天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

終章 未来へ導く光

181話 悪魔リヴァの戯れ

「これは凄い！！僕の踏みつけを真正面から受け止めるなんてなんて力なんだ！！これは君由来の力じゃないね？」

「そう・・・だ・・・！！」

「凄い力だ！メルグーンの体重のほとんどを乗せているというのに、耐えている！けど、少しずつ下がって言ってるね！力の上限はどうやらあるみたいだね！！」

　スキル『剛腕』。腕力を限界以上に引き上げる事が出来るスキル。しかし、限界以上にも上限があり、流石の100トンには耐え抜く事が難しい様子。

「そしたら、ちょっとそのまま支えておいてくれないかなぁ？僕はこっちにトドメを刺すからさぁ！！」

　左前足をジュリエットが支えているのを良い事に、左前足を持ち上げ、雷太を潰しにかかる。

「う・・ぐぅ・・・！！」

　雷太は逃げようとするも、全身の骨を粉砕骨折してしまっている為、回避する事ができない状態。それを知っている為、リヴァは潰される恐怖をあおる為、ゆっくりと雷太に向かって足を下ろしていく！！

「だ、駄目！やめてぇ！！」

　すぐにでも助けに行きたい。しかし、今手を離せば自分が潰されてしまう。

「誰か！ライターさんを助けてください！お願いです！このままじゃ！このままじゃライターさんが・・・！！」

　ティナが必死に呼びかける。何人かは行こうとしてくれたが、ワイバーンによる邪魔が入ってしまい、結局向かう事が出来なかった。

　いよいよ、リヴァの足裏が雷太に接触しそうになった時。ティナは自分で走り出した。

「おい！ティナ！行くな・・・！！」

　ムサシが止めに向かうも、ワイバーンによって行く手を阻まれてしまう。スキル『緊急回避』を使用しても避けきれずにいた。

「おやおや！巫女自らが来てくれたのですか！嬉しいですねぇ！それじゃあ！」

　今までゆっくりしていた踏みつけを、ティナが助けに向かっているのを確認した途端に普通の速度に戻す。ティナの絶望を誘うためだ。

　既にリヴァの足裏は雷太に接触している。ティナの走る速度では間に合わないのは誰が見ても分かる。ティナ自身も間に合わない事は理解している。しかし、諦めなかった。諦めきれなかったという方が正しいだろうか。

　命の恩人を諦める理由に「間に合わないから」をしたくなかったからだろう。

　そんなティナの思いを踏みにじる様にリヴァは雷太にかける重みを更に大きくしていく。雷太が苦悶の表情を浮かべ始める。

「アハハハハハハ！！面白い顔！！」

「何処も面白くないけど？強いて言うなら、勇気を貰える必死な表情だ。やっぱり悪魔とはどうあがいても相いれないみたいだね」

　突如何処からともなく聴こえてきた声が聴こえて来たかと思えば、いつの間にか踏みつけられていた雷太の体は忽然と消えていた。