいの美形の青年だった。
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